【感想・ネタバレ】あのひとは蜘蛛を潰せないのレビュー

あらすじ

ドラッグストア店長の梨枝は、28歳になる今も実家暮し。ある日、バイトの大学生と恋に落ち、ついに家を出た。が、母の「みっともない女になるな」という“正しさ”が呪縛のように付き纏(まと)う。突然消えたパート男性、鎮痛剤依存の女性客、ネットに縋る義姉、そして梨枝もまた、かわいそうな自分を抱え、それでも日々を生きていく。ひとの弱さもずるさも優しさも、余さず掬う長編小説。

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QM

ネタバレ 購入済み

うーん、すごくよかった!それに、物語の最後綺麗に丸くおさまってよかったな。

母からの呪縛とも束縛ともとれる干渉に長年苦しんで、1人暮らしを始める際に葛藤に苦しんだり、
「ちゃんとあれ」と言われて育ってきたから「ちゃんと」っていうのを他人にも求めてしまったり、
主人公の心情の変化がとても人間らしくて、そこが面白かった。

それにしても、主人公が大人になってから尚母親との関係に悩み、昔言われたことをふとした時に思い出して傷つき、
自分はつらいと思っていても誰にも言えなかったり、そういう描写は読んでて胸がチクチクした。

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2025年09月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

親子感の悩み、人とは話せないことをこうやって小説が相談相手になってくれる
主人公が抱える親に対して、親が辛い目にあったから私は側にずっといてあげないと、親が言う通りにしないと、って自分がしたいことを自然とできなくなるし言えなくなる。それが社会にでても人と接するのにすごく影響してしまう、
本当に人に言えなかったことを彼女が代弁してくれてるような気がして救われた。

恋愛小説って感じは私には一つも感じなくて
1人の女性がそういう呪縛?束縛?閉鎖的?なことから徐々に解放されて自分として生きていく本だと思った。すごく良かった、読めてよかった

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2025年01月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

みんな大なり小なり闇を抱えて生きている。
その闇がコンプレックスやトラウマであると同時に
生き方の一部になっていることに気づいたとき、どう行動するのか。

梨枝と三葉の関係は続いて欲しいと願いつつも、だんだん壊れていって
「好きだけど適切な距離感に戻ろう」みたいな展開になりそうだなと思っていたけど
自分たちで行動してやり直すことになってよかった。

母との関係に悩んでいた時期もあったし
今でも腹が立つことは多いけれど
母娘の関係がテーマの小説がたくさんあって
それぞれ細かい種類は全く違うけれど、割とポピュラーな悩みなんだなと気付いて楽になった。

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2025年12月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「みっともない」と「かわいそう」の呪縛。
完全には消えはしないけど、梨枝が踏み出せて良かったです。面白くてあっという間に読んでしまいました。
わたしの母も梨枝の母みたいなところがある…というか、ここが九州とかわたしが長女というだけでなく、娘を持つ女親って大なり小なりこういうところあるかも。紀子は娘をコントロールすることで自分を保ってるんだろうな…わたしの母は違った理由もあったのだけれど。理解はできるけど納得はできないです。
「かわいそう」と思うことで、歪んだ優越感が得られる…という黒い気持ちもまざまざと見せつけられます。自分自身も誰かからかわいそうだと思われてるだろうし、誰かに言われてるのは嫌なのに、「かわいそうなあの人よりはマシ」と思いながら生きてる。

梨枝が、恋人の三葉くんに母親と同じ態度取ってしまってるところは心が痛くなりました。
三葉くんにも、抱えるものがあったから壊れはしなかったけれど。
お互いに、必要なときに出会ったのだな。出会えて良かった。サキさんともそんな気がする。

わたしも蜘蛛は殺さず逃がします。害虫取ってくれる益虫だし。

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2024年05月03日

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