あらすじ
剃髪の剣豪、高松孝道に自分の脆さを指摘された剛は、迷いを振り払うべく真剣の孝道に勝負を挑む。その頃、剛を巡る松任組と劉栄徳の対立は松原弘一と宋陵元の決闘に発展。経験の乏しい弘一の勝算は如何に……。一方、孝道の元を辞し沖縄に向かった剛は、偶然出会った強靱な老空手家とのやりとりの中で、大事な何かを掴み取る。時は満ちた。横浜では劉栄徳との再戦が待つ! シリーズ完結。
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Posted by ブクログ
最終巻。剛が武道家としてどのような道を進むのか……よりも、個人的には緋田と蜂須賀のやりとりが、この孤拳伝シリーズの骨子ではないかと思いました。
現代という平和な世の中における武道の存在意義。「孤拳伝」の中で、いつの頃からか問われ始めたその課題。
剛はその出生からか、殺伐とした修羅道をかいくぐる手段としか解釈できないのに対し、より大人である蜂須賀は、おそらく劉英徳や屋良照順の言いたいことを理解しているように思います。
前巻まで崇高な武道家だった緋田が道を外しかけた時、頑なに反対し、現代における武道が取るべき道ーー「試合に勝つ空手」ではなく、武道としての本質を追求することーーと、その理念に根ざした団体としてのあるべき姿を懇々と説く蜂須賀。
これこそが現代において伝統武術を学ぶ本質的な意義なのだと、私は解釈しました。
中学時代は剣道、高校時代は柔道を体育の授業で習わされた自分も、当時は「何で今、こんな剣道とか柔道とかやらないといけないの?」と思ったことがあるのですが(失礼><)、その回答を本作から得ることができたように思います。今になって、何かしらの武術を習ってみたくなってきましたw
1冊1冊が分厚いこのシリーズでしたが、どれも読みやすくて一気読みでした。ただ、内容はエンタメ性の強い朝岡剛の話と、現代における武道のあり方に迫る思想的な蜂須賀編に2分されるので、分けてくれた方がよりコンパクトになって読みやすかったかも。前者はどちらかというとコミックで読みたいかなぁ(「拳児」と似通った感が出ちゃうかもですが)。
Posted by ブクログ
ついに達人の域に到達してしまった剛くん。てかおまえまだ10代なのにヤバいな。
日本じゃガラスの10代、傷つきやすいティーンエージャーとかなんとか言ってる中、既に悟りを開いているという、ね。
と言っても最終巻に至り、俺つえー的な話は無くなって、空手の世界の問題を作者が語るというところが多いわけで、世界に合わせてルールを決めて試合やってそしたら試合に勝つことだけ考えて、空手が持っていた本質が失われる、という、いやこうやって書くとつまらん感じだけど、その熱い思いが伝わってくるわけですよ。
というわけで、死闘を繰り広げてかっけー、という話ではなくて、ふむふむなるほどと、脳のしわが増えるような最後なのだった。
まぁでも大雑把に言えば弘一くんが勝ち組。