あらすじ
平凡な家庭で育った小学生の圭輔は、ある不幸な事故をきっかけに、遠縁で同学年の達也と暮らすことに。運命は一転、過酷な思春期を送った圭輔は、長じて弁護士となるが、逮捕された達也から依頼が舞い込む。「私は無実の罪で逮捕されました。どうか、お願いです。私の弁護をしていただけないでしょうか」。裁判を弄ぶ達也、巧妙に仕組まれた罠。追いつめられた圭輔は、この悪に対峙できるのか? 衝撃と断罪のサスペンスミステリ。
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Posted by ブクログ
第一章と第二章に分かれた二部構成の物語。
第一章では、圭輔のあまりにも悲惨な過去が描かれており、目を背けたくなる場面も多く、正直読むのがつらかったです。達也と道子が少しずつ生活に入り込み、居場所や財産を乗っ取っていく様子には、強い恐怖を感じました。
「その選択は間違っている」と思いながらも、当時まだ小学生だった圭輔に正しい判断ができなかったのも、無理はないと感じます。
第二部では、圭輔が弁護士として働いている姿が描かれます。あの過去から、ここまでよく生き抜いてきたなと思いました。そこには、中学時代の友人・寿人の存在が大きかったのだと思います。彼と、彼の叔父との出会いがあったからこそ、今の圭輔がいるのだと感じました。
しかし、弁護士として過去のトラウマである達也と再会することになり、接見の場面では、読んでいるこちらまで恐怖で胸が苦しくなりました。
また、中学生だった寿人の姿から、大人になってバイクに乗り、ジャーナリストとして活動する姿はまったく想像できませんでしたが、二人で少しずつ達也と道子を追い詰めていく展開には強く引き込まれました。
すべてが明るみに出た瞬間、「ついにやった」と思わず声に出しそうになりました。
Posted by ブクログ
人間の黒い部分をこれでもかと描いたサスペンス小説。幼少期から大人へと至る過程を描くことで、過去が現在を締めつける感覚がじわじわと迫ってくる。子供の頃の傷が人格にどれ程の影響を及ぼすのか、その重さを実感させられた。胸糞展開が重なり、読むのが辛くなる箇所もあったものの、一気に読み進めさせる引力があり、強い読書体験を残す作品だった。初めての作家さんでしたが、この方向性なら他の作品もぜひ読みたい。
Posted by ブクログ
不幸のどん底に落とされた過去の張本人から強盗致死の弁護を求められるが…
前半、読むのかつらくなるほど主人公が過酷な生活を強いられます。やっと終わったと思ったら弁護士になっても逃れられずに煮え湯を飲まされる。
ずっと、もうこっちもたまらん、早くこいつが断罪されてくれ、解決パートに行ってくれ!などと思いつつ読み進めましたが、最後の最後で鮮やかな結末を迎えるのでした。
でも、もうちょっと解決部分にボリュームを割いて欲しかったかも。そこに至るまでの不愉快がしんどくて、これだけで結末となるのはちょっと割に合わない感覚が残りました。
服毒させられたうえに収監というのも、無理のない形での罰ではあるけど、もっともがき苦しみ惨めになった姿とか、復讐心を満たしてくれるところを描いてほしかったかな。
Posted by ブクログ
前半の気味の悪さ、両親が亡くなってからの辛い時期からの、裁判の場面でまだ主人公の圭輔を追い詰めてきた描写はすごかったです。
みなさんがおっしゃっている通り、最後の結末が呆気なかったですが、最後の最後まで性悪キャラを突き通せた著者の描写力はすごかったです。
Posted by ブクログ
平凡な家庭に育った小学生の圭輔は、彼にとって不幸な事件のため、遠縁で同学年の悪魔のような達也の家で暮らすことになる。読んでて辛くなる(何でここまで卑屈なの?)。
その後長じて弁護士となった圭輔のもとに、逮捕された達也から弁護の依頼が来る(何で卑屈を引きずったまま断れないんだ!)。そして達也の巧妙な罠で裁判でも翻弄される。
450ページの長編の内330ページくらいまでは、圭輔の弱さと達也の悪魔的な巧妙さで人間の醜さとそれに屈する弱さから来る無力感にイライラする(結構「吉田修一」っぽい)。
しかしその後、332ページ目くらいから友達の寿人の友情により巻き返しが来て最終的にほホッとする(勧善懲悪的な爽快感まではない)。
最後まで耐えて読めばリーガルミステリーとして非常に面白い。好きな作品。
Posted by ブクログ
前半(1部)は少年圭輔が達也と出会い、そしてどん底に突き落とされていく読みは進めるのが辛い悲惨な少年時代が語られている。何度も涙腺が緩んでしまった。後半は成人した圭輔が弁護士となりそして再び達也と絡んでしまい、過去の事件を紐解いていく。
圭輔の人生で両親を早くに亡くすのは悲劇に違いないけど、寿人と出会えたことが最大の喜びでありその幸運はその後感謝してもしきれないだろう。2人の友情が暗い物語に明るい材料になっている。
冷静な圭輔が弁護士の資格をその明瞭な頭脳だけでなく適正もあると思える。まだまだ感情をコントロールしきれない駆け出しの弁護士を先輩女性弁護士という存在も少なからず明るいエッセンスとなっている。それにしても直接手を汚さない極悪人、他人をマインドコントロールしてしまい策略家の達也みたいな奴とは人生で出会ってしまったら不幸の始まりだ。ラストはタイトルにピッタリで終わった。
Posted by ブクログ
達也という人物に深い嫌悪を抱きながらも意地で最後まで読み通した。前半に積み重なる胸糞の悪さと結末が爽快感という点で吊り合っているとはとても思えないけれど、主人公が過酷な過去を背負いながらもようやく歩み出せる未来を示唆する終わり方は良かった。
Posted by ブクログ
「20世紀の終わりに、この世界は終焉を迎えなかったが、圭輔の世界は崩壊してしまった」
主人公圭輔を取り巻く「達也」という、私の理解の範疇を超える倫理観をもつ少年が次々に引き起こす展開が気になりずんずんと読み進められたが、読後の印象は、暗く、重く、しんどいものだった。
この物語は二部構成になっていて、
• 第一部では、達也との出会い、両親を火事で失った後、達也と、その継母道子に引き取られてからの地獄のような幼少期が描かれている。
• 第二部では、寿人と牛島夫婦に助け出された圭輔が弁護士となり、皮肉にも殺人事件の被疑者となった達也の弁護人となる顛末が描かれている。
純粋な悪そのものである達也がどんな意図や企てをしているのか、緊迫した展開に引き込まれた。しかし、達也と道子の下劣さ、気持ちの悪さ、不快感がひたすら腹の底に溜まっていくようで、良い気分にはなれなかった。
ラストは、達也が代償を払うという形で決着がついた。しかし、達也がこれまで多くの人にしてきた仕打ちを考えると、達也のはらった代償は少しも見合っていない気がする。というより、あれほどの行為は「代償」なんかで償えるレベルの話ではないと感じた。
最後まで読み切った達成感はあるが、ただただ胸糞の悪さが残る、読者に重い問いを突きつける作品だった。
Posted by ブクログ
達也の狡賢さ、狡猾さ、人を操る力の高さ、全てがおぞましく感じます。自分の手は汚すことなく、周りの人を使ってターゲットを貶めていく姿が恐ろしすぎて、まるで蛇にじわじわと痛ぶられているような気持ちになりました。圭輔がとても真っ直ぐな人なので、その対比が更に物語の不気味さを増幅していると思います。
消化不良
悲劇は残虐な犯人と保守に走る主人公によって起こる。
圭輔がミカを達也に紹介してすぐ立ち去る場面は驚愕もので、圭輔は一生の罪を背負わなくてはいけないのに擁護するような最後。
特にミカと母の被害は口に出すのもおぞましい一方、タイトル名でもある代償が軽すぎて拍子抜け。
ただ最後までは読めた。