あらすじ
父・伊勢崎博士の手で容易ならぬ超能力を与えられた少女・遥。彼ら親子は、属していた秘密組織「ZOO」から逃亡していた。そして、7年を経て、組織の追っ手により、再び戦いの中へ身を投じることに! 激闘で父を失った遥は、やはり特殊能力を持つ犬・アレキサンダーと孤児院に身を潜めるが――。殺戮、数奇な運命、成長する少女。彼女の行く手に待つのは何か?
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Posted by ブクログ
2002年の作品、恩田さんは所謂、予知夢、生まれ変わり、超能力というネタが
好きなのかもしれない。まだ、宇宙人作品には遭遇してませんが。
本の中にあった放射能汚染抑制作業ができていれば、2011年の日本も変わって
よかったのになあと非現実的な空想をした。
この本は恩田ワールドに珍しく、閉じた話になっていて、いい終わり方をしているような気がする。世界から地雷が無くなればどんなに幸せか?
マッドサイエンティストがいないと始まらない物語ですが。
Posted by ブクログ
解説外薗昌也氏。
『犬神』も読んでみたい。。
劫尽の火、劫火 という単語を知らなかったので、
単純に身体能力が高い子供、と思って読み進めていたので驚いた。。
こんなにも分かりやすいタイトルだったとは。。
恩田陸氏の描く少女は皆頭が良くて、なかなか理解し辛いが
今回10、11歳位だったせいか割とすんなり。
長編なのだろうけれど舞台、季節の変化で章が切り替わる為、もっと長く読んでいたかった、というのが1番の感想。
父親の焼きつくせ、という言葉をどう受け止めたかで、全然進む道が変わってくるのだなぁ、と。
(ひょっとしたら父親の真意は違うかもしれないが。。でも母親のタイプからして。。。)
もやもやするのではなく、こうかもな、と色々な可能性を探れる感じの読み終わりでした。
Posted by ブクログ
ストーリーとしては特に驚く箇所やサプライズがある訳でもなく、大体なんとなく想像しながら読んでいける話ではありましたが、こういう主人公が好きなので楽しく読めました。
中でも、主人公が死んでもいいと思う瞬間がありましたが、そこがなんだか、「はっ」となりました。
恩田さんワールド炸裂でしたね。
Posted by ブクログ
父伊勢崎博士に遺伝子をいじられたかしたで、超能力(身体能力、鋭い五感等)を獲得した伊勢崎遥。父の謂われるがまま殺戮を繰り返す。
彼女は設定上は小学生中学年か高学年という事だが、意識としては老成した50代程度みたいな設定です。
倫理的な思考はできるものの、殺戮への罪悪感は薄い模様。ただ、物語の後半でニューメキシコかシェラネバダあたりの貯蔵施設で核爆弾の処理(誤爆→周囲の汚染)に騙されて加担するというくだりがありました。これが応えた?模様。
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このあたりの「心」未熟さが面白いところかもしれません。
ミュータントやロボットは自尊心を持ちうるのか、とでも言い換えることが出来るのかもしれません。キチンと情動もそなわっているのに、他人の為に労働を強いられる。感じる心が無ければ労働だって殺戮だって呵責もないものを、わざわざ心が、感じる能力が備わっている。だからこそ主人公の遥も他人の計算通りに動かずサプライズを起こす要因にもなりましょう。
で、ふと思い立ったのが、「アキラ」です。かの作品でも超能力を使える子どもたちが隔離され、訓練されていました。彼らもまた周囲の他人の為に自分の人生を犠牲にすることを余儀なくされていました。
同様に思い出されたのが「私を離さないで」のキャシー。詳らかにされませんが、臓器移植のために生み出されたクローンのような人々。これまた自己意識があるために、「なんだかんだで自分の人生悪くなかった」と必死に思い込もうとするような、まあどんよりした作品でした。
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「人間は考える葦である」なんてパスカル某が言ったとか言わないとか。
その「意識」「思考」こそが人・生き物を崇高にもすれば、苦しみもさせるのかもしれません。
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ということで、恩田陸さんの作品でした。相変わらず作風に富んだ作家さんであると感じました。
本作単体ではそこまで響くところは個人的になかったのですが、非人間の生き方、生き様、生命の優劣、自己決定権は人工物に及ぶのか、みたいなテーマで考えると世界が広がってゆく作品だと思いました。
ですので、本作はエンタメ好き、恩田さんファン、SF好きやディストピア好きのみならず、生命倫理等に興味がある方にもお勧めできると思います。