あらすじ
虚実皮膜の間について。正義なるものの落し穴について。愛されたいと望むことの度胸について。官能という名の死について。品格とは何かについて。永遠に解決できない問題について。そして、地中海世界の圧倒的な魅力について。……数多の現実、事実と真実を、映画が教えてくれた。銀幕は人間万華鏡、人生の奥深さを多様に映し出す。だから私は語ろう、私の愛する映画たちのことを――。 ※新潮文庫版に掲載の写真は、電子版には収録しておりません。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
映画は人生の参考書
一部ご紹介します。
・「つかの間の幸せ、それを捉えるんだ」
・詩とは、理解するものではなく感じ取るもの。
・すべてのことには多方面からのアプローチがあって、一面からとらえて分かった気になるのは、頭脳の怠慢である。他人の考えを疑いもせずに受け入れれば、悪い意味での大衆に成り下がってしまう。
・十分な理解を求めれば求めるほど、与えなければならない情報は増えてくる。
・人は、理解されていると感じさえすれば正道に戻れ、能力も発揮できるものだ。
・人間性への洞察力とは、人間性を優しく見ることと、人間性を直視することである。
・休暇を魅力的になるために使う。山のように映画を観まくるのもいい。読書も慣れだから、やがて面白くなる。地図や美術書を持ち出して、これらを参照しながら読むとなお良い。この方法は読み返しにも効果ありだ。
・ときには何もかも忘れて夢を見るのは、子供よりも大人に必要だ。
・有効に使った一日の終わりには、快い眠りが訪れるのに似て、有効に使った一生の終わりには、快い死が訪れる。
・無理しない範囲で求められる家に満足して、それ以外の機能は他で求めた方がいい。庭が無ければ、素晴らしい庭園を持つ旅館に泊まる。広い書斎が無ければ、近くの公営図書館を活用する。大帝国ローマの都会の住民もウサギ小屋に住んでいた。ローマの公衆浴場テルマエは、銭湯のみならず、プール、マッサージ、スポーツジム、遊技場、そして書斎を兼ねていた。