あらすじ
二〇二二年仏大統領選。極右・国民戦線マリーヌ・ル・ペンと、穏健イスラーム政党党首が決選に挑む。しかし各地の投票所でテロが発生。国全体に報道管制が敷かれ、パリ第三大学教員のぼくは、若く美しい恋人と別れてパリを後にする。テロと移民にあえぐ国家を舞台に個人と自由の果てを描き、世界の激動を予言する傑作長篇。
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Posted by ブクログ
ウェルベック・ミーツ・イスラム教。
フランス大統領選の話だけど、政治ネタは3割くらい。セックスと食事の話が楽しい。
宗教やユイスマンスの話は、よく分からないなりに楽しい。
最近「一夫多妻制って制度化されてないだけで日本も実質そんなもんじゃ?結局、所得が高いやつが愛人とか囲ってるわけで」
って事を知っちゃって、せちがらい。
Posted by ブクログ
「人間の絶対的な幸福は服従にある」。
2022年のフランス大統領選で、ファシスト党とイスラーム党が決選投票に残り、イスラーム政権が誕生するお話でした。
楽しいの意味はなく、面白かった。
知識や教養は、超越神の前では脆い。インテリほど迎合も早いというのは驚きです、フランスはレジスタンスの国だと思ってたけどインテリはこうなのかな?
この主人公は、再び大学で教鞭を執って生活していくためにイスラームに改宗するというより、何人も妻が欲しい…の方が強そうなのにもやもやするところがありました。もともとノンポリなのも珍しいかも。
外堀から埋められるみたいなところに寒気がしました。その方向からか、と。
実際にこれが起こるかと言われれば8割方無かろうとは思います。でももしも…となれば、このお話の流れは自然に感じられました。
一神教の国でこうなんだから、多神教だともっと容易そう。だけど、男性観で拒否しそう。。
2024年に読んでいるので、解説にあるイスラエル人のご友人の「ハマスの主敵はイスラエル」がつくづくわかります。イスラーム国とハマスがガザ地区で内ゲバやってたのは存じなかったけれど…どちらもスンニ派なんだな。
世界的に世論はパレスチナ支持に傾いてる。イスラーム支持でなく、イスラエルがやり過ぎという方向で。
でももしもイスラエル側が「敗戦国」とされても、それがそのままイスラーム支持という意味にはならない気はします。見方が甘いかなぁ。
Posted by ブクログ
2022年、フランスがイスラム政権下に置かれ、潤沢なオイルマネーに懐柔されてソルボンヌ大学が買収され、女性はブルカを被り、労働を禁止され、イスラム教国になっていく。主人公の文学部の教授は改宗しなければ、教授を続けられずついに改宗し妻を娶るのだった。
世界をリードし、どこまでも個人主義を推し進めた西洋文明が自殺をとげ、人口減少、経済衰退の中、イスラム教を取り込むことでかつてのローマ帝国を復活させようと試みる。
Posted by ブクログ
どうしても惹かれて、本当は本を買っている余裕がなかったのに、一冊なら!と購入。
呼ばれたなー。
というのも、直前に萩耿介『グレイス』を読み。
その前にフリードマン『新100年予測』を読んでいたんですねー。
フリードマンの方は読み終えていたので、ドイツとフランス間のアレコレが気になって手に取ったのは間違いない。
ただ、『グレイス』に出て来たデュルタル神父が、まさかユイスマンス経由でこの作品に繋がってくるとは。呼び本、恐ろしや!
そんな訳で運命的に手にした一冊なのだけど、なかなかすごすぎる。
国民戦線とイスラム党の決選投票。
そこから目まぐるしく変化するフランス内部。
主人公が車で移動するときの、情報から断絶された静かな狂気のシーン。かなり怖い。
選挙ってこんな暴力的に破壊出来るのか!そりゃそうだわ!という発見。
ユダヤ人の彼女はイスラエルへ引っ越してしまうし、女性達は服装もキャリアも穏やかに退去させられることになる。
主人公の最後の決断がまたエグい。
私はユイスマンス読んでないから分からないけど、『グレイス』で感じたデュルタル像から安易に対比させるのに抵抗がある。
なんだかんだ右往左往して、彼が守ったのは女性達が「信仰上」心から捨てなくてはならないものだった訳で。
つまりは孤独を貫くではなく、孤独を癒やしてくれる救いが欲しかったわけですか……。
他の方のレビューにもあったけど、描写が村上春樹に似ているからか、飄々とエグかったわ。
なのに、ディストピア小説って言えるほど、かけ離れた嫌悪感がないこともまた怖し。
これをディストピアと感じる人は、マジョリティかマイノリティか。
選択することで、放棄しなくてはならないものの存在がある。
それは一人一人が自発的に行えることが理想なのだろうけど、国や宗教といった集団に属する限り、個人は時に無視されてしまう。
そうした世界に溶け込み、無視されたものを敢えて見ないようにする力に服従することは、幸福なのか。
何かと考える。ユイスマンスも読みたくなる。
フランス選挙の結果も気になる。