あらすじ
夫の両親と同居する塔子は、可愛い娘がいて姑とも仲がよく、恵まれた環境にいるはずだった。だが、かつての恋人との偶然の再会が塔子を目覚めさせる。胸を突くような彼の問いに、仕舞い込んでいた不満や疑問がひとつ、またひとつと姿を現し、快楽の世界へも引き寄せられていく。上手くいかないのは、セックスだけだったのに――。『ナラタージュ』の著者が官能に挑んだ最高傑作!
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
夫、2歳の娘、姑、(義父)、と暮らす、一見幸せそうな女の話。仕事を辞めて専業主婦になったこと、夫が鈍感すぎること、セックスレスなこと、義母義父義母姉らとの関係など、悩みは多い。そんなときに友人の結婚式でかつての恋人に遭遇し、彼によって肉体的にも精神的にも満たされて、夫や夫家族との関係に疑問を持ち始める。
Posted by ブクログ
塔子が自分自身と闘う姿は妙に理解できて応援してしまいました。鞍田さんは塔子と永く一緒に居られると思わなかったからのラストなんだろうか。最後まで何だか切ない。
Posted by ブクログ
仕事も、1人の女性としての尊厳も奪われて、
翠ちゃんの母としてのみ生きる塔子。
何もかも奪っていく夫に対して、
何もかもを与えてくれる鞍田。
母であるけれど、女性であり、1人の人間であるという、バランスが塔子の中で完全に崩れてしまっていて、それを埋めてくれる鞍田と不倫関係に走るのは必然なのかなと思いました。
しかも、塔子は割と恋愛体質というか、欲しがりで小鷹とも関係を持とうとするし。。
きっと母親からの言葉が呪いになっていて、男性から好意を持たれる自分が好きなのだなぁと。。
母親との関係性や、
前職でのコンプレックスもあって、
塔子は真を愛していたから結婚したのではなく、
幸せそうな家庭像と結婚したんだなと思いました。
私が引っかかっているのは、翠ちゃんの親権の話。
本当は親権を放棄しても良いと思ったのかなぁと。
母であることを辞めようとしたのかなって、なんとなく思います。
翠ちゃんには、親権を取られないようにするための戦略って言っていたけれど、実際には翠ちゃんを置いて家を再び飛び出しているし。
本当に翠ちゃんを愛していたのかなって、思ってしまう。
翠ちゃんがいなければ、離婚して鞍田と過ごせたのにって、本には書いてないけれど、多分思っただろうなって。
それでも、鞍田への想いも諦めて、
翠ちゃんを真と育てることにしたのだから、
結局母に回帰したのだなと。。
このあたりの感情変遷を追うのが難しかったです。。
鞍田は最後一人で可哀想だけれど、
本当のところ塔子は鞍田も愛していなかったのかな、なんて思います。
女として求めてくる鞍田が好きで、鞍田に愛される自分が好きで、溺れていただけかなと。
だから、思わせぶりしていたのは塔子なのでは、なんて思ってしまいます。
鞍田は最後の方で、期待させないで、って言ってるし。
この作品の中の塔子はブレブレなのだけれど、
それは塔子が母であること以外の、
女性であり、1人の人間であるということを取り戻しにいっているから。
エピローグの塔子は、鞍田に再開する前とは別人のようです。塔子はちゃんとバランスを取り戻せたんだなと思いました。
塔子は女性としての自分、
仕事ができる自分が、好きだったし、
大切なアイデンティティだったのかなと。
塔子が不倫を経て、
自分を取り戻しにいく、そんな物語に思えました。
全く知らない女性の人生を覗けたようで、
面白かったです!
Posted by ブクログ
高校生の時に何気なく買って、文字なら性的なものでも18歳未満で買えちゃう世の中、面白いなと思っていた…でも、ただの不倫官能小説じゃなくて、主人公が自分を見つける話で、エピローグが本当に良い
実家帰ったタイミングで持って帰ってきて久しぶりに読み直しました。高校生のときと今読むのとでは全然違うなあと思った 年齢、性別によって感じ方が違ってくるし、年齢性別同じでも賛否両論分かれる物語だと思う
どれだけ他の人から羨ましがられるような男と結婚できても、結局その男が自分のことを女として扱ってくれないなら、きっと私も満足出来ないと思う
不倫は絶対ダメだけど主人公の気持ちが分かる自分もいて、でも一番可哀想なのは子供で、、その子供について最後のエピローグでちゃんと触れてくれるからこの本は好きです
「抱き合えばわかる。目の前で一度でも涙を流して見せれば、どんな男の人なのか。どうやって愛したり愛されたりしてきたのか。」 好きなフレーズです
Posted by ブクログ
不倫はよくない。でも、塔子の息苦しさがしんどくて途中から鞍田さんに救ってほしくなってしまった。。。冷静に考えれば、鞍田さんはしょーもない男なのに、塔子視点だから魅力的にみえてくる。文才ですね。あっという間に読んでしまった!最高!塔子みたいに真面目で一見良き妻タイプこそねっとりと手に負えないんですよ、男性諸君ご注意
Posted by ブクログ
共感できるわけじゃないのに、読んでる間は主人公の気持ちになってしまった。官能小説とうたっているだけあって、そういうシーンは多いんだけど、ちゃんと小説の世界に入ってるからただ官能的なんじゃなくてその描写の中でさえ切なくなったり苦しくなったりした。島本理生さんさすがといった感じ。塔子は男性からしたらたまらなく色っぽい女性なんだろうなって思うし、私にはなりたくてもなれないなぁと。小鷹が言ってた、"お前は童貞と家庭環境の暗いやつにもてる"っていうのがまさにそう。
映画と結末が違って、結局離婚してないし塔子は娘を選んだし、強い自分になって夫と生きていく決意をしたようだ。
鞍田さんはなんかずっとズルいんだよ。まあ、ズルくて好きになっちゃいけない人を書かせたら島本理生さんが1番だと私は思うんだけど。
Posted by ブクログ
・幸の薄そうな鞍田役は妻夫木君より長谷川博己が似合うと思う。
・クルマが割とよく出てくるのだけど、車種が書いてない。塔子目線の小説だからかな。
・鞍田の操るクルマの車種が書いてあるとリアリティが増すのだけどなあ。映画だと古いボルボのステーションワゴンみたいだけど、なんか違うな。もっとシュッとした、例えばBMWの5シリーズのセダンなんかが鞍田は似合うのではないか。
女性目線で書かれた官能小説
映画をみてから、本作を読みました。
映画と違った締め方で、ホッとしました。
夫以外の男性を好きになった女性には、涙を流さずにいられない作品でした。
映画より、本作の方がリアリティで、よかった。
Posted by ブクログ
面白かったです。
最後はどうなるのかと、少しハラハラしながら読みました。小さい子供がいるので、塔子の辛さが痛いほど分かりました。夫の言動は終始イライラさせられ、最後まで結局、根本的な改善は認められなかったので、きっぱり別れて欲しかったです。
島本さん作品、面白いです。
少しずつコンプリート目指していきます。
Posted by ブクログ
最後、思わず「えっ?」と声が出た。
あんなに離れ難い相手だった鞍田さんと、何でこれで終わるの?鞍田さんも治療がうまく行ったのに、これまでのしつこさはどこに行ったの?
個人的には、塔子と鞍田さんが結ばれてほしかった。
子供の時には親から降り注がれていた無条件の愛情を、大人になると浴びる機会が減る…、いや、全大人じゃなくて、私自身がその不足を感じているから、優柔不断で自制心に欠ける塔子に苛つきながら、彼女の気持ちに共感を覚えるのかも。
鞍田さんみたいにどんな時も思ってくれる人と、不器用だけど大切に思っている真がいる透子が羨ましい。
Posted by ブクログ
本を閉じた後、1人で心震わせて呆然としてしまった。
400ページ超えで読み応え抜群だった。
中盤までは主人公に対して流されやすすぎでしょ…と思う場面が多かった。
いくら不満があるにしても子供もいるんだし、
なんか我が強いし実は1人でも平気なタイプだろと思った。
読み進めるにつれ、母として妻として女として…というような文章が出てきて、
自分の中で問題提起された気がした。
謝罪のくだりや「家具として搬入された」というフレーズ、
二十代半ばの結婚ラッシュを控えて不安でたまらない感じ、
「愛されなきゃ意味がない」空気感、
身に覚えがありすぎてどんどん惹き込まれた。
主人公と鞍田さんをどこか冷めた目で見ていたのに、ラストでどっと泣いてしまった。
「父」と表記があるってことは鞍田さんとは一緒になってないんだよね?
え?もしかして亡くなった?
あ、鞍田さん回復したのか!それから会ったのか
会った上で、結局、選ばない方を選んだんだ…
翠ちゃんの反応も関係あったのかな…ああでも…そっか………
塔子はそう決めたんだね……
残された鞍田さんはどうなるんだろう…………
いやもう関係ない、気にしない事だよね………
不倫や浮気は大嫌いな私がこんなに絆されてしまうなんて…
…
余談
「たなちゃんの結婚相手が鞍田さんなんだって」とメールに書かれてたのかと思い込み、
鞍田さんサイテー!ずるいやつや!と思いながらしばらく読み進めてた自分オモロい
Posted by ブクログ
映画見てから小説読んだ
官能的でとても濃厚でした
映画では2人が美しくて圧巻されたが
小説ではもっと深く塔子がはまっていく姿が
印象的で魅力的だった
女として生きるのか親として生きるのか
葛藤していたが私は子供のことを思って
戻ってきてーって思った
夫のことばかり強く言うのは
少し違うかなと思った
性に関して自分の本音を言うのは
恥ずかしいしむずかしい
分かってもらえるのはもっとむずかしい
けどコミュニケーションって大事だなって
思った
Posted by ブクログ
現実でも、創作物の中でも、不倫が溢れているのは何故だろうと考えた。いけないことだと分かっているのに。だからこそスリルや甘美さを求めて……と結論づけてしまうのは浅はかだと思う。人間は、自分のことを分かってくれている、と思う人の前で息がしやすいものだから。
主人公のことは最初、あまりにも迂闊で、どうしようこのまま500ページ読めるかな……と冷めた目で眺めてしまっていたのだけど、後半しっかりと向き合っていて、更にはエピローグで娘に視点が交代していたのがとてもよかった。結婚すると、恋愛は当人だけの問題じゃなく他人を巻き込むものだから。
読み終わって、タイトルの「Red」はどういう意味だろう?と考えた。赤……という色で、思い出した印象深いシーンがあった。続けて「一瞬でも本気になれたら、十分じゃないの」という台詞を思い出した。そういうことだろうか。
Posted by ブクログ
官能的な表現が多い作品だった。塔子は恵まれてる環境と自負しながらも夫婦生活での体の関係がうまくいかないのが悩みだった。友人の結婚式を機にかつての恋人鞍田と出会い、体の解放だけでなく、仕事を続けたかった、夫に育児家事に参加して欲しかったなど我慢していた思いが溢れてくる。
結婚生活なため読んで納得はするが、実質は理解できないことが多い。恋愛経験が少ない男性は、女性はこうであるべきと考えが強くなり、自分を正当化し女性を卑下してしまうことが多い気がする。それが昭和の男の人やモテない男になりがちの発想になり、塔子や世の中の女性を縛ってしまっている気がした。
私自身も恋愛経験少ない時は、親と暮らすのが良いと思っていたが、実際自分が相手の家に住む立場になると思うと、優しい方でも一生気を遣わないと行けないのかと思うと簡単ではないと感じる。
浮気は良くないと思う。しかし、自分の心が少しでも開放されるなら悪いとは思わない。小鷹さんは恋愛の輝きは一瞬で良いという気持ちもわからなくはない。
私自身、いろんな本を読んで、いろんな人と出会って、たくさん恋をしてから、結婚というものはなんなのかを考えたいと思った。