【感想・ネタバレ】彼方のアストラ 3のレビュー

あらすじ

アストラ号が辿り着いた第3の惑星アリスペード。そこは水も食料も豊富でリゾート地のような楽園だった! 一行は久しぶりの平和な日々を満喫し、一匹狼のウルガーもルカと打ち解け始める。だが、2人を繋ぐ「糸」が明らかになり…!?

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今でいうところの修学旅行である「惑星キャンプ」の最中、トラブルで宇宙に放り出されてしまった9人の高校生たち。奇跡的に乗り捨てられていた宇宙船に逃げ込んだものの、食料もないし帰り道もわからない……。そんな絶体絶命のピンチの中、9人が力を合わせて困難を乗り越えていく姿に、とっても元気をもらえる作品です。

ノリがテキトーすぎる熱血漢・カナタや、天然ボケ少女・アリエスなど、どこか抜けたところのあるキャラクターたちばかりなのに、いざ仲間のピンチとなれば、それぞれの個性を生かしてビシっとキメちゃうところがかっこいい!
しかし、仲間の一人が船内の通信機が意図的に切断されていることに気がついたことから、物語は意外な方向へ。

「このメンバーの中に、俺たちを殺そうとしている奴がいるかもしれない……」
そう、ミステリー要素もあるんです。SF×ミステリー、めちゃくちゃわくわくします。

未知の惑星での心踊る冒険模様だけでなく、仲間同士の疑心暗鬼・メンバーが抱える暗い過去など、シリアスな展開もしっかり描かれているのが魅力的。読みやすいのに重厚感のあるストーリーは、このままハリウッドで映画化されてもおかしくない!?
普段SFをあまり読まないという人にも、ぜひ読んでほしい一冊です。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「水のない惑星の次は水しかない惑星」(p27)アリスペードに到着。

穏やかな環境の星ながら、物語上ではかなり核心に迫った激動の展開が描かれる。

ルカの告白とウルガーとの妙な因縁。
そしてアリエスとシャルスの接点。確かにこれまで、シャルスはごく自然にアリエスの近くにいた描写が…。鳥肌立った。「すまないセイラ」(p181)の真意とは。


続く惑星は一転、過酷な気候環境の星イクリス。
アストラ号が中破し航行不能な状態に。
そこで一行が発見したのは’もう一機のアストラ号’。
……いや面白すぎる!

一周読んだ後だと♯19の見方がだいぶ変わりますね…。

おまけ4コマ〈糖分不足〉が好き。


1刷
2021.12.30

0
2021年12月30日

ネタバレ 購入済み

ぜひ11人いる!も。

オマージュ元の作品のエッセンスを受け継ぐルカというキャラクターが結構好きです。色々な星の生態系を知るのも楽しく、童心に返って読める部分もあります。

#エモい #深い

0
2021年08月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ウルガーの過去、ルカの秘密、絶望的な展開からの新たな謎…と盛りだくさんの3巻。

ウルガーの事好きになった巻ですねぇ。ここからのウルガーとルカの関係が可愛くてホント好きですがウルガーはフニちゃんとルカのどっちともフラグ立てててやり手だなぁと思います(笑)。

巻末四コマの「糖分不足」のがめっちゃツボで見る度笑ってしまいます。おザックさんクール系イケメンなのにギャグ要員としてホント優秀…好き…

0
2019年10月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この巻でも次々と登場人物の秘密が明らかになり、また急展開が続くわけだが、最も舌を巻いた仕掛けに触れておく。

この漫画が萩尾望都の傑作『11人いる!』を下敷きにした作品であることは最初から誰の目にも明らかだが、この巻で明かされる秘密のひとつはまさに『11人いる!』主要人物フロルの極めて重要な個性をオマージュしたものだ。フロルの個性は『11人いる!』の代表的な魅力・特徴でもあるので、それを拝借するとなれば普通はどう手をつけても「浅はかなパクリ」とそしられるが、この作家・篠原の料理の仕方はそういうハードルを優に超える工夫の伴った、見事なものだった。

フロルにその個性を備えた主意は「宇宙はなんでもあり」という明るい発想を基盤とした「自由」「解放」の象徴的な表現といえるが、この作品ではそれが完全に逆転している。この作品の舞台においてはこの性質ははっきりと「異形」であり、それゆえある種ひっくりかえしようのない「制約」「スティグマ」として機能する。登場人物同士の悲しい因縁の中で、何重にも反転・倒錯したかたちで、失われた愛への渇きがあきらかになる。これほど切ないオマージュを誰が想像するだろうか。

そうした性質と向き合い、受け入れていくというかたちで「自由」や「解放」の気持ち良さが、「自己実現」のよろこびが描かれる。そう、これは保護責任者の掌の上で行われた試験ではない。架空の楽園の夢想でもない。サバイバルなのだ。萩尾望都の時代とは異なり、篠原健太の描く現代、宇宙は極めて厳しい世界だ。けれども、そこにある夢とロマンは、解放や探求のきらめきは、変わらず、色褪せない。それを、上述の仕掛けがはっきりとあらわしている。

後巻でより明確になるが、この冒険は『11人いる!』を下敷きにしておきながら、11人目が存在しない。フロルの個性は『11人いる!』の代表的な魅力・特徴でもあると述べたが、フロルの個性を宿した子のたくましさ、やわらかさもまた、この冒険の本質を担っている。舌を巻くほど見事な仕掛けだ。

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2019年05月07日

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