【感想・ネタバレ】11/22/63(下)のレビュー

あらすじ

このミス1位ほかミステリー3冠達成の感動大作
過去へ旅することのできる「扉」の存在を知った男はケネディ暗殺阻止に挑む。キングにしか書けない壮大な物語。落涙保証の感動大作! 解説・大森望

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ついに完結。長い話だが尻上がりに面白くなった。
キングおなじみの、フィジカルな苦痛の生々しい描写あり、それでも頑張るガッツあり。
終盤の、JFKが助かった世界はあっさり書かれていたがなかなかに悲惨。アメリカ現代史はロクでもない結果を引き起こしたけど、さらにもっと悪くなる可能性もあったんですよ、ということか。
100%のハッピーエンドではないが、それでも少しの笑顔が生まれる、そんな結末。

ドラマも一気見。だいぶ端折ってありダレる暇なく最後まで突っ走る。衣裳や車へのこだわりが凄い。お金かけている。

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2022年03月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

文庫本で3巻構成の超大作であるが,特に後半は加速がついてほぼ一気読み.

ケネディ暗殺を阻止するべく過去に向かった主人公.だがそこは一癖も二癖もあるキングのことなので,単純なタイムトラベルではない.過去に向かう際の到着時間は,必ずケネディ暗殺の約5年前に当たる同一時刻,同一場所なのである.そのため,ケネディ暗殺を阻止するためには,それまでの5年間,その時代を一般市民として暮らさなければならない.主人公は現地で高校教師として日々を過ごしながら恋をして.かつ,オズワルドの狙撃を阻止するための準備を進める.
一方,過去を改変しようという試みに対しては,超越的な力(キング的!!)が色々な方法で邪魔をはかる.

上巻の感想欄にも書いたが,ケネディ暗殺というのはアメリカ社会に対して大変な衝撃を与えた重大事件である.これにてアメリカの第二次大戦後の幸せな時代は一区切りを迎え,夢を失い,ベトナム戦争の泥沼に引きずり込まれてゆく.むろん,ケネディが存命であったらベトナム戦争が起こらなかったかどうかは判らないが,大多数のアメリカ人がこの2つを結びつけて考えているのは事実である.これが主人公がケネディ暗殺をどうしても止めなければならない理由である.ヒトラーがいなかったら第二次大戦は起こらなかったかもしれないし,誰か別の人間が同じように第二次大戦を起こしたり他の民族や他の国の人を大量虐殺したかもしれないけれど,とりあえずはヒトラーを暗殺しに行きますよね.

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2021年12月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

見事にキングらしい小説でした。
続きが気になってぐんぐん読み進められる、論理的に説明できないことはそのままスルー、大きな世界を書いているようで実は人の心が一番大きい。

世界平和を実現するためにケネディ暗殺を阻止しようとするジェイク。
しかし過去は改変されることに抵抗する。
改変が大きくなればなるほど、抵抗も大きくなる。
ケネディ暗殺を阻止することは、ジェイクの命がけのミッションとなる。

さて、読者である私は、ケネディが暗殺された世界に生きている。
だからキングが本格的なSF作家でも歴史小説家でもないのだから、多分ケネディは暗殺されると予想。
そのうえで、多くの試練を乗り越えてきているジェイクとセイディーの恋はハッピーエンドで終わると想像し、落としどころを考える。

結末は、ものすごく納得。
実はラストを考えたのは息子さんらしいけど、これ以外のラストなら、私はきっと文句を言っていたと思う。
自分では考えつかなかったけれど。

ただ、ここがキングらしくスルーされているけれど、ジェイクには過去を変える義務はないはずなのに、なぜああも暗殺阻止に全力を尽くすのか。
本人も阻止するためにオズワルドを殺さなければならないことに十分なためらいを持っているのに、後戻りできなくなっている。
どういう生い立ちの持ち主が、そのような思考の持ち主になるのかと疑問に思ったけれど、ジェイクの過去についてはアル中の妻と最近離婚したことくらいしかない。
ジェイクの過去は、ストーリーを動かすのには無関係ということだ。

ではなぜ、気の向かない義務でもないことにジェイクは関わっていこうとするのか。
このあいだ読んだ伊坂幸太郎の小説に、詐欺師の手口が書いてあった。
自分の選ぶ道は気の向かない選択肢2つしかないと思わせ、ならばこっちを選ぶしかないと誘導するのだそうだ。
ケネディ暗殺を阻止するか、自分の恋愛を優先するか。
2択しかないと思われたジェイクの選んだ道は…。

作品本編も面白かったけど、岐路に立つたびにジェイクが選ばなかった未来を想像するのも楽しかった。(必ずしもハッピーエンドではないけれど)
タイムトラベル物って、そういうところがすごく好き。
ああ、楽しかった。

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2019年12月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分のためのあらすじメモ。結末あり。

■概要
・教師の主人公、ジェイク。行きつけのハンバーガーショップのオーナー、アルから1950年代にタイムトラベルできる穴があることを打ち明けられる。
・アルは、歴史をいい方に変えるためにケネディ暗殺を阻止しようとしていたが、病気になりジェイクに代わりを依頼する
・引き受けたジェイクは、過去の1950年代でも教師になる。そこでセイディーという女性と恋に落ちる。

■ハリーを救う
・現代で父親に家族を皆殺しにされたハリーの運命を救うために、父親ダニングを殺害。長男は間に合わなかったが、他のハリーと母親、兄弟の命を救う。しかし現代に戻るとハリーは結局ベトナム戦争で亡くなっていた。

■ケネディ暗殺の阻止
・☆一度現代に戻ると、過去であったことは全てリセットされてまたはじめからになる。いつも過去の同じ時点にしか戻れないというルールあり。過去の続きには戻れない。逆に言えば過去を変えても一度現代に戻ってまた過去に行くと全てなかったこと、元通りになっている。
・ケネディを守ることはベトナム戦争の発生を阻止できると考えたため、犯人オズワルドを盗聴したり監視したりし、動機や共犯者の有無をつきとめていく。

■セイディーとのラブストーリー
・同時にセイディーとの仲を深め、学校でも演劇の監督などをつとめ、生徒からも慕われる。ジェイクは徐々に過去こそ自分の生きるところだと思うようになっていく。
・過去改変をしようとすると、事故にあったり、改変を阻止するような出来事が起こる。過去は改変を望んでいないという世界のルールがある。
・セイディーは元夫(精神的におかしいところあり)に頬を包丁で切り裂かれてしまう。頬に跡が生涯残ってしまう。

■セイディーとともにケネディ暗殺阻止へ
・ジェイクは賭け事で、セイディーの頬の手術費用などのための収入を得ていたが、ギャングに暴行を受け、大怪我。記憶をなくしてしまう。
・記憶を取り戻したときには、すでにケネディ暗殺の数日前になっていた。
・セイディーには、未来からきたことや、ケネディ暗殺阻止のことを話す。しかしジェイクはセイディーを危険に巻き込まないように核心は話さなかった。
・ジェイクは手紙を残して一人でオズワルドに挑もうとする。しかしセイディーは一人でオズワルドに挑もうとしたジェイクを探し当てる。二人でケネディ暗殺を阻止しようと決意する。
・ケネディ暗殺の当日、何度も死ぬような危険な目にあいながら、ジェイクとセイディーは辛くもオズワルドを止める。しかしセイディーはオズワルドに撃たれて亡くなってしまう。
・ケネディは生き残り、改変された未来が実現。

■ケネディを守り抜いたあとの世界
・ケネディを守り、現代に戻るとそこは良い世界ではなく、とても悪い世界になっていた。治安はかなり悪化、食料不足、電気不足、断続的な地震、家には何重にもかけられる鍵。鼻のない若者(なにかの感染?)、外出許可証の携行、怯える通行人、パキスタン人は出ていけ!というような差別的な落書き、窓がわれているコンビニ、ヘイトスピーチ、食糧計画という建物(たぶん食糧が足りず自由に買えない世界)。
ケネディを守ったにもかかわらず、そこは最初よりも荒廃した世界になっていた。
・その時代のハリーに出会い、きくと、ケネディは大統領をつとめあげたものの、その後北ベトナムが発展し(ベトナム戦争が回避されたためか)、世界の共産化を恐れた当時のアメリカ大統領はハノイに28発もの原爆を落としたという。
・また多発する地震により、数十年後に地球は割れ、全員死ぬとのこと。すでにいくつかな島は沈んだ。日本のいくつかの島も。
・他の国でも戦争が多発する世界になっていた。

■もう一度、過去へ
・セイディーを生かすため、また悪化した現代をみたジェイクは、もう一度過去に戻った。
・過去は改変を望まない。改変するとより悪いことが起こる‥。ジェイクの心はもう決まっていた。もう改変は行わないと。しかしセイディーにも会えないのか?会わないほうがいいのか?それぐらいの改変なら可能なのか?わからない。悩むジェイク。
・結末、ジェイクはセイディーには会わなかった。自分と出会わず、セイディーが生き残る方を望んだ。

■そして現代へ
・戻った現代は当初のような世界になっていた。インターネットでセイディーを調べると、独身のまま、まだ生きており、80歳になっていた。
・ラスト、セイディーをダンスに誘う。セイディーはどこかであなたにあったことがあるような気がする、という。ジェイクは違う時代でね、と答える。


■別エンド
このラストには別エンドがある。上記がキングの息子が考えたラスト。こちらのほうがいいと考えて差し替えたらしい。元々のキングのエンドはキングのホームページがら読むことができる。

別エンドは、
・新聞社がセイディー(80歳ぐらい)を取材している。セイディーの誕生日パーティーがひらかれている。その記事をジェイクが目にする。セイディーは別の人と結婚し、5人の子供とまご、たくさんのひ孫がいる。インタビューではセイディーは夫を愛していると話す。写真のセイディーにも頬に傷があるものの、すでに傷は古くなっており、気にならなくなっている。
写真のセイディーのえくぼは、相変わらず美しいものだった、というもの。

■感想
久しぶりに3冊とも夢中になって読んだ。中弛みあるものの面白かった。タイムトラベルの設定がいい。現代に戻るとより悪くなっていた場面はかなりひきこまれた。
上巻の最初が読みにくさはあった。

別エンドの場合、過去改変をまるっきりだれも覚えておらず、結局ジェイクのやったことは全て無意味に思える。でも切なさがのこり、これもスッキリ行くエンド。セイディーに子供たちもたくさんいるのがいいなと。

一方で本のエンディングは、セイディーがすこし記憶を持っており、救いが少しだけある。ただセイディーがずっと独身なのは少し気になったかな。
総じて面白かった。ケネディ暗殺についてはまったく詳しくなかったがそれでも読めた。

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2024年09月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

中巻でダレたのが嘘のようにあっという間の下巻でした。
いくつかのパターンでの結末を想像しながら読み進めたけど、ちょっとキングらしからぬ終わり方だった。
小さく綺麗にまとまりすぎたなと思いつつあとがきを読んだら、どうも息子のアイデアを取り入れたらしい。
キングだったらもっと荒々しさと若干のイタズラ心が残る結末だったんじゃないかな。あともっと、いやかなり蛇足ぎみに書いてたと思う。
HPでキング版エンディングが読めるらしいので気が向いたらチェックしよう。
ただ、結末にいたるまでの過程、終盤ラッシュは文句なしに面白かった。
いつも以上にエンタメ性が出てて、長大な小説だけどほぼこのまま脚本なしでもハリウッド映画にできそうだなと思ってたら、すでにドラマ化されてましたね。
そして本作もダークタワーシリーズの1つだと思われるので、あわせて読むと"紐"理論への理解が深まるのではないでしょうか。
奇しくも主人公の名前がジェイクというところも共鳴現象でしょうね。

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2023年07月25日

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