あらすじ
鬱屈した大学生活を送る雅也は、連続殺人犯の大和から冤罪の証明を頼まれる。戸惑いつつ調査する雅也が辿りついた驚愕の真実とは。『チェインドッグ』改題文庫化。
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Posted by ブクログ
映画化され、公開当時に観て、衝撃と満足感から「絶対に原作を読むぞ!」と意気込んでから、はや3年。
やっと読んだが、個人的には正に傑作。
まず、今作の連続殺人鬼:榛村大和のキャラクターが映画版と違い、美青年という設定で驚いた。映画版で榛村大和を演じる阿部サダオは「近所に住む、接しやすいおじさん」という印象があったが、作中での書かれ方的には「40代とは思えないゴリゴリのイケメン」という感じ。
この差分が決してマイナス評価という訳ではなく、この采配をした、白石和彌監督の思い切りが良いなと感じた。
しかし、原作と映画版の榛村大和の一番の共通点はやはり「眼」。
この「眼」は、時に相手「充足感を与え、時に相手を縛る監視の「眼」となる。この「眼」が作中の随所に描写され、読者が榛村大和が作り上げた物語に惹き込まれる要因の一つと考える。
この「眼」を映画版ではライトや編集に阿部サダオの神がかった演技が合わさり、完全に再現せれている。
また、この作品で秀逸なのは主人公:筧井雅也が調査を続け、真実に近づくにつれ、行動や雰囲気が榛村大和に近づいていく描写だ。
残酷な描写が多い今作だが、序盤から捻くれているところはあるものの、基本的には理論的な考えをする筧井が、徐々に衝動的な行動を見せ、それを第三者視点で見るのが、本能的な恐怖を引き出してくる。
Posted by ブクログ
榛村大和、化け物すぎる。主人公が榛村の息子だということすら嘘だったのが、特にサイコさを際立たせていて良かった。
主人公が、自分を榛村の息子だと思い込んでいた時には殺害欲を抱いていたのに、マニピュレートされてると気づいた途端に何も感じなくなるというところは最高に痺れました。榛村が悪びれないのも極悪で良い。
劣悪な環境、煮詰まった悪意、類稀な知能が融合した結果生まれた怪物。ゾワゾワしますね。
Posted by ブクログ
なんかやけに気になった本。大体こういう気になる本は自分的に面白い確率が高い。というので読んでみた
こわ。
読み終わった瞬間、なんとも言えない怖さと後味悪さがいい感じにきて面白かったです。なんかこう、終始手のひらに踊らされていた感。連続殺人犯は何がしたかったのか。いくつ人を踊らせればいいのか。主人公逃げてくれ。
シリアルキラーの精神が覗き込めるかもな一冊。
ホラー
話に引き込まれる
最後のどんでん返しが圧倒的
序盤から中盤は主人公がまともだったのにどんどんと犯人に洗脳されていく過程が怖かった
腑に落ちない終わり方も非常にはがゆい
一気読みしました。
雅也が大和に飲まれて行き過ぎて犯罪を犯すのではないか・・と、ヒヤヒヤ。
雅也と大和・・パン屋の客よりも親密な関係性があるのでは?と予想はしていましたが・・・
最後の面会で、やはり殺人犯は殺人犯なんだな・・・と。自分をしっかり持つ事って大事ですね。
引きずられる
一気読み。変な吸引力と言うか、読まずにいられなくなってしまいました。雅也がボーダーラインを超えるか否かがとにかく気になって、ぞわっとした怖さと共に私も支配されてしまったのかも......
Posted by ブクログ
だいぶ前に読んだけどほとんど覚えていなかった(多分読んでて怖くなって薄目で読んでた)ので再読。
やっぱり中学のときに読んだのと同じくらい真相に近づいていくにつれ、怖くなった。サイコパスって常人には彼らの考えに理解が及ばないと思うのだけれど、人を魅了するのがとんでもなく上手いんだと思う。心にぽっかり空いた隙間にピッタリハマることができる才能をもっと別のことに活かせば一角の人になるんだと思う(この小説の中ではいむらはある意味そういう存在)。雅也が真相に近づくにつれ、はいむらのように同化していくのが怖かったし、雅也は母の生い立ちを知って絆を感じることができたから呪縛から逃れられたけど、雅也に寄り添ってくれてた灯里も実はずっと狙われていたことが分かって心底震えた。この小説はここで終わっててよかった。これ以上続いていたら泣いてたかも。
Posted by ブクログ
小さい頃は神童と呼ばれながら、F ラン私大にしか受からず、鬱々と過ごしていた主人公雅也にある男から手紙が届く。その男とは、連続殺人により捕まった男で、雅也が少年のころ近所にあったパン屋の店主であり、慕っていた男だった。彼の要求は、連続殺人のうち、ひとつは自分の罪ではないので、それを調べてほしいということだった。雅也はその要求をのみ、彼の経歴からたどってゆくのだが・・・
映画により知った小説で、キルケゴール?ってなった作品です。ということで、榛村は絶えず脳内で阿部サダヲに変換されていました。サイコミステリです。
まずはプロローグは誰目線なのだろうかというところから始まる。関係やに話を聞きながら、一つ一つ事実を調べるうち、榛村はあらゆる人たちに影響を与えてきたことがわかり、雅也も飲まれてゆく。いったいラストはどうなるだろうと思いながら読み進め、エピローグでまた一つ種明かしがある。ほっとした後にイヤミス・・・
もう少し早く読んでおけばよかった作品でした。
怖いくらい惹き込まれた
シリアルキラーには何故か人を惹きつける魅力がある
その魅力を主人公が探求してゆく物語
善悪を問う物語出ないのが心地良かった
良い後味の悪さ
バッドエンドやホラー系が好きな私ですが、この本の終わり方には震えました。殺人犯と関わるうちに性格や行動が変わっていく主人公、最終的には素の生活に戻り、平凡ながら幸せな暮らしをしていくのかと思いきや、、
映画を先に観ていたのですが細かな違いがあり、どちらも楽しむことができました。
共鳴してしまう怖さ
映画が公開されていたので、気になって読んでみました。
共感できない主人公だったはずなのに、いつしか彼と同じ心情に陥っていたみたいです。
読み進めるスピードが上がり、辿り着いた事実に「えっ?!そうだったの…」大丈夫か自分と思わされました。
この物語は続いてしまうのか?とフィクションなのに心配になりました。
ホント、櫛木理宇さんにやられました。
Posted by ブクログ
主人公がシリアルキラーの死刑囚に頼まれて過去の事件を調べていくうちに、人間的に成長していく話かと思いきや、死刑囚にマインドコントロールされていくという話だった。主人公はマインドコントロールから脱せたようにも見えるが、死刑囚はターゲットを変えて、同じようなことをしていく。後味は悪い。
Posted by ブクログ
今まであまり読んだことがないジャンルだったので、興味深くて一気に読めた。
ちょっと読後の後味は個人的にあまり良くなかった。
タイトルにあるように、病的な何かを感じたのは確か。
Posted by ブクログ
1人の男の暗い生い立ちを追っていくうちに、徐々に自分の生い立ちを知っていくというストーリーは、謎解きの要素も絡んでいて面白かった。最後に進むにつれて、どういうクライマックスを迎えるのか気になりながら読み進めることができた。
しかし、全体を通して話が暗かったので、読むのが辛くなるところが何箇所かあり、登場人物のセリフや本の雰囲気に飲み込まれそうになった。
だから、久々に片手に心を浄化するような本を1冊置き、並行して読み進めないと疲れて先に進めなかったかな笑
『ラストレシピ 麒麟の舌を持つ男』を少しだけ読みたくなった。
Posted by ブクログ
3連休にプライムビデオで映画の方を見て、原作が気になって読んだ。
ばあちゃん死んでないやーん! ってそこは大した違いじゃないんだけどw
細かいシチュエーションが映画といろいろ違うのが結構気になる
原作の方が中学から高校、大学への雅也の心情の変化をたくさん語ってて、なぜ映画であんなボソボソ喋りだったのかわかったりした
綺麗な顔立ち…阿部サダヲ…はて…?笑
映画と原作で見た目の大和像がだいぶ違うけどw中身は同じ
事件を調べる過程で原作では大和の生い立ちも詳細に語られてて、そういう意味では魅力的で雅也が惹かれていくのもわかるかも~と思った
さすがに原作の方が情報量多くて、それぞれのキャラが立ってよかった
佐村弁護士の映画との立ち位置の違いには驚いた
映画ではこういう風に改変するのかぁ…良くも悪くも別物だな
ただ、映画でしか描写されない、収集した爪を流す映像は秀逸だった
大人になれない病
読み進むにつれ、榛村の語り口に魅了されます。
たった5分の面会なのに、ハートを鷲掴みにするその感じを、心地よさと判断するのか、違和感と判断するのか。難しい選択を強いられます。
根底にある児童虐待は、どう解決し、どうフォローすればいいのか。
どうか、子どもたちが愛情に包まれて成長できる世の中になりますようにと、祈らずにはいられません。