【感想・ネタバレ】盲目的な恋と友情(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

タカラジェンヌの母をもつ一瀬蘭花(いちのせらんか)は自身の美貌に無自覚で、恋もまだ知らなかった。だが、大学のオーケストラに指揮者として迎えられた茂実星近(しげみほしちか)が、彼女の人生を一変させる。茂実との恋愛に溺れる蘭花だったが、やがて彼の裏切りを知る。五年間の激しい恋の衝撃的な終焉。蘭花の友人・留利絵(るりえ)の目からその歳月を見つめたとき、また別の真実が――。男女の、そして女友達の妄執を描き切る長編。

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

蘭花が星近に対して盲目的な恋を、留利絵が蘭花に対して盲目的な友情を抱いていた。

人が盲目になると取るような合理性のない行動が、すごくリアルに描かれていた。その状態を真剣に考えたこともないし、こんなに言葉にしたこともなかった。痒い所に手が届くような、孫の手みたいな作品だった。別れろ別れろ言われても聞く耳持たない人っているよなあ。

が、私はそんなどえぐい恋愛もしたことないし、友達にこんなクソデカ感情を抱いたこともない!
わたしにとってはどちらもドラマの世界だった。今後経験を積んでから読み返してみると違ってくるのかも。

この中だったら留利絵に共感できるかなー。
選ばれた側の人と選ばれなかった側の人が決定する瞬間って、小さいものまで含めると日常に無数に存在してると思う。しかも人がそれを判断する時って無意識だったり、自分が判断を下したことにすら気づかなかったりするから、嫌になっちゃう!

0
2026年10月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とても面白くて一晩で読み終わってしまいました。蘭花と茂実の恋が始まるシーンはとてもキラキラしていて心が弾むのですが、ある出来事から状況が一変し、絶望的な関係に変わります。このシーンは訳がわからず血の気が引きました。客観的に考えればすぐに別れれば良いものの蘭花は別れず、ダラダラとどうしようもない関係が続きます。この時の蘭花はドーパミン中毒、刺激中毒のような感じで、不幸な状況をジェットコースターのように楽しんでいるようにも感じられました。個人的には若い時の恋愛ってこんな感じだったなぁと懐かしくなりました。
ただ、最後のオチは予想できない内容でとても驚きました。おすすめの1冊です。

0
2026年09月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

出会った当初から気持ち悪いな(大褒め)と思ってて、久々に読み返し。恋愛パートも好きだけど、友情パートの絶妙な気持ち悪さが大好き。
そうだよね、男の人の人間関係は分かんないけど、女の子はもしかするとどこかで程度は違えど出会ったことあるよね。こういう女の子。
個人的にコンビニで主人公の当時の彼氏と"あの子"が嫌いって話をしてるシーンが、最強に人間の嫌なところかつ真理を映してて、気持ち悪くて大好き。
こんなにもどうしようもないのに、私も主人公くらい身を滅ぼすほど人のこと好きになりたいとさえ思ってしまう。

0
2026年09月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

はじめは単なる恋愛小説かと思っていたのに、最後の展開があまりに衝撃的で、読み終わってため息が出た。
別作品も読んだけれど、人間の虚栄心や自己愛、歪んだ執着心といった複雑で繊細な感情の描き方があまりにも上手いと思う。文章も難しすぎるわけではないのに、美しくて読むのが心地よい。蘭花の凛とした美しさが想像できるような文章だった。ミスリードからの、真実が明らかになる瞬間までが怒涛すぎて。登場人物たちの心情が強く関わっているから絶対にわからないだろうと思うのに、ほの暗い執着心に妙に共感してしまったりもした。傲慢と善良に似通う部分もあったように感じた。恋のパートも友情のパートも、出力は違っても根底には執着と支配欲があるように感じられた。すごく好きです!

0
2026年09月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

恋パートを読んでいた時は、ダメな男に振り回される可哀想な女の子と友達のために人殺しも厭わない狂気を感じる友達の話に映ったが、最後、茂実を殺害したのが「留利絵」ではなく「蘭花」だった、という真実が明かされて、話の意味が反転した。

結局己の気持ちに貼ったラベルが「恋」か「友情」かが違うだけで、蘭花と留利絵は本質な部分で似た人となっている。「自分自身の価値を他者との関係から見出す」という部分でだ。

蘭花は、「才能ある若き音楽家、茂実星近の彼女」として、
留利絵、「綺麗で賢い一瀬蘭花の親友」として自分を定義している。
別にそれを誇りに思うのは問題ないが、問題は自分から価値を見出せる要素がそれしかいないことにある。

一つのことに全てを捧げてきた人間は危うい。自分のアイデンティティを一本の柱が支えていて、それが崩れたら自分という人間そのものが崩れかねない。そして人間は、それを防ぐためならなんでもする。

アイデンティティの崩壊を迎えた人がどうなるか、それを見せたのがまさしく茂実だ。業界から干され、嘱望される音楽家という柱をなくした茂実は衰えていった。自暴自棄になり、死にたいとまで思った。それほどに自分を支える柱が崩れるということは恐ろしいことなのだ。

蘭花も留利絵も相手を愛していると、親友だと思いながらも、最終的にその相手に害をなす選択をする。蘭花は茂実を殺害し、留利絵はそんな蘭花を告発した。どちらも一人の人間に妄執する点では全く同じで、歪だ。盲目な気持ちは、盲目ゆえ感情を向けていた相手さえも視野から消してしまうのだ。

0
2026年09月06日

ネタバレ 購入済み

面白い

一気に読んでしまった。なんとなくこうかなと予想はついたけれどそれでも面白かった。女の執着がすごくリアルで文章に引き込まれてしまった。ザラザラした終わり方だがそれでも潔さを感じた。好きな人は好きな感じだと思う。

0
2022年05月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

留利絵がとにかく色々なところが拗れていて可哀想だった。
留利絵の家庭環境が相当な物であったゆえに認めてくれる人がいるとその人をどうにかして絶対そばに置こうとするのがなんとも…

0
2026年09月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

友情は恋には劣るのか?一般的には結婚をして家庭を築くことが人生の目的や目標とされており、恋に夢中になり、周囲に関心を持ち噂話に花を咲かせ、適度に遊び遊ばれつつ結婚をして子供を設けながらも仕事に勤しむ。世渡り上手で一番この世を正しく生きているのは美波ちゃんであるように思えて、美波ちゃんが心底羨ましくなる。
愚直なまでに初恋に溺れる蘭花と、自身の容姿のコンプレックスから自分の隣に羨望を集める親友を置いておきたい留利絵からの2つの視点で描かれる物語。
歪んでいたり、歪な想いだと感じる場面もあるが、でもその気持ち分かる。というポイントが蘭花にも留利絵にもあり、完全に異質な考え方でなく、思春期に同じようなことで悩んだり不安になったことがある人は多いはず。その不安が大きく偏ったときに、この2人のような行動や考え方になってしまうのかもしれない。と、自分の生きる世界や生活とは異なる世界観の中であっても、完全に切離した存在であるとは思えなかった。
特にルッキズムに悩む思春期を送ってきて、スクールカーストを生きてきた私には留利絵のような視点で描かれる物語を垣間見ることができて興味深かった。小説やゲームは蘭花のような美人が物語の中心に据えられていることが多いので、コンプレックスを抱えて他者から傷付けられてきた人の気持ちにも触れられていたことが私の中では一番共感を持てた部分だった。

0
2026年09月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

はじめからどんよりとした空気が漂っていて、読むのに苦戦しそうだなーと思っていたが、読み進めていくうちにページを捲る手が止まらず1日、いや一瞬で読み切ってしまった。
後半の留利絵の、ルッキズム由来の自己肯定感の低さからくる恋愛コンプレックス、他人や友人に対する強い執着などなどがとても他人事とは思えずに読んでいて怖くなった。こういう人間ってどうやったら負の連鎖から救われるんだろう。
女のギスギスした感じや、救われない結末が湊かなえを感じた。

0
2026年09月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

見方によって真実が異なり、
なんというかリアルさみたいなところが描かれており面白いはんめん、重くはあります。。

0
2026年09月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

盲目的とは、周りを見れているような大人びた子でも、自分と相手との1体1であると構わず自分と相手の世界中心になってしまう様子が狂気であり、面白かった。

ダメな男にのめり込んでしまう、純粋で可憐な女の子が、少しずつ彼に熱中していく様子がとても生々しい。幸せな時間は束の間で、そこから綻びが生まれ、一気に転落していくスピード感も印象的だった。

だからこそ、周囲から何を言われても「女々しくてもいいから、まだ続いていたい」と嘆く蘭花を見ていると、「もうやめたらいいのに」と、少し据えたような気持ちになってしまう。

客観的が良い点で上げられていた蘭花が相手へ熱中していく様子をリアルに描けているのがすごいなと感じた。

そして友情の留利絵パートへバトンが繋がれるとまた視点と印象が変わるのもすごい。

蘭花のことをずっと傍で見ていた留利絵には、逆に私も少し共感できる部分があった。

私にも「親友」とはまた少し違う、特別視している存在がいたなあ、と思い出していた。別に付き合わなくてもいい。ただ、できるならずっと傍にいて、一緒にいられたらいいのにな、と思うような特別な存在で、

だから、留利絵の気持ちは少し分かる。

ただ、留利絵の「じゃあ、私に感謝してもいいんじゃない?」という傲慢さは、どうしても好きになれなかった。

私なら、「私と一緒に幸せになろう」よりも、「相手が幸せなら、それが私にとっても嬉しい」と思える関係でありたい。相手の幸せの隣に、必ずしも自分がいる必要はないと思うから。

そう考えると、私自身も過去の経験を通して、少しずつ「盲目的ではない」人との付き合い方ができるようになったのかな、と思った。

相手のために、相手を「好き」と思う気持ちが一方的に注がれていく苦しさと危うさをすごく感じられて、どの人間関係にも当てはまるんじゃないかなと感じました。

0
2026年09月05日

「小説」ランキング