あらすじ
「王権守護」──甲斐武田家を滅ぼし、さらに勢力を増した信長は、いつしか朝廷の禁忌に触れつつあった。ついに信長への離反を決意する前関白・近衛前久。朝廷に身を置きながら、信長と深く結びついてしまった東宮夫人・晴子。信長というあまりにも大きい存在に畏怖と動揺を隠せない明智光秀、羽柴秀吉。周到な陰謀が、天下人を追いつめはじめ、すべての意志が本能寺へ結集する。
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Posted by ブクログ
本能寺の変が『黒幕陰謀説』に則って描かれている。
信長はイスパニア・ポルトガルなど外国の脅威からこの国を守り、彼の国に比す国力を持ってアメリカに進出しようと天下統一を急ぐ。
そのためにはこの国の因習・政治勢力を一掃させるため、朝廷・天皇を凌駕する権力を持とうと正親町天皇を譲位させ、誠仁親王に践祚。征夷大将軍の任命を受け、武の頂点に立った上、自らの嗣子、誠仁親王の五の宮を次の天皇につけるよう圧力をかけ、即位と同時に自ら太上天皇となり、公の頂点に立とうとする。
これに対し、前の関白近衛前久がもう一人の主人公。信長の野望を打ち砕くため、様々な陰謀を図り、明智光秀をして信長を打倒する。
読めば読むほどこの説が真実に思えてしまう。
誠仁親王の夫人、勧修寺晴子と信長の恋も彩を添え、当時の公家の生活の一端を垣間見ることもできる。
初めに本能寺の変の描写があり、あとはその直前までに向かう物語が展開する。物語の構成も読む者を満足させる。