【感想・ネタバレ】稲盛和夫の実践アメーバ経営 全社員が自ら採算をつくるのレビュー

あらすじ

全社員が自らの意思で採算をつくり、持てる力を最大限発揮する。
日本航空を再生させた「全員参加経営」の極意。
累計30万部のベストセラー『アメーバ経営』の実践編。

「日本航空に着任してすぐ『現在の経営実績はどうなっているのですか』と質問したが、なかなか数字が出てこない。また、いったい誰がどの収支に責任を持っているのか、責任体制も明確でない。(中略)そこで、アメーバ経営によって、部門別・路線別・路便別の採算がリアルタイムに見えるようにした。アメーバ経営があれば、それぞれのアメーバの責任者が中心となり、部門の収益性を高めるために創意工夫を重ねていくことができる」(本文より)

アメーバ経営を導入し、高収益企業に生まれ変わった日本航空では、「部門別」「路線別」「路便別」の採算をリアルタイムでとらえる仕組みができたことで、需要に応じて臨機応変に機材を変える、臨時便を飛ばすなど、さまざまな創意工夫が現場で生まれています。自部門の実績がわかれば、少しでも採算をよくしようと皆が懸命に取り組むようになる。これこそが「全員参加経営」の極意です。
アメーバ経営では、それぞれの組織が持つ「機能」を最大限発揮できるように、会社全体を「アメーバ」と呼ぶ独立採算の小集団に分けて経営をガラス張りにします。製造部門や営業部門の利益責任を明確にすることで、全社員の採算意識を高めます。家計簿のようにシンプルな収支表を用いて全社員の創意工夫を促します。
そのためには、精緻な管理会計の仕組みはもちろん、それに合致した社内制度の構築が、そして何より、経営トップの強い情熱と哲学(フィロソフィ)の浸透が不可欠です。

「経営というものは、月末に出てくる採算表を見ておこなうのではありません。細かな数字の集積であり、毎日の売上や経費の積み上げで月次の採算表がつくられるのですから、日々採算をつくっているのだという意識を持って経営にあたらなければなりません。日々の数字を見ないで経営をおこなうのは、計器を見ないで飛行機を操縦することと同じです。(中略)日々の経営から目を離したら、目標には決して到達できません」(本文より)

社員ひとりひとりの思いや能力が十分に生かせなくなっている。このことが、長期にわたる日本経済低迷の根本的な要因のひとつとなっているのではないでしょうか。経営者や一部の幹部、エリートだけで経営をしていくことには限界があります。事業を伸ばすためには、すべての社員に経営に参加してもらい、全員の力を結集していくことが不可欠です。
本書は、製造業はもちろん、医療機関や外食チェーン店などサービス業の事例もまじえ、全員参加経営を実現するための方法――アメーバ経営を実際に機能させるためには何をしなければならないのかを明らかにします。

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Posted by ブクログ

「経営は経営者だけの仕事ではなく、全社員が経営者の視点を持つべきだ」――本書が説くアメーバ経営の本質は、まさにこの一点に集約される。

京セラやKDDIを創業し、JALの再建も成し遂げた稲盛和夫氏。その経営手法の根幹をなすのが「アメーバ経営」である。これは、会社を小さな組織(アメーバ)に分割し、各アメーバが独立採算で利益最大化を目指す仕組みだ。売上を最大に、経費を最小に――このシンプルな原則を全社員が実践することで、会社全体の繁栄と社員の幸福を両立させる。

【アメーバ経営のポイント】
会社の存在意義は、社員の幸福「利益を追求するのは、お客様・株主のためではなく、まず社員の幸福のため」。その結果として、顧客やステークホルダーへの貢献につながる。

全社員が経営者視点を持つ一部の経営者だけが会社全体を管理するのではなく、アメーバごとに採算を管理。これにより、次世代の経営人材の育成にもつながる。

ミクロとマクロのバランスアメーバ単位で利益最大化を目指すと、短期的には各部署の成果が上がる。しかし、全体最適を考えないとアメーバ同士の利害衝突が発生する。これを防ぐのが、企業理念(フィロソフィー)の徹底と、経営者の情熱による統合力だ。

迅速で正確な採算管理「売上・経費を100%ミスなく、しかも1日単位で把握する」。これにより、社員は自分の努力が即座に数字として見え、創意工夫が生まれる。

【まとめ・感想】
アメーバ経営は、社員一人ひとりが自ら考え、利益を生み出す仕組みだ。ただし、「仕組みを作れば終わり」ではなく、経営者の情熱が不可欠。各アメーバの方向性を統合し、会社全体としての成長を促すには、経営者が「私」を殺し、全体を見渡す覚悟が求められる。
経営者の情熱と社員の自主性、この2つが揃ったとき、アメーバ経営は真の力を発揮する。

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2025年02月04日

Posted by ブクログ

稲盛さんの代名詞ともいえるアメーバ経営、コンセプトや考え方は知っていたけれど、howの部分でどうやっているのかを知りたくて読んでみました。なるほどなるほど、そう組めばよかったかと自分のこれまでのマネジメントでも活かせたなと思いつつ、これからに大いに活きる内容で参考になりました。これをつくるまでに、たくさんトライ&エラーしたのだろうな。。と実感できる内容。参考になったのは、採算を意識できる単位までの分割に留めるということ。かけた時間を時間当りで採算として、それを向上させていくアプローチは他の何をしても活かせるなと感じました。

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2023年04月24日

Posted by ブクログ

製造部門と営業部門との間で社内売買を行うという概念が斬新だった。各部門が採算を意識出来る企業は強いと改めて認識。

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2017年09月10日

Posted by ブクログ

人生仕事の結果
考え方✖️熱意✖️能力

経営の成功
経営理念 
フィロソフィー 意識改革
アメーバ
人のために世の為
トップが無私

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2021年07月21日

Posted by ブクログ

部門間売買、時間当たりなどより採算を細かく把握できる仕組みを学べた。ずさんな会計がよくニュースになるがどのような管理をしているか見てみたい。
60年黒字を出し続ける強さの根幹に触れた気がした。
JALの経営再建の話は読み応えがあり京セラフィロソフィ、アメーバ経営を体現化している事例だと感じた。
2020/11/28

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2020年11月29日

Posted by ブクログ

アメーバ経営の解説書。改めて思うが、アメーバ経営は管理会計の極み。
・アメーバ経営の目的は、「全員参加経営の実現」「経営者意識を持つ人材の育成」「市場に直結した部門別採算制度の確立」
・会社の運営機能を「営業」「製造」「研究開発」「管理」に分ける。
・アメーバと呼ばれる独立採算の小集団に分ける。「売上最大、経費最小」の原理原則に基づき行動する。
→小集団に分けるポイントは、独立採算のとれる単位であること、ビジネスとして完結する単位であること、会社全体の目的や方針を遂行できる単位であること
※独立採算ということは、機能別組織ではない??
・成果を全て金額と時間に落とし込み、時間当たり採算表で同じ基準で比較する。

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2018年08月15日

Posted by ブクログ

アメーバ経営が実例を通して理解出来るが、収益管理の箇所の理解が直ぐには図表見てもスッとは入らなかった。

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2020年06月24日

Posted by ブクログ

 稲盛さんすごい。共感するとともに、働き方改革って何なんだろうって心底思う。


・人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力

・トップの無私の姿勢
 …(JAL)再建にあたった私の姿勢が社員の心を揺り動かしたこともあったと考えている。つまり、私が無給で会長職を引き受け、高齢でありながら全身全霊を傾けて再建に取り組む姿が有形無形の影響を社員に与えていった。
 …フルタイムで会長職に専念できるわけではなかったので無給で再建に取り組んだが、どうしても債権を成功させなければならないと考え、懸命に仕事にあたるうちに、週3日勤務と考えていたものが4日になり、5日になり、週の大半の時間を日本航空のために費やしていた。
 自宅が遠く離れた京都にあるため、私は80歳を前にして、週のほとんどを東京のホテル住まいで過ごし、夜の食事がおにぎり2個だけという日もしばしばあった。
 意図したわけではないが、そうした無私の姿勢で懸命に再建に取り組む私の姿を見て、多くの社員たちが「自分の父親や祖父にあたるような年齢の稲盛さんが何の対価も求めずに、何の関係もない日本航空の再建のために必死になってくれている。ならば、自分たちはそれ以上に全力を尽くさなければならない」と考えてくれたようである。

・組織分割の条件
 条件1 独立採算組織として成り立つ単位である
 条件2 ビジネスとして完結する単位である
 条件3 会社全体の目的や方針を遂行できる単位である

・従業員をやる気にさせる7つのカギ
1 従業員をパートナーとして迎え入れる
2 従業員に心底惚れてもらう
 従業員をパートナーとして迎え入れた後、経営者は従業員から心底惚れてもらわなければならない。「ずっとこの人についていこう」と思われることが重要である。
 そのために経営者は、自分のことは横に置いて従業員のことを最優先に考えなければならない。皆をいたわってあげようと思いやりの心を持ち、さらには従業員の誰よりも懸命に努力して自己犠牲を払ってでも仕事に打ち込んでこそ、皆が惚れ込んでくれるのである。 
3 仕事の意義を説く
4 ビジョンを高く掲げる
5 ミッションを確立する
6 フィロソフィを語り続ける
7 自らの心を高める

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2021年08月08日

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