あらすじ
もしもあの時、勇気を出していたら…
そんな誰もが心に秘めている忘れられない夜を犠星塾塾長 能島明、ミュージシャン パラディソ、そして財団法人ミックステープ代表 月満子が判定します。
「やれたかもしれない夜は人生の宝です。」
ネットで話題のあの作品が待望の電子書籍化。
note、cakesで発表された第1話~第8話を大幅加筆修正。さらに特別編「まるでクジラの胃袋のような長い廊下で」6pを描き下ろしで収録。
(保坂和志さんとの対談記事は紙書籍のみの収録となります。ご注意ください。)
感情タグBEST3
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表紙を飾るクールビューティ満子さんの「やれた」を見たい。
(あれってミチコだっけ、ミツコ…くそっ、読んだ筈なのに何故フリガナを思い出せないんだ)
そう思って読み進めた野郎は多い筈。
なのに一巻唯一の金星は女性…だと?
女性側がOKならヤレるに決まってるじゃないか。ある意味真理。
そうじゃない。そうじゃないんだ。
俺たちの読みたいのは野郎のやれたかもしれないを満子さんに「やれた」と認めてもらうことなんだ。
(名前ミチコさんだよな……はぁはぁ)
これは…2巻も読まなきゃね。
Posted by ブクログ
コレは凄い。いやあ、凄いです。めちゃんこ面白かった。ビックリしました。最初は、タイトルだけ見て、単なるネタに走った漫画っぽいなあ、、、って思いました。正直。思っちゃいました。ごめんなさい。本当に真実マジで嘘偽り一切なく、本当に面白かったです。
「やれたかも委員会」という奇妙キテレツな委員会の存在を考え付いたのが、まず素晴らしい。設定の妙。そして、「やれなかった」という他人の体験談が、これほどまでに興味深く面白いものだとは。着想の妙。これは、推理小説でいうならば、すげえトリック考え付いた!このトリックで一冊書けちゃうで!コロンブスの卵的スペシャルとんでもないネタ、みたいなものでしょうかね?どうなんでしょうね?
で、その設定だけ、ネタだけではなくて、漫画として、なんだかめちゃくちゃ真っ当。作者の吉田貴司さんは、「本当に自分の言葉で漫画を描いている」と、感じました。自分は。これはマジで真実だな。と。角田光代さんの小説みたいに、「本当にその本人の内側から出てきた言葉で語ってる」って感じがビシバシ。なのです。そう思ったのです。
ちなみに、1990年代の少年マガジンの作品ででめちゃんこ売れていた、イタバシマサヒロさん(板橋雅弘)原作、玉越博幸さん作画のあの懐かしの「BOYS BE…」を、思い出しました。で、「これは、年食ったオッチャン世代向けのボーイズビーなのではなかろうか?」とか思った次第です。あくまでも個人的にそう思っただけなのですが。「BOYS BE…」懐かしいですよね。当時、めちゃんこ売れてたよなあ、、、ああ、懐かしい。
case001 干し芋と横たわるあの子
第一話にはその作家のその作品の全てがある?と言ったりするかもなのですが、これはもう、圧倒的に素晴らしいです。全話のなかで、やっぱこれがいっちゃん好きですね。万人受けするかどうかは極めて謎ですが、自分には、あまりに素晴らしくて読み終えたあと、無暗矢鱈と人に薦めまくりたくなりました。凄く好きな個所は、この話の主人公の増田が、倉橋由美子の部屋の本棚に並べられている本の高さがキレイに揃っているところに感動した?驚いた?ところと、ベッドに寝転んだ由美子の後姿を見て「地平線に浮かぶ 遠い山並み」と表現するところです。あの感じがたまりません。あと、「やれたか~」と手を合わせて天を仰ぐ現在の増田の姿。ちょっと、神々しささえ感じました。それを神々しく思ってしまう俺はアホなんちゃうか、とか思いますが、感じちゃったのだからしょうがない。
case3 焼きそら豆と内もものぬくもり
紙媒体の単行本1巻の表紙、裏表紙のデザインにもなっているところからすると、この話に登場する女の子、「川上ヒロミ」が、読者人気が一番高かったのだろうかなあ?とか想像する次第です。いやでも、めっちゃ可愛いし、まあ、そうなんだろうなあ。きっと。いやもうめっちゃ可愛いですね。「慰めに来てやったぞ~」という超弩級の必殺の名文句が登場します。あんなかわいい子にあんなこと言われたらイチコロですね。最強ですね。
あと、月満子女史も言っておられましたが、カラオケでのGLAYのHOWEVER熱唱?絶叫?のくだりは、まじで最高ですね。実際には自分にはそんなことあったこともないのに、何故か、何故か「わかる!!わかるよその気持ち!」って思っちゃうあの感じがてんこ盛り。吉田さん、きっと、GLAY好きなんだろうなあ。あの時代のあの辺りのGLAYは、ホンマに邦楽ロック、邦楽ポップスのシーンのド真ん中にしてド頂点な存在でしたよねえ、、、
case4 プディング特集と絡まる指たち
さわべーとマチルダが電話で会話してる時、というか、さわべーが「好きです」って言っちゃった時に、一コマだけ、さわべーの本棚の村上春樹の文庫本が描写されるコマが好きですね。さわべー、おめー、そういう趣味嗜好なヤツなんだなあ、、、ええなあ、ってかんじで。村上さんが訳している、ティム・オブライエンの「ニュークリア・エイジ」も、ちゃんと並んでいるところとか、好感度高いですよね。「それでいい。それでいいんだ、、、!」って応援したくなっちゃう。村上春樹の小説にハマってどかどかと読み進めていったならば、ティム・オブライエン、スコット・フィッツジェラルド、レイモンド・カーヴァー、J.D.サリンジャーあたりも読みたくなるのは、ファンとして必然ですよねえ、、、とかね、しみじみ思いますよね。満子女史の「大人はいつも雨天決行」という必殺の名台詞も炸裂。素晴らしい。
case6 平成22年のミラーボール
やれなかった体験談を話す芳村朔太郎(萩原朔太郎と関係あるのか?)が、38歳になった時に、バー経営をしている、っていう設定が好きですね。若かりし折、あのクラブイベント「黒ダレNight」に呼んでくれたバーのマスターに、凄い感謝して?結局は自分も、その道を選んだんだろうなあ、とか、勝手に想像しちゃいます。んなこたあねえか?どうなんだろうなあ~。
あと、犠星塾塾長、能島 明さんのキメ台詞は、ホンマに泣ける。全てのやれなかった男たちを優しく肯定してくれる、とんでもない慈愛に満ち溢れた存在感とその一言。その一言で、救われる男たちがいるんです、きっと。多分。いやもう、素晴らしいなあ。
Posted by ブクログ
昔どこかでちょっと読んで、ああ、この本は素晴らしい!と思ってたんだけどヴィレヴァンでやっと発見。購入。後書きを読み、この作品の魅力の言語化がやっとしっくりきた。つまり、これは、純愛物語なのだ。そして、フォーマットとしては法廷モノ。偶有性のスリル。やれたかもという物語を胸に抱くことが自分を形作るというようなことがこれも後書きで語られているけど、本当にそう思う。