あらすじ
商人の娘・芹は、若君の乳母を務める母に呼ばれ、城へおもむくことに。
だがそこで芹に与えられた役目は、若君・知澄の側女となることだった。
母からの突然の命令に愕然とする芹。
知澄はそんな芹を、ある誤解からひどく詰り、乱暴に抱いてしまう。
互いの事情を知らぬまますれ違う二人。
それでも、知澄を慕う芹は、彼の歪んだ欲望を受けとめ続けていた。
一方知澄も、芹に対する激情は恋だと認め始めるが、
その矢先、二人は引き離されて……。
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恐るべき妄執
なんとも凄まじき母親達の妄執…!子の為ならば我が命さえも惜しまず差し出したり、心中しようとしたり。
娘であるヒロインも一見健気ですが実はそんな母親に褒められたい、報いりたい、そして何より愛されいという切実で貪欲な渇望が、ああ…拗らせてるなぁ…と。皆あわれに思う程ただひたすらに愛されたい人たちで、素晴らしい歪みっぷりでした。
そんな中、ヒーローは比較的真面に思えました。好きな子に素直になれない典型というか。ヒーロー視点を読むと好感が増します。
時代設定である戦国時代特有の残忍さや生々しい描写は数あれど、蛍のくだりは胸が締め付けられるような切なさです。文章力、構成力の高い作者なので脳内イメージが鮮やか。
どうか哀しみを乗り越えて、ヒーローとヒロインの幸福を願うばかりです。
個人的に今のところ作者の最高傑作だと思います。次回作も期待しています。
cielさんのイラストは文句無くエロくて可愛くて綺麗!
作家買いしてみたものの…
「初恋の爪痕」「ためらいの代償」が面白かったので
こちらも買って読んでみましたが、前の2作に比べてお話がとにかく暗くて重かったです。
甘いシーンやキュンキュンするようなシーンは殆ど無かったです。
それでも最後はハッピーエンドで終わったので胸糞ではありませんでしたが
ヒロインのこともヒーローのこともあまり好きにはなれませんでした。
私は冒頭から草介が良いなと思っていたので、草介視点で見てみると本当に切ないです。
ヒロインは「誰からも求められていない」と嘆きますが…草介は…?(泣)
最後の方で実家に戻ったヒロインに会いに来たヒーローとヒロインの会話を側で
じっと聞いている草介の気持ちを思うと胸が軋みました。ただの道端の石ころ扱い。
作家さんの文章の上手さと、一途な草介さんに星評価を捧げます。