あらすじ
消えゆくものと受け入れるべきもの。時代の交差点で紡がれる、少女と先生の幻獣医療譚。 「魔術師」である少女・ツィスカは獣医師見習いとして、傷ついた幻獣たちを癒すと共に自身の在り方を模索していたのだが…。
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Posted by ブクログ
>前巻の続き。負傷してる水中の馬みたいの。元気ない理由は。
>カーバンクルの手術。《お前が自分で少しでも役に立つと思う事をやってくれ》p.53
>ライ麦狼の異常。《あたしの魔術は 「状態を変化させる事」》p.175
>最後になにやら怪しげな連中が登場。ツィスカを狙っている?
>幻獣は結局、人から、正確には人の作り出す文明から離れなければ生きていけない? しかしもしかしたら人の想像力によって生まれている可能性もある? ツィスカの魔術も似たようなものか。そこら辺に悩ましさがある。
Posted by ブクログ
魔術が仕えるツィスカと医療技術を持つニコ
二人はいわば相棒のような間柄なのだけれど、かといって相棒モノにありがちな衝突ばかりとか凸凹コンビという訳ではなくて、もっと単純に得意分野が似ているけれど異なるというタイプ
それにより互いの目指す医療の形に理解が有るし、治療現場では非常に息の合った連携を見せる
特に第6録においてツィスカが魔術的側面からではなく、ケルピーをよく観察して医療従事者としてすべき事を躊躇しなかったシーンは良いなぁ。
現場を見てすぐに「良い判断だよ」と褒めたニコの様子からも二人の信頼を存分に感じられた
そしてこの巻のメインと言えるのは第9録から始まるニコの過去に纏わる一連のエピソード
彼は魔術について知識を持ちつつも魔術を使えない。また科学の時代へと移り変わっていくと知りつつも魔術の尊さにも気付いている
魔術と科学に対して非常に微妙なバランスの感覚を持ちっている点が不思議な在り方をしていたのだけど、このエピソードを見て彼の人となりが随分見えてきた気がする
科学では救い方が存在しないライ麦狼。幼少の頃は無力で無知であったために救えなかったと考えていた彼は獣医となり多くの知識を身に付けた。だというのに彼の力ではライ麦狼を畑から出せないとは……。
知識だけでは幻獣を救えない。ニコには嫌というほど現実が突きつけられる。このエピソードほど彼が科学の側に立つ人間なのだと感じさせる描写はなかったよ
だからあの状況でライ麦狼を救うためにはそれこそ奇跡の力が必要なわけで
変わりゆく時代に翻弄されるツィスカには魔術は使えても精霊の在り方をひっくり返すような奇跡は起こせないと思われた。こちらもある意味現実を突きつけられている
でも、ツィスカは突き付けられた分だけ自分の力とは何かを見つめ直すことが出来た
ニコはツィスカが知らない知識を多く持ち医療技術も高い。一方でツィスカはニコが使えない魔術を行使できる。二人はぶつかり合うのではなく、足りないものを補い合う相棒
まだまだ医療助手の立場のツィスカだけど、ニコに出来ない部分を突き詰めていけば科学では助けられない命を助けることだって出来るのだろうね
出来ることが異なる二人の関係とはどういうものか、とても判りやすくそして感動的なエピソードに仕上がっていたね