あらすじ
山神一也は整形手術を受け逃亡している、と警察は発表した。洋平は一緒に働く田代が偽名だと知り、優馬は同居を始めた直人が女といるところを目撃し、泉は気に掛けていた田中が住む無人島であるものを見てしまう。日常をともに過ごす相手に対し芽生える疑い。三人のなかに、山神はいるのか? 犯人を追う刑事が見た衝撃の結末とは!
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Posted by ブクログ
とても引き込まれる話で終始読む手が止まらなかった。
ラストに向けての展開がなんというかもう、胸が苦しくなった。
家族といえど恋人といえど、自分以外の人間を信じると言うことは難しい事だと思う。
田中の怒は、何に対してだったのだろう…
Posted by ブクログ
本当は誰かを信じることはできない
思いどおりにいくことなんてない
どんなに大切な人でもそのひとを知ることはできない
優しさや親切も苦労も
例え言葉にしたとしてもそれは想った通りに伝わらない
愛子はぐちゃぐちゃになって前に進み
田代をつなぎとめた
優馬は逃げまくったけど
偶然に直人の想いと最後を知れた
辰哉は田中を殺し、泉は辰哉のために行動した
愛子と優馬の比較をしてしまいそうになるけど
相手を想い信じることを必死にやろうとしたことに違いはない
辰哉が感じた怒りと、田中が壁に書いた「怒」
田中の怒りとはなんだったのか
心が壊れた人間が怒りを感じることができるのだろうか
自分への怒りなのか
誰かの怒りのことなのか
どうしようもないこの世の中への怒りなのか
他人の怒りで自分の幸福を確認する
人を下に見ることで自分を高める
辛いことや悲しいこと恐怖や怒りに満ちた社会とは俺は別の次元にいると信じる材料としての怒り
もしそうだとしたら田中が誰かを信じることは、自分が作りあげてきた歪んだ世界を壊すことになるのでは。
いつ来るかも知れない信じるものを失う辛さに怯えるよりも、信じられる対象を損ない破壊することで維持される世界に生きること。
自身と大切な人の生活に深く関わり、信じていた人がそう言う人間だったとわかった時。
例えば自分はどういう行動を取るだろう。
Posted by ブクログ
最近話題の映画の国宝の筆者だと、読んでいるうちに気づいた。
ゲイの世界に対しても解像度が高いように思い(単純に私が知らないだけかもしれませんが)、幅の広さを感じた。
それぞれのシーンの時間軸が違うだけで同人物なのかと思いきや、報道のタイミングから同時並行で進んでいるシーンがあることに気づき、読み進める手が止まらなくなった。
警察署で南條が言った「結局は場所なんだよ」という言葉が残った。それは自分の持つ価値観でも言えることかもしれない。どこでどのようなシーンで知り合ったか、などなど…。
洋平が愛子を信じられていなくてこれから愛子を信じようとしていること、信じていた田中が大吾を裏切った(信じられなくなった)こと、北見が美佳を信じようとしたが叶わなかったこと、相反する部分がうまく咀嚼できなかった。
美佳は一体何をしてしまったんだろう…。
Posted by ブクログ
理不尽な結末。やりきれない気持ちになります。
何かがひとつでも阻止できれば、この結末からは逃れられたのではないかと思います。現実もこんなもんか、それ以外の事で溢れているんだろうな。
結末に向かうにつれて、読むにも熱がこもりました。純粋に読書として楽しかったです。最後に愛子が幸せになれそうで良かった。上を読んで犯人予想してたけど違った!!