【感想・ネタバレ】代償のレビュー

あらすじ

平凡な家庭で育った小学生の圭輔は、ある不幸な事故をきっかけに、遠縁で同学年の達也と暮らすことに。運命は一転、過酷な思春期を送った圭輔は、長じて弁護士となるが、逮捕された達也から依頼が舞い込む。「私は無実の罪で逮捕されました。どうか、お願いです。私の弁護をしていただけないでしょうか」。裁判を弄ぶ達也、巧妙に仕組まれた罠。追いつめられた圭輔は、この悪に対峙できるのか? 衝撃と断罪のサスペンスミステリ。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

前半の気味の悪さ、両親が亡くなってからの辛い時期からの、裁判の場面でまだ主人公の圭輔を追い詰めてきた描写はすごかったです。
みなさんがおっしゃっている通り、最後の結末が呆気なかったですが、最後の最後まで性悪キャラを突き通せた著者の描写力はすごかったです。

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2025年10月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

冒頭は主人公の置かれた立場があまりにも酷く、辛く悲しい気持ちでした。早くこの子に平穏な暮らしが訪れますように、と祈っても、近くにいる継母、そして達也の見えない行動で狂わされていく日々。こどもは本当に無力だと感じました。主人公だけでなく、達也もこどもであり、力が無かったため、継母の言いなりになっていた部分もあるのでしょう。達也がもし、普通の家庭で成長していたら、こんな性格にならっなかったのでは?この継母の影響で、達也も人生を狂わされた一人なのかと思いました。

時は経ち、達也は悲しく辛い過去をバネにして、そしてその環境で出会った方に支えられて、弁護士に。そこでまた、達也との縁が復活します。達也からの手紙、言葉からは、なんとなく、世の中のすべてを恨むような思いや感情が伝わってきました。自分が幸せになろう、ではなく、自分より幸せなやつを蹴落とす感覚、本当に自分で自分の幸せになる方法を知らなかったのかもしれません。

主人公は育った環境もあり、自分の意思を貫くことができなくなっていました。自分が親を殺したのかもしれない、と思いながら毎日過ごすことは、自分という存在を否定すること。希望が見いだせない、という点では達也と同じ。でも、彼と達也が違ったのは、亡くなってしまったが愛情のある両親がいたこと、友人に恵まれ、ふさわしい環境導いてくれたこと。また、本を読んでいろんな考え方、知恵、そして境遇に触れられたことが大きいのではないかと思います。

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2025年05月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一部で主人公と最大の敵とも言える相手との凄惨な過去が語られ、二部で2人は運命とも言えるような形での再会を果たす。一部は正直読みながらも胸が苦しくなるような出来事ばかりで光が差したかと思えば奈落の底に突き落とされるようなジェットコースター悲劇が起き続け正直、胸が苦しかった。その反動で二部では光を求めページをひたすら巡り続け一気に読み終わってしまった。どれだけの代償があれば、天秤は釣り合うのか。果たして釣り合うことなんてあるのか。ただ、その代償によって開けた未来に確かな光が差していることは何よりも救いだった。

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2025年05月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

平凡な家庭に育った小学生の圭輔は、彼にとって不幸な事件のため、遠縁で同学年の悪魔のような達也の家で暮らすことになる。読んでて辛くなる(何でここまで卑屈なの?)。
その後長じて弁護士となった圭輔のもとに、逮捕された達也から弁護の依頼が来る(何で卑屈を引きずったまま断れないんだ!)。そして達也の巧妙な罠で裁判でも翻弄される。
450ページの長編の内330ページくらいまでは、圭輔の弱さと達也の悪魔的な巧妙さで人間の醜さとそれに屈する弱さから来る無力感にイライラする(結構「吉田修一」っぽい)。
しかしその後、332ページ目くらいから友達の寿人の友情により巻き返しが来て最終的にほホッとする(勧善懲悪的な爽快感まではない)。
最後まで耐えて読めばリーガルミステリーとして非常に面白い。好きな作品。

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2025年06月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

前半(1部)は少年圭輔が達也と出会い、そしてどん底に突き落とされていく読みは進めるのが辛い悲惨な少年時代が語られている。何度も涙腺が緩んでしまった。後半は成人した圭輔が弁護士となりそして再び達也と絡んでしまい、過去の事件を紐解いていく。
圭輔の人生で両親を早くに亡くすのは悲劇に違いないけど、寿人と出会えたことが最大の喜びでありその幸運はその後感謝してもしきれないだろう。2人の友情が暗い物語に明るい材料になっている。
冷静な圭輔が弁護士の資格をその明瞭な頭脳だけでなく適正もあると思える。まだまだ感情をコントロールしきれない駆け出しの弁護士を先輩女性弁護士という存在も少なからず明るいエッセンスとなっている。それにしても直接手を汚さない極悪人、他人をマインドコントロールしてしまい策略家の達也みたいな奴とは人生で出会ってしまったら不幸の始まりだ。ラストはタイトルにピッタリで終わった。

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2025年11月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「20世紀の終わりに、この世界は終焉を迎えなかったが、圭輔の世界は崩壊してしまった」
主人公圭輔を取り巻く「達也」という、私の理解の範疇を超える倫理観をもつ少年が次々に引き起こす展開が気になりずんずんと読み進められたが、読後の印象は、暗く、重く、しんどいものだった。
この物語は二部構成になっていて、
• 第一部では、達也との出会い、両親を火事で失った後、達也と、その継母道子に引き取られてからの地獄のような幼少期が描かれている。
• 第二部では、寿人と牛島夫婦に助け出された圭輔が弁護士となり、皮肉にも殺人事件の被疑者となった達也の弁護人となる顛末が描かれている。

純粋な悪そのものである達也がどんな意図や企てをしているのか、緊迫した展開に引き込まれた。しかし、達也と道子の下劣さ、気持ちの悪さ、不快感がひたすら腹の底に溜まっていくようで、良い気分にはなれなかった。
ラストは、達也が代償を払うという形で決着がついた。しかし、達也がこれまで多くの人にしてきた仕打ちを考えると、達也のはらった代償は少しも見合っていない気がする。というより、あれほどの行為は「代償」なんかで償えるレベルの話ではないと感じた。
最後まで読み切った達成感はあるが、ただただ胸糞の悪さが残る、読者に重い問いを突きつける作品だった。

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2025年10月26日

ネタバレ

消化不良

悲劇は残虐な犯人と保守に走る主人公によって起こる。
圭輔がミカを達也に紹介してすぐ立ち去る場面は驚愕もので、圭輔は一生の罪を背負わなくてはいけないのに擁護するような最後。
特にミカと母の被害は口に出すのもおぞましい一方、タイトル名でもある代償が軽すぎて拍子抜け。
ただ最後までは読めた。

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2020年08月18日

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