あらすじ
狂犬のように戦いを渇望し、闇試合で並みいる強敵を下して無敗を誇った朝丘剛。だが、恩師にして中国武術の達人・劉栄徳の前になす術なく敗れる。なぜあの小柄な老人に勝てないのか? 彼我の功夫にいかなる差があるというのか? 西下する列車で剛は考える。伊賀流忍術の使い手、柳生新陰流の剣術家。剛の前に次々と現れる日本の伝統武術を極めた武道家たち。そして、別れ。剛は今どこへ向かおうとするのか? 〈解説〉細谷正充
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
二巻では剛以外にも蜂須賀、冥道といった武道家が登場し、そして全員が武道に「力」のみを求めている姿が描かれていました。この三巻では、彼らが武道に「力」だけでない何かを見出す様が描かれているように感じました。
特に蜂須賀の変貌ぶりが目覚ましく、主人公である剛の話よりも興味深く感じました。仕合に勝利したはずの相手、緋田に敗北感を感じて弟子入り。単なる力ではない、もっと別の強さに感嘆して考え方を改めるという、むしろこちらの方が漫画などの主人公にありそうなエピソード。
その後の修行シーンや試合の場面での彼の姿は、二巻では絶対に使わなかったあろう「清々しい」という形容詞を用いずにはいられないもの。今後、指導する立場となって、試合後に掴みかけた「何か大切なこと」を見つけていくことを期待しています。
剛に関して、忍術・柳生新陰流・山の民の武術との邂逅において、特に由佐肇との出会いが強い影響を及ぼしそうな気がしています。「考えることだ。強さとは何かを」という言葉が、後々剛にそれを悟らせるきっかけになるのではないかな、と。
冥道は最後に少ししか出てきませんでしたが、むしろこの先どのように修行していくかが全く見えなかった分、最も興味をそそらされた存在かもしれません。
今後この三人がどのような武「道」を歩んでいくのか。また宋陵元や松原、マリアたちがどのように絡んでくるのか。気になる要素が多すぎて、四巻刊行を二ヶ月近くも待つと思うと、辛くて仕方ないです。。。