【感想・ネタバレ】人質の経済学のレビュー

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Posted by ブクログ 2020年02月05日

【誘拐ビジネスを繁栄させる要素として、無政府状態、経済発展、そしてもちろん、強欲を挙げることができる】(文中より引用)

外国人の誘拐や難民の密入国といったテロ組織や犯罪集団が生業とする「ビジネス」に光を当てた作品。数々の犯罪の裏で資金がどのように動いているかを明らかにしていきます。著者は、マネーロ...続きを読むンダリングに関する研究の第一人者として知られるロレッタ・ナポリオーニ。訳者は、上智大学を卒業し翻訳家として活躍する村井章子。原題は、『Merchants of Men: How Jihadists and ISIS Turned Kidnapping and Refugee Trafficking into a Multibillion-Dollar Business』。

単発のニュースとして終わりがちな誘拐などの背後に広がる経済面を活写したという点で高く評価できる一冊。人間が売買の対象にされるという恐ろしさだけでなく、その周りにいかにしてビジネスが形成されていってしまうかという過程をよく理解することができます。

訳もこなれており☆5つ

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Posted by ブクログ 2017年07月30日

メディア情報をいかに高度な技術で検証しようとも、しょせん我々は中東諸問題の上辺しか見れていないし、本質を理解することはできない。難民から搾取するために斡旋業者と国家がグルになる。オークションのように吊り上った身代金は、犯罪者の街を潤すばかりか流通する貨幣すらも変えてしまう。ジャーナリストにとって同志...続きを読むだと思われていた反政府組織が、金のために簡単に寝返る。想像するのも悍ましいぐらいだが、これが中東諸問題の実態なのである。冷戦が終わり、グローバリゼーションがもたらした世界を著者は「新世界無秩序」と表現する。海賊で悩むソマリアも、イスラム国のテロによる被害者も、シリア政府に弾圧されている人々も、人道支援や心情的応援はまったくありがたいと思わず、唯一忠誠を誓うのは「金」だけ。それを理解していない、正義感というエゴに取りつかれた「勘違いジャーナリスト」「勘違い人道支援者」が、犯罪者マーケットを潤すために、今日も中東を目指して飛び立つ。

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Posted by ブクログ 2017年03月18日

イスラム国に後藤健二さん、湯川遥菜さんが殺害されたニュースは衝撃的でした。人間の命を交渉の材料として利用するに至った背景を今から20年ぐらい前の世界情勢からたどります。
身代金の決定プロセス、助かる人質と助からない人質は何で決まるのか、なぜ現地のリスクを理解しない若者が危険なエリアに次々と向かうのか...続きを読む、など興味深いテーマについて誘拐から生還した人や、身代金の交渉人などの当事者のインタビューから紐解きます。
「どこの政府でも人質の解放のためには多かれ少なかれ身代金を払っている」、「現地のリスクを正しく理解せず、正義感だけで現地から報道することは慎むべき」、「誘拐から数週間のうちなら数千ドルで解決できる」等々の生々しい証言が次々と明らかになっています。
シリア周辺での誘拐だけでなく、ソマリア沖で多発した海賊、EUへの難民の違法入国斡旋など人命をビジネスの対象とする多くの事象を取材対象としている本書は、ますます保護主義的傾向を強める世界の現状を理解するために大変参考になると感じました。

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Posted by ブクログ 2017年01月21日

人質ビジネスについて、経緯、事例など詳しくまとめられていた。
21世紀の現代に起こっていることとは容易に想像できない、悲惨な現状を知った。
誘拐、海賊、不法移民などすべてつながっていて、犯罪組織の資金源となっている。日本も他人事ではない。
大変興味深い本でした。

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Posted by ブクログ 2022年01月03日

衝撃的な内容。読んでいてなぜ誘拐がなくならないのかがよく分かる。私の周りではシリア近辺へ行きたがる人はおらず、自身も望んだことは一度もない。そのため欧米人のシリアに対する思いというか憧れが理解に苦しい。無邪気に訪れ、バンバン誘拐されていく様子が読んでいて怖い。しかしただのインタビュー本ではなく、誘拐...続きを読むがいかにしてビジネスとして成り立っているか解説しているため余計に恐怖感が増す。誘拐組織にとって、人質は拉致した瞬間から毎日毎日コストのかかる投資対象となるそうだ。外国人は国籍と職業に応じて値付けされ取引される。日本は全くの無関係とは言えないが、主にヨーロッパと中東の闇を覗いた気持ちになった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年12月28日

タイトルの通り、人質に関する経済学。池上さんお墨付きだけありなかなかおもしろい。誘拐、交渉にもいろんな法則、データがあることを知れる一冊。
歴史的地理的背景も語られており、興味深い。
人質ビジネス、身代金ビジネスを分析する本

メモ
・9.11後のアメリカのマネロン対策により流れが大きく変わった。ア...続きを読むメリカを経由できなくなったことにより、ヨーロッパで資金洗浄が行われるように。その流れでサヘル地域がとても危険な状況に。
・誘拐組織のみならず政府も人質一人あたりを値踏みし、値段づけを行なっている。

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Posted by ブクログ 2019年06月12日

私たちの考える人質事件は犯罪としての認識だが、テロ組織にとってはビジネスとっては政治取引の手段でしかない。タイトル通り、犯罪もベースにした経済圏が成り立ってしまっている。そんな経済圏を成り立たせているのは実は先進国だということに気づいていない国が多い。そんな先進国のウィークポイントをうまく突かれてい...続きを読むるのが人質だという状況。不安安定な国では人権ではなく商品としての扱いが克明に記されている。
人質、移民問題。。悪を売り物にした経済圏はどこにでも成り立ってしまっている現代の怖さを知る一冊。

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Posted by ブクログ 2017年07月16日

無政府状態で様々な組織が群雄割拠、欧州政府が巨額の身代金を払うため、食料や武器を買う金を得るために誘拐する。地域経済が海賊で回るソマリア。誘拐組織のしくみを難民の密入国輸送に転用、より容易に多くを稼ぐようになった。

グローバル化で世界のどこへでも安心して旅行できる、そんな状況がなくなっていることが...続きを読むわかりました。なぜ一般人や要人でなく人道支援家やジャーナリストがターゲットにされるのかも。

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Posted by ブクログ 2017年07月03日

「パイナップルアーミー」「MASTERキートン」で描かれた、世界のテロ・誘拐情勢をアップデートするのに適している。
資本主義に「人命は地球より重い」というスローガンが合わされば、必然的に生まれる、営利誘拐というビジネス。対するには「メメント・モリ」への意識転換が必要か。テロリストとは交渉しない(裏交...続きを読む渉もしない)、というのは、ダッカ事件の頃とは違い「国は助けてくれない」という認識が一般的になった日本なら出来そう。

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Posted by ブクログ 2017年02月07日

解説の池上さんが書いているとおり恐ろしい本だ。人間が商品として扱われている。海賊ビジネスから、人質ビジネス、さらに難民輸送ビジネスへと進化している。後藤氏が殺害されたのは、安倍政権がISに対して対抗心をむき出しにしたためだ。なるほど。

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Posted by ブクログ 2017年02月04日

欧米人が誘拐された、解放された、というニュースの裏にある「人間が商品として取引されている」という事実。今まで知らなかったことばかりでした。人質を身代金目的と外交戦略目的とに使い分けるイスラム国、人質に優先順位をつける政府。

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Posted by ブクログ 2018年11月05日

インパクトの強いタイトルだが、原題は「人身の商人」。難民たちの移動が「テロ組織」等の収入源になっていることなどにも頁を割いており、震撼させられる。一過性の議論ではなく、鳥の目で状況を見たい際にオススメ。厚いが読み易い。

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Posted by ブクログ 2021年08月08日

 この手の、社会問題を取り上げる著書は久しぶりに読んだが、脳天をガチコンとハンマーで殴られたような衝撃を受けた。直近では、後藤健二氏の事件の時に注目を集めたが、誘拐事件がこんなに凄惨なものとなり、急増していることは知らなかった。
 そして、各国の対応もこれまた衝撃である。
「人道支援組織の中には人間...続きを読むの命に値段を付けることを拒否するところもあるが、実際には誰もがそうしている。家族も、企業も、政府も、そしてもちろん誘拐組織も、である。身代金を払う国の中で、自分で交渉して自分で払うと言い張ることで悪名高いのは、イタリア、ドイツ、フランス、スペインなどだ。これらの国は、2003年以来、頻発する誘拐に自前で対応してきた。これまでのところ最も多額の身代金を払っているのは、イタリアである。この15年ほどの間に大量のイタリア人が誘拐されていることは、これで説明がつく。」
 誘拐された立場に立てば、このような対応を求めたくなるが、このような身代金がさらに次の誘拐を誘発している事実を重く受け止める必要があるし、このような巨額な金額あれば、もっと多くの人を救えるかもしれない。
「あの身代金があったら、どれだけのことができたか、考えてみてほしい。学校だって、建てることができたはずだ。…学校や病院に投じられるはずだったお金は、イラクの犯罪者たちの懐に入ってしまった。」
 誘拐される多くの若者が無謀が故であることも問題である。
「彼らは助けたいと願っている。何が起きているか、世界に知らせたいと望んでいる。そのことに全身全霊を捧げ、紛争のできるだけ近くにいることが人道支援活動家やジャーナリストになる近道だと信じている。だがそれはまちがいだ。誰も彼らのような人間を雇いたいとは思わない。彼らには何のスキルもないからだ。率直に言って、そういう人間を雇えば、他の人にまで危険がおよぶことになる。人道支援活動家になるのは、善意があればいいというものではない。人道支援はタフな仕事だ。大学で勉強し、専門的な訓練を受け、経験を積まななければならない。ある日決意して中東へ行けばなれる、というものではないのだ」

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