あらすじ
「あなたと会えるのはこれが最後かもしれない。最後かも」かつてナスターシヤが語った言葉に導かれるように、この終楽章が始まる。悲劇的なるものとコミカルなものが融合した「世界一美しい恋愛小説」は、4人の運命を、ある渦巻きの中心に向かって引きずり込んでいく。全4巻完結。
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Posted by ブクログ
ムイシキン公爵とアグラーヤの諍いはアグラーヤがハリネズミをプレゼントして収まる。公爵を紹介するために開かれたエバンチン家主催の夜会で、公爵は恩人・パヴリーシチェフの改宗の話を聞いて興奮、自説を弁じたのちに発作を起こし、中国製の花瓶を割ってしまう。
アグラーヤとナスターシヤが面談、2人はロゴージンとムイシキン公爵の前で言い争いになり、公爵はナスターシヤと結婚することになるものの、結局は結婚式当日にナスターシヤはロゴージンと逃走、加速して悲劇的な結末へと向かう。
本筋は悲劇的ですが、途中に入るコミカル部分もかなり味があり面白かったです。4巻では、著者が「凡庸な人間」とするガヴリーラ・イヴォルギン、およびその父親・イヴォルギン将軍が目立ちます。
恋愛小説と言われますが、昨今の恋愛小説とはまったく様相が異なり、暗喩に次ぐ暗喩、当時の社会状況、常識、善意の在り方も異なるため、そこに自分を落とし込む作業がなかなか難しかったです。
4人の恋愛、ですが主人公のムイシキン公爵以外のナスターシヤ、ロゴージンにはあまり出番がなく、アグラーヤは3巻から目立ってくるというのも、現実の恋愛とはそういうものでしょうけど、創作物としては珍しいのではないでしょうか。
巻末の読書ガイドがなければスルーしてしまう箇所が多く、私にはキリスト教的思考と素地がないので、浅い読み方になってしまいました。
とりあえず4巻まで完走できて一安心。『カラマーゾフの兄弟』は挫折しました…。いつか再読読したいですね。
Posted by ブクログ
かなりモヤモヤ感のあるラストでしたが、まああれはあれで四人にとってベストな結末だったのでは無かろうかと^^;。あと、ムダに長すぎる会話文も、あれはあれで、善と悪に分かれがちな各登場人物それぞれの多様な一面であったり心情であったりが読み取れて面白かったかな~☆…全ての作家があの方式を採用されるとちょっと困るけど(笑)。
<以下、ネタバレ有り>
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以下、主要な登場人物4人に対する僕のざっくりとした感想。
●ムイシキン公爵
=八方美人は嫌いです^^;。相手の事を思ってわざと冷たくするのが本当の愛じゃないのかな~。
●ロゴージン
=あれを一途とか言ってたらストーカーが大喜びするだけだと思う^^;。結局彼は自分の事しか考えてないし、それを愛とは呼ばないと思う。てか、そもそもまずなぜナスターシャを好きになったのかの理由がさっぱり分からない。ただの独りよがりな執着では??
●ナスターシャ
=この子、絶対にホントは良い子だと思うな~♪おかしな行動を取っているように見えるけど実は常に一貫していて、ムイシキンの事が大好きなんだけど、大好きだからこそムイシキンは自分を愛していない事が分かっちゃって、根っからの自意識の低さであったりロゴージンの異常性などもあったりして何度も身を引こうとする。でも、最後の最後でやっぱり自分の気持ちを裏切ることが出来ない苦悩と戦っていたんだなと思う。ムイシキンが心の底から彼女を愛していたら絶対に二人は幸せになってたと思うな~。
●アグラーヤ
=ハンパ無いツンデレ感は嫌いじゃないけど(笑)、この子もやっぱり自分の事しか考えてないからあんま好きにはなれないかな~。
Posted by ブクログ
完結巻。
終幕近く、正気を失くしたムイシキンとロゴージンが、ナスターシヤの遺体とともに夜を明かす場面は、象徴に満ち絵画的で、美しいとさえ言えるかもしれない。しかしムイシキンの無垢さ、純真さ、聖性は、その場でも遺憾なく発揮されるものの、そこに至るまでの悲劇を思うと現実に生きる人間たちには(ムイシキン自身も含め)手に負えないものなのだろうと感じられる。