あらすじ
少女と先生の幻獣医療譚、開幕―。 人々がまじないの術を忘れ、科学の光が世界を照らし始めた時代。幻の生き物たちは消えゆくのを待つのみとなっていた。そんな今は珍しい魔術師の家系に生まれた少女・ツィスカは、獣医としてその力を使うべく獣医師の「先生」に師事していた。これは、かつて人が祈った命を救う物語。
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Posted by ブクログ
〔Ⅰ〕時代は魔女の薬に頼らず科学技術中心の世界になりつつあり幻獣たちは信じない者には見えないファンタジー世界の夢になっていた。
〔Ⅱ〕魔術師の家系に生まれた少女ツィスカは失われてゆく自分たちの世界に無力感を抱き始めている。
〔Ⅲ〕ツィスカの職場である獣医の医師ニコは科学を使う医師であるとともに幻獣たちを見ることもできる者であり、ツィスカは彼女にしかできないかもしれないことを示唆される。
■ツィスカとニコについての簡単な単語集
【アイゼンフート】薬草。ヴァイデより強い鎮痛効果を持つ。錯乱や呼吸異常をもたらすこともある。
【アニ】カミルの弟子。俺っ娘。十六歳。
【アルラウネ】薬草。モルヒネやエーテルが出てきて用途は減った。葉っぱの生えたモグラとか動物の姿をした幻獣のアルラウネもいる。
【医師】先生《だが、お前は自分の力を過信し 他人に相談するという大事な選択肢を自分で捨てた 命が一つかかっているのに、だ 医者として、絶対にしてはいけないことだ わかるか》第一巻p.36
【ヴァイデ】薬草。鎮痛効果を持つ。
【ヴォルパーティンガー】翼のある兎のような幻獣。肉食で凶暴。
【科学技術】現象が、それを扱う者の能力に依存しない固定されたものとして現れるようになること。幻獣はファンタジー世界の生物に過ぎなくなります一般の人には見えなくなっている。
【カミル】先生いわくガラクタ屋。
【幻獣】超自然的な存在で人間の科学技術とは相性が悪い。その傷を治すためにはファンタジー的な何かが必要。
【サラマンダー】カミルが手に入れたが弱っていた幻獣。両生類の一種かもしれない。
【先生】獣医。カミルはニコと呼んでいた。科学技術により医療を施す人物だがいまだ幻獣を見ることもできる。
【ツィスカ】魔術師の血を引く少女。十三歳。魔女の薬を作ることができるが能力は弱まっている。
【ニコ】→先生
【リンドリウム】竜の仔。流星の幻獣。物語スタート時登場の最初の患者。ツィスカが見つけた。人間の狩りに巻き込まれたのか銃創があり弱っていた。
雰囲気ある漫画
現実には存在しない、珍しい動物や植物がたくさん出てきます。医療とは何か、どうあるべきか、という話も出てきて、考えさせられます。ファンタジー好きな人は好きだと思います。
Posted by ブクログ
廃れていく魔術。それと反する医療。そこをベースに描かれている、相補的な話。
意識と無意識があるように、全てがなにかひとつの事柄で判断できて、治せるまたは修正できるわけではない。生命を救うって見えない力を信じないとできないんじゃないかな…って考えさせられる。
Posted by ブクログ
科学と魔術が交差する…なんて書くとあの超有名タイトルが思いつくけれど、本作で描かれているのは魔術の時代が終焉を迎え科学の時代に移り変わろうとする境目の時代。それを幻獣の医療を通して描くというのは独特の視点に思えた
魔女の家系に生まれ魔術の使い手として自分にできることを必死に模索するツィスカと科学の時代へと変わったことを理解している獣医のニコ
二人共魔術への造詣があり医療知識も有る。ただ、魔術と科学のバランスに対する認識が微妙に異なっている点が本作の面白さを醸し出しているね
認識の違いが時には衝突の原因ともなるんだけど、時には科学では救うことが出来ない幻獣を魔術で救う手立てを見出す道に繋がる事もある
時代としては魔術よりも科学が信頼を得始めた時代であり、作中描写でも幻獣を助ける際であろうと科学に基づいた医療知識を入り口としてニコは診療を行っている。けれど、リンドヴルムやサラマンダーを治す際にはむしろ科学に基づいた医療は幻獣にとって毒となる
そこでツィスカが幻獣の生態に見合った医療魔術を行使することで彼らを本当の意味で助けられるという流れは良いね
特にヴォルパーティンガーの話ではその傾向を強く感じられたなぁ
科学的医療で病名は判っても、病気が何なのか判ってしまうが故に救いの手を差し伸べることが難しく、同時に延命治療の矛盾とも向き合わざるを得なくなる
それをツィスカが科学的見地からすれば反則とも言えるような手法に拠って救ってしまう展開には良い意味で驚かされたな
この巻を第1巻として見るならば、メイン二人の背景やどういった関係性なのかという点があまり描かれていないのは気になってしまうのだけれど、一方で背景を描きすぎないことで医療従事者としての側面を強調しているようにも思えた
話が進んでいけばどうしてツィスカがニコの元で助手を始めたのかという点も描かれるのかな?