あらすじ
まさかあの人が!――会社の中で不正は常に起こっている。
不正をする会社や社員は、一見して外見も内面もろくでもない奴らだと思われがちだが、実際は違う。「まさかこの会社が」「この人が」と思えるような普通の会社や社員が不正をしたり、他者に不正を強要したりするので、なかなか表面化しない。本書は、経理アドバイザーとして複数業種の会社を見てきた筆者が、会社組織という集団にこそ潜むモラルの脆さを、その経験を通して伝えるもの。不正者の言動や伝票の出し方など、経理ならではの視点から見た笑えないエピソードも加え、組織で働くすべての人に向け、「誰もが不正に手を染めかねない現実」に警鐘を鳴らす。
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Posted by ブクログ
会社のお金に関わる不正(不正会計・粉飾決算・使い込みなど)が、なぜ“普通の人”から起きてしまうのか。その心理と、企業側の環境要因を経理の視点でまとめた一冊。
印象的だったのは、
・不正は“悪人”ではなく普通の人が引き起こす
・日本企業特有の「会社は家族」文化が処分を甘くし、不正を温存する
という指摘。
これは民間企業だけでなく、政治の世界にも通じる構造だと感じた。
また、不正に巻き込まれやすい人の特徴として「意思が弱く、迷惑をかけたくないと思い込む」点が挙げられており、昭和型企業文化そのもの。令和では、この価値観のままでは生き残れない会社も多いのでは。
対処法として本書が挙げるのは、
・目立つキャラを演じる
・皆で拒否する
・無理なら転職準備をする
の3つ。今の時代なら、転職準備が一番現実的かもしれない。
経理部門の独立性を高める方法として、担当替えやアウトソースの話も興味深かった。NVDAのように社員・ベンダー・顧客がフラットな構造なら、不正の土壌そのものが薄れるのでは…と読んでいて思った。
結局この本は「企業のお金の不正」を通じて、日本社会に残る昭和型文化の問題をよく浮き彫りにしている。令和でまだこうした会社があるなら、早く淘汰されるべきだと感じた。