あらすじ
第五部「ジャン・ヴァルジャン」。1832年6月5日、パリの共和主義者はいっせいに蜂起し、市街戦を展開する。その中にはマリユスへの嫉妬を抱えながら、傷ついた彼を助けるジャンの姿もみられた。やがてコゼットとマリユスは結婚。その翌日ジャンはマリユスに自分の素姓を明かし、コゼットと疎遠な生活を送りはじめた……。時代の趨勢と永遠の愛を紡ぐ大長編小説、怒濤の最終巻。
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Posted by ブクログ
感動に満ち溢れていた。本当の善人がここにいた。その人はとても悲しく、貧しく、時には卑しく、輝かしい程の聖なる光で包まれていた。
この本は自分にとって聖書のような本。キリスト教ではないから難しい言葉も多かったが、伝えたいことはしっかり理解する事はできたと思う。
今の心の感動を言葉に表すことは難しい。5巻を通して、ハラハラドキドキもしつつ、ココロがここまで清らかになれるものなのかと感動し、とてもズルく生きる人々を軽蔑しながら、どこか尊敬していた。
ここに登場する人々は、生きていた。生きながら無為に生きる事は誰1人しなかった。どのような境遇でも、自分の信念を持っていた。1人1人の人物を忘れる事なく、自分が優しさを忘れた時にまた読み直したい。
Posted by ブクログ
悲惨な結末を迎えた革命、多くの仲間の死。しかし、愛するコゼットをなんとしても守り抜くためにも、マリユスだけは救い出さねばならない...再びバルジャンのスリリングな逃避行が読み応え十分でした。
ジャベールの方はというと、悪人は変わることができないという考え(信念)が揺らぎ、自分が信じていた者が根底から崩れていくことに絶望します。これは、ジャン・バルジャンがミリエル司教に赦され、ひどく苦しんだ時と状況が似ています。バルジャンは苦しみ、再度悪事を働くなどしたあげくに乗り越えましたが、ジャベールは耐えきれず、死を選びます。人は変わることができるが、それには大変な苦しみを伴うというのが、この物語のメッセージの一つではないでしょうか。
バルジャンの苦しみは続きます。何とかマリユスを助け出し、コゼットとの結婚にこぎ着けたものの、自分がかつて罪を犯したということを打ち明けられず、コゼットの近くにいることも、離れることもできず...
そんな苦しく、終わりのない旅を続けたジャン・バルジャンが、ついに赦されたというラストは感動的でした。長い物語で読むのは大変でしたが、大満足です。
Posted by ブクログ
第五部「ジャン・ヴァルジャン」
暴動のさなか、コゼットのためにマリユスを助けに行くジャン・ヴァルジャン。自分のためでなく、また、自分の血のつながった娘ではないにもかかわらず、コゼットのために動くジャン・ヴァルジャンは格好良かった。また、コゼットとマリユスが結婚した後、身を引こうとするジャン・ヴァルジャンも揺らぎながらも自身の正義に従って生きているかんじがして、格好よかった。マリユスに自身の生い立ちを語ったのも、司祭に習った正義に従ったため、というのも良かった。
ティルディナイがジャン・ヴァルジャンを救ったり、マリユスの誤解を解く手がかりとなったりしたことが、作者の構成力の高さをうかがえた。
帯に書いてあったことだが、ユゴーが「?」「!」の手紙のやり取りをしていた人ということは、とっても驚いた。
Posted by ブクログ
読み終わったいまとなっては、もはや感動しかない。内容のレビューなんてとてもする気にはなれない。
そもそもこれは本当に小説なのだろうか。小説とはなんなのだろうか。
この作品は、小説という形を借りた、小説とは違うもっと別の「なにか」のように思えてならない。しかしそれはなんなのだろう、と考えたときに、うまく言い表せる言葉が見つからない。
この作品では、作者の言いたいことすべてが余すところなく綴られている。いわゆる「小説」ならば蛇足となることも、すべて書かれている。正直、読んでいて辟易としたが、これはなくてはならないものだと思う。物語としては必要はないのかもしれないが、この作品はただの物語ではないと考えるからだ。
それと、登場人物が型にはまりすぎている、という指摘もあるが、それも「小説」として捉えると確かにそうだが、作者のやりたいことは小説的に面白い、素晴らしい作品をつくることではないように思え、それが先から述べているようにただの物語ではないので、これはこれでいいと思う。
小説ではない「なにか」。その「なにか」を言い当てることはできないが、作者の目指していたものが徹底追尾、余すところなく、首尾一貫してできていたと確信できる作品だった。小説を書きたいのではなく、自分の伝えたいことを伝えるのに有効な方法が小説だった、そんなように感じた作品だった。
Posted by ブクログ
レミゼは自分の中での位置づけが難しい。
モンテクリスト伯と同じくらい大好きな本だけど読み終わると当分読みたくないと思う。
好きな本は何度も読み返すタイプだがレミゼは一旦読み終わると次に手に取るまでにかなりの期間があく。
読みた……い気もするけどいや今はいいや……を1年以上かけて10回程繰り返したあとに読みたいが勝ってまた手に取る。そうすると一気に読む。で、また当分見ないこれ、となる。
理由は全部、ジャン・バルジャンがかわいそすぎるから!!!!!
同じ理由で読み終わる頃にはマリユスが大嫌いである。
マリユスに関しては読みたい気持ちが勝ったときでも普通に大嫌いである。もーほんとにもーーーーーーー。
全然話は変わるがこれとモンテクリスト伯を同時に読むとフランス革命がどういうものだったのか、いろんな側面から見れてそこも面白い。