【感想・ネタバレ】盲目的な恋と友情(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

タカラジェンヌの母をもつ一瀬蘭花(いちのせらんか)は自身の美貌に無自覚で、恋もまだ知らなかった。だが、大学のオーケストラに指揮者として迎えられた茂実星近(しげみほしちか)が、彼女の人生を一変させる。茂実との恋愛に溺れる蘭花だったが、やがて彼の裏切りを知る。五年間の激しい恋の衝撃的な終焉。蘭花の友人・留利絵(るりえ)の目からその歳月を見つめたとき、また別の真実が――。男女の、そして女友達の妄執を描き切る長編。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

人間の感情の根底を覗き込んだ気分。
留利絵が蘭花に見返りを求めた上での親切心は、幼少期から遠回しにされていた自分自身を見捨てないで欲しくなかった気持ちの表れだと感じた。
きっと留利絵は物語の主人公みたいに(この物語の第二のヒロインではあるが)、「自分は皆んなとは違う特別な存在」になりたかったのだろうと思った。だからこそ、留利絵自身には持ち合わせていない、自分自身を貫き通す性格の稲葉先輩や圧倒的な美貌を持ち、聡明で、憧れの存在であるような蘭花に傾倒していったのだと思う。そんな人と一緒にいる自分は特別で、皆んなからちやほやされるに違いないと思う留利絵の認識。幼少期のトラウマを埋めるための蘭花だったのかもしれない。
恋も友情も何も無我夢中になって縋ればそれは盲目的に求めるようになり、中毒であり、歪んでいってしまう。そう簡単には思えるものの、自分自身で知らないうちに嵌ってしまうだろうなと思った。

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2026年02月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

まさにタイトル通り、「盲目的」だな〜〜〜という感想!一章と二章のそれぞれの主人公、一人のことに没頭しすぎて周りの意見が何も聞けてない。でもある意味一番人間らしいのかなとも思う。

茂実は自殺と思わせて、こっちが殺したと思わせ、いややっぱりそっちが殺したんかい!と二転三転するのも面白い。

いや結婚式中に警察割り込む?とは思った笑

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2026年01月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

辻村美月先生の本の中では短い内容だったので一気読み。個人的にとても良かった。

良かった理由として、私も蘭花や茉莉絵のような経験をしたことがあり、めちゃくちゃ共感できたことが挙げられる。

自分が本当に恋している、この人以外考えられないとなると、周りが何を言っても頭の中にその意見が入ってこない。
も周囲の友人に別れた方が良い、と言われたが、何となくその理由が理解できたとしても、その時は「この人がいない生活なんて考えられない」と思ってしまう。恋というのは、病気だと思う。
結局その人とはあるきっかけで別れて別の人と付き合うことになったが、今思い返してもなぜその人に執着していたのか分からない。全く魅力を感じなくなってしまった。ただ、その時は病気だったので本当にその人がいないとダメだと思っていた。
その心境を辻村さんは見事に文章で再現していて、感情移入してしまった。
因みにその人は茂実ほどのクズではなかった。笑

茉莉絵の気持ちもわかるし、こんな子いるよな、という気持ちで読み進めていた。
幼い頃の環境がそのような考え方を生み出してしまったと思うと、可哀想だった。
私も小さい頃容姿がコンプレックスな部分もあり、ひたすらに周囲の子が羨ましいと思うことがあった。幸いにも友人に恵まれて全く気にすることはなくなったが、環境次第では茉莉絵のようになってしまうこともある、と思った。

盲目的な恋、というのは想像できるが、友情という視点はあまり想像できなかった。
ただ、茉莉絵をみているといかに蘭花に執着していたかが伝わり、盲目的な友情も怖いなと思った。

茂実も最初は好青年のような描写だったのに、どんどんクズ男に成り下がっていき、まさに人間味あふれるドロドロしたドラマだと思った。個人的にはドロドロ系がとても好きなので、また読みたい。笑

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2025年12月26日

ネタバレ 購入済み

面白い

一気に読んでしまった。なんとなくこうかなと予想はついたけれどそれでも面白かった。女の執着がすごくリアルで文章に引き込まれてしまった。ザラザラした終わり方だがそれでも潔さを感じた。好きな人は好きな感じだと思う。

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2022年05月04日

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ネタバレ

盲目的な、が恋だけでなく友情にもかかっていたのか、と最後まで読み進めると気づく。盲目的な友情もあるのだ、と。
今作は、恋愛的な要素に切れ味のあるサスペンス要素も絡んで、最後までドキドキが止まらない。私に新たな価値観をもたらしてくれた。
友情は、恋を救うことができるのか。恋を凌駕する程の絆を結ぶことができるのか。辻村深月さんの視点で問いかけた普遍的なテーマに、私はしばらく悩んでしまいそうだ。

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2026年02月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

友達と自分と若い時の恋愛を思い出した。
10代とは違って友達は自然に離れたり、たまにあったりして付き合ってくものだと思ってるけど、恋愛に興味無い留利絵はこんなにも執着してしまうのかと思った。でも、こんなにも大きくなくても何となくそう感じてしまう気持ちも分かる。
主人公も激しい恋愛をしているし、良い子だと思った友達もだんだん押し付けがましい気持ちになって最後には大好きな友達のはずなのに歪んだ愛で足を引っ張ってるのが痛々しい。
周りの羨望の人からの信頼や繋がりを得るために自分を犠牲にしたくはないなと思った。

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2026年01月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「美しい人は、必ずしも幸福ではない。」

蘭花と茂実。
出会いは光のようで、でもその光は、眩しすぎて、痛かった。
恋と友情の境界線は曖昧で、どちらも盲目になる。
読み終えたあとに、胸の奥に残るのは「これって本当に“幸せ”だったの?」という疑問。
この三人の視点を行き来することで、
「人間って、誰もが自分だけの正しさを生きてる」
そんなことを思わされた。

辻村深月さんの描く“人間の奥深さ”にまたやられた。
読後感は重い。でも読む価値はある。
むしろ、誰かとこの本について話してみたい。

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2026年01月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

感想が蘭花視点の「恋」編でなく、瑠利絵視点「友情」編に沢山の感想が溢れてきたのは私が瑠利絵側だからなんだろうな。

辻村深月さんの本を読むと、人間への観察眼が鋭すぎてどうしてこんなにも人間は"自分の物語"が強いのかと思ってしまう。
例えば瑠利絵がチケットを茂実経由で用意してもらったことにその価値以上に自分というフィルターを通した価値を付随させて大喜びしていた。
けど、蘭花視点だと『私は確かに星近の知り合いに頼んだけど、公開練習は普通に新聞とかでも観覧募集があるし」あまり知られていないだけで、注意していれば、募集の記事はよく見かける。しかし、感極まった様子の瑠利絵〜』と他愛もないことのひとつでしかない。

でも蘭花にも強い自分の物語があるわけで、
瑠利絵が男だったらいいのにと言う一方で蘭花は
かつての友人たちがパートナーを平凡だと評し、『茂実より美しく、私に合う魅力を持った相手』かどうかを常にジャッジしている。
もし瑠利絵が男だったとして、いくら蘭花と趣味が合って蘭花に優しくしたとしても蘭花は瑠利絵と付き合わないと思ってしまう。蘭花は誰もが羨むような彼との恋を他とは違う"特別"な恋だと思っているから。そんな彼女が瑠利絵を選ぶはずがない。

⭐︎

瑠利絵のされてきたことが日常にごろごろ転がっているのは酷いことだし、一部心当たりがあるものもある。直接四宮のように接してくる人は少なくても、ふとした折に線を引かれていると自覚させられる瞬間はあってしまうと思う。
でもだから自分も誰かに無意識に線を引いてることもたくさんある。
学芸員さんが仕事で1番大変なのは浮腫んでしまうことだと言って周りが笑っているのに瑠利絵だけ笑わなかったシーンみたいに。多分私は自分は何も考えず笑ってしまう。瑠利絵みたいに浮腫む体質だったらどう感じるかなんて考える隙もなく。

⭐︎

タイトルに盲目的とついているくらいで、この小説は恋/友情編どちらにも執着がどろどろ渦巻いている。
蘭花が茂実に(の容姿や将来有望な指揮者で初恋であること)、瑠利絵が蘭花に(自分を選んでくれる美しい親友であること)、茂実が菜々子に(世界的に認められていて自分を可愛がってくれている恩師の美しい妻が密かに自分と関係を持っていること)、菜々子が茂実に(将来有望で旦那を慕う美しい若者が自分に支配されていること)。
蘭花と元タカラジェンヌの母親との関係も少し違和感がある。

また瑠利絵は蘭花に『私と、平穏に暮らすのでは、ダメなのか。』と思うシーンがあるけれど、瑠利絵が蘭花のどんなところが好きなのかを語るシーンはない。
これは蘭花が茂実に抱く執着と似ていると思った。
その執着のきっかけが自身の容姿を乏しめられたことなのか、元々恵まれた生まれたために自分に釣り合うものを求めるのか様々だと思うけど。
自分では執着のきっかけを選べないのに、以降の人生それに振り回され続けることにやるせなく感じる。

私はどうしたら認められたと思うのか、
つまり何に執着しているのか、
そのきっかけはなんだったのか。
自分を掘り下げたいけどとても怖くなる面白い小説だった。

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2026年01月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

平易な言葉と緩急締まって気持ちいい文章で、一日で一気読み。
二者の目線から同じ出来事を描く形態の醍醐味は視点の違いによる描写の差異だが、この小説はタイトル通り二人とも「盲目的」なのでその差異を「どちらかだけが正しい/間違っている」と言えない。そしてその狂気的な盲目はページをめくるごとに増していくため、後半にいくにつれて同じ場面でも違う出来事のようになっていく。
「いっそ好きじゃなくなれたほうが楽なのに」「恋ってそんなに友情に勝るものなんですか?」「あの子より私のほうが親友として選ばれた」、これらは決して劇的ではなく、いや正確にはいずれも私の周りでよく聞く言葉であり、つまり劇的かつ平凡なものでもあると言えよう。
しかしこの物語は何と言っても最後のどんでん返しがすごい。私がもしや?と考察したものは全て作者の手のひらの上で転がされていただけだということだ。誰かに本書を薦める上でその人と私の関係性によって本書のテーマが難易度として立ち塞がる時もあるかもしれないが、「面白い」と推薦したくなる一冊ではあるだろう。

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2026年02月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

四日ほどで読んだ。年始1冊目。
リアルにかける部分が気になったが、誰かに認められたい、誰かの特別に選ばれたいと思ったことはみんな少なからずあると思う。自分自身小中高そんな子供だった。努力をして誰かの親友ポジションになろうとする、その姿を誰かに見せつける。結局他者からの肯定って満たされないから虚しい。瑠璃絵は美波にずっと勝ちたかった。容姿や性格にコンプレックを持ちながらでも、ひとつの席を奪い取ることで存在意義を得たかったんだと思う。しかしどこまで経っても微笑に怯えてしまう。いくら瑠璃絵が親友ポジションになろうとも、誰かに選ばれようとも、幸せにはなれなかっただろう。

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2026年01月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分たちはもちろん、周囲のすべてをも喰らい尽くしてしまうような。煮えたぎるように熱く、底なし沼のように暗くて冷たい、盲目的な、恋と友情の話。

とにかく留利絵視点がグロテスクすぎる。自己肯定感が低すぎるあまり肥大化した自己愛や、自他境界の曖昧さ、重度の愛着障害、見捨てられ不安が純粋培養された病的な依存と妄執、どれも直視できなかった。痛々しい、気持ちが悪いと憎悪すらしてしまうのは、私もまた留利絵と同じ種類の人間だからなのだろう。つまりはただの同族嫌悪なのだ。

自分を守るために目を閉ざし、耳を塞ぎ、自分にも他人にも嘘をつき、どんどん認識の中で事実が捻じ曲げられていくさまに、背筋が凍った。「あんなに正当化しないと痛みを認められないなんて」という美波の言葉は深い傷となり、これから先も私にじくじくと痛みを与え続けてくるのだろう。

恋とは、友情とは、愛とは何なのだろうと考える。私は、恋慕も友愛も依存も執着も、すべてを引っ括めて"愛"だと思う。"愛"はどれも均一ではなく、その人や時と場合によって、色も形も大きさも変わるものだ。ただ、その"愛"と向き合い、突き詰めた先の1番最後に、自分がいるのか、それとも相手がいるのかで、盲目的か、献身的なのかが分かれるのではないだろうか。

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2025年12月31日

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