あらすじ
高校3年の夏、県大会予選決勝。
ドラフト1位候補の大本命を擁する大本命校に
待ったをかけるべく立ちはだかるのは
伏兵校の無名左腕・城戸拓馬(きど・たくま)!!
上背こそないものの、
左打者を幻惑する大きなカーブと抜群のマウンド度胸、
そして何より華がある!!
なるか大番狂わせ!?
18歳の暴れ馬が新ヒーローへと駆け上がる!!
感情タグBEST3
ラストイニングといい、中原さんの野球漫画は面白いですね。
野球を描いているというより、野球を題材に濃厚なヒューマンドラマになっているところが好きです。
キャラクターたちの泥臭くも活き活きとした生き様に物語に引き込まれます。
甲子園に
甲子園には手が届かなかったものの、同世代のライバルを抑えた主人公。これからプロを目指すようだが、どんな展開になるのか
秀作!!
「ラストイニング」の中原裕の次回作。
この作者、陸上選手が主人公の「奈緒子」で有名にはなったが、デビュー作の「ぶっちぎり」以降、野球マンガを多く手掛けている人。
前作「ラストイニング」は高校野球の指導者を主人公に据えて新しい視点での物語を書き、ヒットした。
本作は、高校野球終了直後からストーリーが始まり、独立リーグを経てプロ野球への道を進むという、これまた新しい視点。
挫折して自棄になるという展開は、多くのマンガでよくあるストーリー。
そこから気持ちを入れ替えたら、即活躍して第一線に復帰するのもまたありがちなパターン。
本作はそうではなく、主人公は才能あふれるように描かれてはいるが、実際は挫折ばかり。
フラグ立ちまくりの1巻を経て独立リーグに進み、そこでもぱっと見相応に実力を発揮するがまた挫折をするという繰り返し。
ただ、そこで腐ったりせず、きちんと先を見据えて前向きかつ誠実に前に進んでいる点が非常に好ましい。
だから、読む人の共感を得られるのだと思う。
(あまりにもプロの壁が高すぎて、やきもきする面もあるが…)
絵もこのクラスの作者なら当然だがこなれており、非常に読みやすい。
主人公は見た目やキャラ的にも、「二十世紀少年」のケンジに似ている気もするが。
気になる点を強いてあげれば、中盤からのプロ編の展開。
NPBの著作権の絡みからだろうが、かなり強引なやり方で解決を図っており、これが現実のリアル感を損なっている気がする。
球団名や選手スタッフ名に実名を出せないのは仕方ないにせよ、あまりにも現実と異なる設定にしてしまうと、せっかくこの作品のウリである「読者が自分自身を投影」させるという面でマイナスになってしまうのではないだろうか?
でも、非常によくできた作品だと思います。