【感想・ネタバレ】植物は<知性>をもっている 20の感覚で思考する生命システムのレビュー

あらすじ

人と違うのは「動かない」ということだけ

「植物に知性はあるのか?」この問いをめぐって、はるか昔から論争がくり広げられてきた。トマトは虫に襲われると、化学物質を放出して周囲の仲間に危険を知らせる。マメ科の植物は細菌と共生し、それぞれにとって必要な栄養分を交換しあう。動けないからこそ、植物は植物独自の“社会”を築き、ここまで地球上に繁栄してきた。その知略に富んだ生き方を、植物学の世界的第一人者が長年にわたり科学的に分析し、はじめて明らかにした刺激的な一冊。本書を一読すれば、畑の野菜も観葉植物も、もう今までと同じ目では見られなくなるだろう。 『雑食動物のジレンマ』の著者マイケル・ポーランの序文付き。

[いとうせいこう氏推薦!!]
自分の好きなものにしか蔓を巻かない蔓性植物はもはや動物である、とベランダ園芸家たる私はかねてから主張してきた。だが、それどころではないと本書は明かす。ハエトリグサがトマトがマメがマツが、人間とは別種の知性で生きているのだ。彼らに私はユーモアさえ感じる。すなわち尊厳を。

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Posted by ブクログ

 本書を読みながら、植物の持つ潜在的な力に改めて驚いた。植物は「口がきけず動きもしない、人間たちの世界の調度品」にすぎないと思われていた。
 しかし、植物は、動かないが故に長い時間をかけて進化してきた。そして、現在も植物は重要な役割を果たしている。

 植物がなければ、地球上に酸素は生まれず、動物や人間が出現しなかった。そして、植物が光合成をして、動物や人間の栄養になってきた。現在のエネルギーのもとである石油、石炭、天然ガスは過去の植物の遺体が作った。それがなければ、産業革命も起こらなかった。

 植物は、半分以上動物に食われても、再生する。植物の細胞には全能性がある。そうやって、私は組織培養の仕事をしてきた。アンパンマンは顔を食われても、ジャムおじさんが作ったあんパンに「いのちの星」が落ちて誕生した存在。そのため、新しい顔を焼いて交換することで、その力が再び満たされ、復活できる。しかし、人間は顔をクマに食べられたら、復活しません。最近は山中伸弥教授によるIPs細胞によって、必要な部分を再生できるようになった。

 本書では、植物の能力を詳しく論じて、植物には知性があるのだと主張だが、確かに植物には、知性があるように感じる。著者は、人間の脳や神経系に基づく知性とは異なる、より広範な概念として知性を提起する。
 植物には脳はないが、知性は存在する。植物には動物のような神経細胞の集合体である脳や神経系は存在しない。しかし、近年の研究により、植物は光、温度、水分、重力、化学物質などのさまざまな環境刺激を感知し、それに適応する「知性」を有していることが明らかになったと著者は指摘する。

 アリストテレスは、生物の生命を説明するために、魂(プシュケー)の三つの階層を提唱した。
 第一に、栄養魂で、成長、栄養摂取、生殖などの生命活動の最も基本的な機能を担っている。第二に、感覚魂(Sensitive Soul)で、感覚、運動、欲望といった動物が持つ能力を指す。第三に、理性魂(Rational Soul)で、思考や推論など、人間のみが持つ能力である。
 アリストテレスの考えによれば、植物は「栄養魂」のみを持つ存在であった。彼は植物を、栄養摂取と生殖という最も単純な生命機能しか持たないものと位置づけ、動物や人間とは異なり、感覚や運動、そして理性を持たないと考えた。
 彼の植物に関する研究は、弟子であるテオプラストスに引き継がれ、「植物学の祖」としてその成果をまとめた。

 プラトンは、植物には成長や栄養摂取を司る最も低次の「欲望魂」しかなく、理性や感覚を持たないと考えた。植物は根を地に深く張り、そこから栄養を吸収して生きている。そのため、プラトンは「植物は逆立ちした人間である」という比喩的な表現を言ったという。この説は、いろいろありデモクリトスがいったと本書はいう。

 ダーウィンは、晩年の著作『植物の運動力』(1880年)において、植物の運動に関する詳細な考えを述べた。この本は、植物の成長や光・重力への反応、つる植物の巻きつきなど、多様な運動についての実験と観察の集大成である。

 特に、以下の点に注目した。 根の先端(幼根)の役割である。 ダーウィンは、根の先端部が刺激を感知し、その情報を体内に伝えることで、成長の方向を決めていると指摘する。この部分を「下等動物の脳、あるいは分散した脳」と表現した。 また、刺激感知と情報伝達の仕組みも重要である。 たとえば、光を感知した根の先端から情報が伝わり、茎全体が光の方向に曲がる屈光性現象を実験で示した。 これは、後の植物ホルモン(オーキシン)の発見に通じる重要な洞察だった。ダーウィンは、「植物に分散した脳」があると指摘した初めての人間だった。

 さて、植物の能力について
視覚。植物には目がないが、光の感受性があり、光に向かって成長する。
根は反対に、光から逃げようとする。光の屈光性がある。植物には、フィトクロム、クリプトクロム、そしてフォトトロピンという光受容体がある。落葉性のある木は、休眠、冬眠する。葉にある光受容体も一緒に落ちて、目を閉じる。

臭覚。トマトは、害虫に食べられると、 VOCs(揮発性有機化合物)を出す。
VOCsの成分は、ヘキサナール、ヘキセナール、ヘキサノールなど、テルペン類のゲラニオール、リナロール、β-イオノンなど、メチルサリチル酸、メチルジャスモン酸など。それが、害虫の天敵を呼び込み、植物間のコミュニケーションとなる。

味覚。根は土壌の中の必要な栄養分を探し当て、それを食べる。必要なカリウム、リンや微量成分を探し当てる。その時、美味しいと感じている。
本書では、食虫植物について考察する。食虫植物は、全世界で約600種類以上が確認されており、園芸上の品種や人工交配種を含めると2,000種類以上にのぼる。1. 落とし穴式 (ピッチャー式)ウツボカズラ属、サラセニア属。2. 粘着式。モウセンゴケ属: 世界中に約200種以上が分布し、日本にも自生。ムシトリスミレ属。3. 挟み込み式。ハエトリグサ属。ムジナモ属。4. 吸い込み式。タヌキモ属など。
虫や小さな動物を食べてしまう植物をどう考えたのかの歴史を語る。

 1740年アメリカのノースカロライナでハエトリソウを見つけた農場主が、イギリス王立協会会員に手紙と実物を送り、それを受けた会員が植物学者に送り、さらにカールフォンリンネに送った。リンネは、触覚刺激の反応で、自発的ではないと考えた。
 1875年にダーウィンは、昆虫を食べる植物の『食虫植物』の著作を発表。ダーウィンは、「ほんとうに私はモウセンゴケは姿を変えた動物ではないかと思った」と述べている。確かに、捕まえた虫などをタンパク質分解酵素で消化して、栄養をとっていたのだ。ダーウィンの観察眼は卓越している。モウセンゴケに硝酸アンモニウムは吸収するが硫酸アンモニウムは吸わないなどの実験をしている。

触覚。植物には、表皮細胞に物理刺激チャンネルがある。それは、オジギソウで明らかで、生物学のラマルクが、オジギソウを馬車に乗せて走り回ったら、最初は閉じていたが、慣れると閉じるのをやめた。余分なエネルギーを使わないのだ。つる植物は巻きつく相手をきちんと触って巻きつき、光を浴びる。根の根端は、石にぶつかったら迂回する。これは明らかに触覚機能である。

聴覚。ブドウに音楽を聴かせると、成熟が早いうえに、味、色、ポリフェノールの含有量の点で優れたブドウを実らせた。ブドウの木全体で聴き、土に伝わる音も根で聴く。とりわけ、低周波が、発芽、成長、根の伸長にいい。2012年にイタリアで根が音を出していることが確認された。

以上の人間の感覚以外に、土の湿り気や近くにある水流なども感知できる。
それは、湿度感覚という。さらに、重力感覚、電磁場感覚、化学物質感覚、気圧感覚、物理的刺激感覚、振動感覚、電気信号感覚、光の波長感覚、毒性物質感覚、アレロパシー検知感覚などがある。

これらの感覚は、人間のように独立した器官で感知されるわけではなく、細胞レベルでの高度な反応によって成り立っている。著者は、植物を単なる受動的な存在ではなく、積極的に環境と相互作用し、適応する「知性」を持った生命システムとして捉えている。

 植物は内部コミュニケーションをしている。気孔は、CO2を取るために開いていないといけないが、水分を蒸散させないために閉じる。その気孔の開閉をバランスよく判断する。また、森の樹冠が重ならないようにコミュニケーションをとっている。根圏も同じような仕組みがあり、根と菌根菌は話し合っている。相利共生の関係にある。
 また、受粉するために、虫に蜜を与えて、花粉を身体につけさせる。地球上で一番大きな花を咲かせるショクダイオオコンニャクは、クロバエの好きな腐敗臭を出す。

 植物は動かない。脳がない。感覚がないというが、以上を考えれば、十分な知性を持っている。問題は、この植物の知性に基づいてどうコミュニケーションをするかだ。 VOCsを測定することで、害虫情報をあつめることができそうだ。やはり、植物が発する微弱な電圧変化(活動電位)をリアルタイムで測定して、翻訳するのが先かなぁ。

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2025年09月28日

Posted by ブクログ

植物に対しては動物と違って動かない、動物より下等であるといったイメージを無意識に持たれていないでしょうか?
しかしながら
・動物は体を半分にされると絶命してしまうが、植物は残された枝葉より再生可能である
・地球上のたんぱく質の99%以上を占めて居る
ことを鑑みると植物には動物に勝るとも劣らない知性を持ち合わせており、地球支配をされているとも言えるのではないか。
コペルニクス的転回を促される一冊。

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2024年11月04日

Posted by ブクログ

読んだ直後は植物の知性は人間と違うな、面白いなというくらいだったが、時間が経つにつれて、これはある種生き方に革命的な視点転換を示す本なのではと思い至った。今いる環境から抜け出したいけれど、残念ながらそこで生きざるを得ない(動けない)という人に、オルタナティブを提示するかもしれない。

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2024年05月02日

Posted by ブクログ

この本をきっかけに植物が大好きになったし、植物はとても興味深いと思った。植物どうしのコミュニケーションだったり、植物と動物のコミュニケーションはとても興味深く、植物の生き方に感心した。

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2024年04月29日

Posted by ブクログ

植物の世界も「不思議な世界」満載。
いかに人間が「思い込み」や「偏見」で、
人間以外のものを見ているか、ということをこの本でも思った。
植物と日々暮らしている僕は、「不思議さ」も感じさせてもらっている。
しばらくは「植物」関係の本を読んでいきたい。


〈本から〉
植物は固着性(移動できないということ)をもつ生物であり、動物とは違う方法で進化し、モジュール構造(たくさんの構成要素が機能的にまとまった構造で、各部分は交換可能)でできた体をもつようになった。

植物は、いわゆる「群知能」〔集団の個々の構成員の総合作用によって全体の協調性が生み出され、高度な集団的振る舞いを可能にする知性〕も持っているという。

光をめざして動くこのような性質は、「屈光性」と呼ばれている。

「日陰からの逃走(被陰反応)」

光を求めるこの性質は「正の屈光性」、正反対の振る舞いは「負の屈光性」

ゴットリープ・ハーベルラント(オーストリアの偉大な植物学者 1854〜1945)によれば、私たちが角膜と水晶体を使って外界のイメージを再構築しているように、植物も表皮細胞を使って同じことを行っているのである。

植物は「におい」によって、もっと正確に言えばBVOC(Biogenic Volatile Organic Compounds=生物由来揮発性有機物)の微粒子によって、周囲の環境から情報を得たり、植物どうしや昆虫とのコミュニケーションをはかったりしているのだ。これはたえず行われている。植物は自分でもにおいを作り出す。例えばローズマリー、バジル、レモン、カンゾウなどのにおいは、明確な意味を持つメッセージだ。においは植物の「言葉」なのだ!

植物の成長に影響を及ぼしているのは音楽のジャンルではく、音楽を構成する音の周波数なのだ。ある一定の周波数、特に底周波(100〜500ヘルツの音)が、種子の発芽、植物の成長、根の伸長にいい影響を与える。逆に高周波は成長を抑える効果がある。

植物はうまい解決法を見つけた。短い距離の場合、電気信号は細胞壁に開いた微小な穴を通って、一つの細胞から別の細胞へと伝えられる。この現象を「原形質連絡」という。長い距離なら(たとえば根から葉への伝達)、主に「繊維管束系」〔植物の茎の中を縦に走る柱状の組織の集まり〕が使用される。

昆虫に「訪花の一定性」を求めて、それを守らせているのは植物の方だとわかるだろう。ただ、どうやってそれを行っていうのか、まだ何も分かってない。

動物の並外れた擬態能力でさえ、ランの一種であるオフリス・アピフェラには、到底かなわない。(略)この植物は三重の擬態を行っていると言える。雌の体の色と形(視覚をだます)、毛で覆われた体表面(触覚を騙す)、独特のにおい(嗅覚を騙す)である。(略)そして、雄バチが雌バチだと思い込んでいるものと夢中で後尾しているとき、突然、花の仕掛けが作動して、雄バチは頭から花粉をかぶせられる。(略)雄バチは自分の体ごと花粉を次の花に運ぶことになる(そして受粉させる)。この関係を見れば、植物と昆虫とではどちらが立場が上なのか、全く明らかだろう。

サクラは受粉の時、とてもきれいな白い花を咲かせる。(略)ミツバチは白い色がよく見えるので、楽々と花にたどり着くことができる。でも、赤色は見えない。サクラの果実(サクランボ)が赤い色をしているのはミツバチのためではなく、別の動物を呼び寄せるため、つまり鳥のためだ。赤色は、葉の間でもよく目立ち、遠くからでもよく見える。そのため、飛んでいる鳥でも簡単に見つけることができる。(略)とは言え、サクランボが赤いのは、種子が熟しているときだけである。熟すまでは緑色なので、葉の色に紛れて、鳥には中々見つからない。

地球上のバイオマス(生物の総重量)のうち、多細胞生物の99.7%(実際は99.5〜99.9の間で変動し、その平均値が99.7%ということ)は、人間ではなく、植物が占めている。人類と全ての動物を合わせてもわずか0.3%に過ぎない。この事実からすれば、間違いなく地球は「緑の星」だと定義できる。

私たちは「脳の偏見」(脳がなければ知的ではありえないという偏見)によって、植物もこれらの生物も、知能を全く持っていないと思い込んでしまっている。そうした私たちの態度に科学的根拠はない。

二十世紀初頭に、現代インドの優れた科学者で、インド現代史に偉大な足跡を残した人物でもあるジャガディッシュ・チャンドラ・ボース(1858〜1937)は、植物と動物は根本的に同じであると主張した。彼は次のように記している。「これらの樹木は、われわれと同じ生命を持っており、食事をし貧困に喘ぎ、苦しみ、傷つく。盗みを働くこともあれば、助け合うこともできる。友情を育むこともできれば、自分の命を子どもたちのために犠牲にすることもできる」

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2020年06月15日

Posted by ブクログ

かなり興味深い。
書き方も面白くてあっとゆうまに読んだ。
動物も元々は植物だったんだろうと思うし、
大昔に違う進化を選んだだけで、
その後もずっとわたしたち動物と同じように、
植物としての進化を続けてきているわけで、
動物が高等で植物が下等なんて考えはおかしいわけで。
これからは植物も兄弟と思う。遥か遠い親戚だ。
敬意を払って、大切にしそこから学びたい。

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2020年03月03日

Posted by ブクログ

"地球で存在する生物の99.7%を占める植物。この地球を観察しているETは、この星の知的生命体をとらえる時どのような結論を見出すのだろうか?人類は知性を持ち、あたかもこの星の住人の如く過ごしているが、少数派であることを忘れている。
本書は、植物に目を向けその驚くべき生態を紹介している。
物は動物のように専門の器官はないが、体内の液体を循環することができるし、においでコミュニケーションをとれるし、外部からの接触にも対応できる。人間が想像できる範囲で植物の謎に迫った本。本書には記載がないが、樹木など100年単位で生きているものもあるので、我々の時間軸とは別の次元で活動しているのだろうなぁと思える。
哺乳類が普通に行う睡眠も、植物もとっているらしいが、1日という単位で観察して睡眠ととらえていいのか?春夏秋冬という単位でとらえるべきではないか?こうした私の素朴の疑問には答えてくれていないが、興味深い一冊となった。"

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2018年11月23日

Posted by ブクログ

とても刺激的で面白いです。
今まで気付かなかったというか、考えなかった事に気付かされた感じです。
今までの私のイメージでは、進化の最先端は、人間と昆虫で、集中処理と分散処理の最先端、というイメージがありました。
でも本書を読んで、植物も進化の最先端に居て、著者は植物を昆虫に似たイメージで語っていますが、もう少し違う観点から捉えるのが良い気もしました。
確かに、植物はもっと研究されるべき対象ですね。高校生くらいに読んでもらって、興味を持つ人が増えると良いですね。

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2018年09月09日

Posted by ブクログ

地球上の全生命の99.9%を占めるといわれる植物の複雑な生命システムにいて分かりやすく説明する本。動物よりも軽んじられている植物の凄さを啓蒙する本、という側面が強く、今までこのような視点を持っていなかった私にとって、目から鱗な話題が多くとても面白かった。

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2016年07月02日

Posted by ブクログ

我々人間は得てして植物を取るに足らない生物とみなしがちであるが、それは(植物が動物のような「脳」を持っていないことと、実際には動いている植物を人間が知覚できないことに起因する)偏見に過ぎないことが示されている。
植物は人間を含む動物とは異なる進化戦略を採った生物であり、動物と同様及び動物が持たない感覚も持っている。知性を「問題を解決する能力」と定義した場合、植物にも知性があると結論付けることができる、と本書では主張されている。
植物の知性に関する研究の進展は、人工知能等知性一般に関する研究等にも貢献し得ることも本書末尾で示唆されており、大変興味深い内容であった。

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2016年02月14日

Posted by ブクログ

私はヴィーガンで、植物や菌を食べて生きています。
元々、植物には脳がないだけで、知性やコミュニケーション能力など、そういったものはあると感じていました。
人間に理解できないだけ、判別できないだけ、認識できないだけで、植物はむしろ人間に語りかけているかもしれないとも考えています。
人間のモノサシだけで判断する愚かさは常々感じています。
その感じていたことをこの本はわかりやすく、根拠も示しながら、解説してくれました。
自分の感じていたことに根拠が補填され解像度が高まりました。

私たちは命を殺して生きています。
そこから逃れることはできません。
しかし、少しでも、犠牲にしない搾取しない選択肢はあると思っています。
動物を食べなくても、着なくても、買わなくても使わなくても、生きていけます。
植物を食べずに生きていくことはできません。
使わずに生きていくことはできません。
だからこそ、植物の存在を改めて自覚し、これからも生きていきます。

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2025年06月04日

Posted by ブクログ

植物同士のやりとり、
昆虫や動物との関係

あらゆる植物は知性を持ち、感じ、問題を解決しながら進化してきた
オカルトでもスピリチュアルでもなんでもなく、
人間など植物の足元にも及ばないのかもしれない

細野晴臣の書評のように、世界観が転回する

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2025年02月23日

Posted by ブクログ

マンクーゾさんの本の一冊目。植物の「知力」を論じた本としては、のほうが、論理的な抑制の効かせ方という点で、「植物はそこまで知っている」の方が僕は好き。
でも、マンクーゾの情熱とか、実際へのアウトリーチとか、好ましいのも確か。そういう意味では「未来を知っている」の方が、オリジナリティが高いかな。

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2021年09月11日

Posted by ブクログ

面白かった。最初は、少しでも植木や花を育てた人なら誰でもわかりそうな事が書かれていて、飽き気味に読んだ。もっと実験の詳細や数値での提示が欲しいと思ったが、中盤からは分かりやすい文章で好感。様々な事例で、いかに植物か優れているかを論じ、また植物の知性を活かした将来も見据えてある。感動的。

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2018年08月01日

Posted by ブクログ

植物も知性を持っている!何を持って知性とするかによると言えるが、漠然と認識していたよりはかなり高度な能力を持っているようだ。早回しの画像を見ると、植物が動物のように動くのがわかる。時間軸の違いだけなのか?いずれにしても、もっと柔軟な発想力を持たないといけないと感じさせられた。

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2017年04月12日

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人間は動植物の頂点にいる。
言葉を操り、道具を使い、他の動物たちの精子を握り、植物たちを管理する。
そんな思い込みは単なるおごり以外の何物でもない。
人間たちは自身を万能だと思っているが、実は下等だと思っている植物たちに「使われている」だけなのかもしれない。

植物に脳はない。
しかし脳がないから知性がないという結論は、あまりにも植物を知らぬし軽視しすぎている。
植物たちは動物のように大事な器官を作らないことを選択した。
そうすることで生存率を高めたのだ。
つまり、リスク分散というわけだ。
動物は脳や心臓がないと死んでしまうし、手や足がもがれたら死んでしまうそうだから。

「人媒」も有用だ。
なんとこの戦略の優れた事か。風で飛ばされたってせいぜい数十キロ、鳥が運んだってせいぜい数千キロ、でもこの人間というやつらを使えば......。
本書では動物を巧みに操る能力を、植物は人に対しても持っているかもしれないと指摘する。
人間が好むような花、果実雨、味、香り、色......これらをちょいと変えさえすれば、驕り高ぶったこの生物はまんまと我らの術中にハマる。
病気から守り、快適な環境を与え、子孫を増やしてくれるのだ。
今までいけなかった場所にだって連れて行ってくれる。
下等なフリさえしていれば、蝶よ花よ、だ。なんと単純なこと!

我々は一段低く見られ続けてきた。
ノーベル賞をとるに値するような研究も、動物でないから無視された。
未知なる世界は広がっているのに、私たちには見向きもしなかった。
そして知性は動物、とりわけ人間だけのものだと思われてきた。
しかしその前提は疑問が残る。
誰かを一段低く見て、貶めて得る知性は本当に知性なのか。
そもそも知性とは何か。
我々だってコミュニケーションをとる。
危険が迫ればクリッカー音を出す。
ツルを振り回して伸びてもいけるし光を探して伸びることもできる。
家族であれば互いに限られた栄養を取り合ったりはしない。

知性とは何であろう?
私は考え続けている。

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2016年05月26日

Posted by ブクログ

植物の知性についての本。植物の権利と地位向上のための本と言っても良いかもしれない。植物の知性を理解するには植物と動物の違いを理解する必要がある。重要な臓器を持たず、それ故に脳がないこと。体の各部分が独立した能力を持ったモジュールで、それが集まったコロニーのような構造であること。どこかが食べられたりして欠損しても致命傷にならず再生できること。そのため体の各部分に情報処理機能があり、インターネットのように分散型の知性である。特に根系は根冠が無数にあり、それが互いにコミュニケーションをとり全体としての知性が創発していると説く。根のネットワークをニューロンと仮定すると根が思考を持っていても良いのかもしれない、などと思った。そのようにして植物を眺め、その生き方を知ることはこの世界に深みを持たせる。

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2016年05月05日

Posted by ブクログ

植物が人間や他の動物と同等、あるいはそれ以上に優れた生物であることを解説した本。植物の優れた特性、腫を広げるための驚くべき戦略の数々がたくさん紹介されていて非常に興味深い。ただ図版や写真が少ないので、紹介されている植物のイメージがつかめないところが残念。
いずれにせよ、植物に対する認識が一変する良書
本書内で、植物が自分の繁殖のため、昆虫や動物はもとより、人間までも利用しているのではとの説が紹介されていたが、未だ解読不能の奇書「ヴォイニッチ手稿」の植物と思しきイラストが載っている一連ページの解釈として、人間は植物のための養分として生かされているという解釈をネットで発見し、この解釈がもしかしたら合っていて、事実なのかもと思い、ちょっとぞっとした。また、本書では、人間に知られている植物は全植物種の10~15%にすぎないらしいことが紹介されているが、それが事実だとすれば、「ヴォイニッチ手稿」で描かれている数々の植物は、今のところ存在が確認されてないだけで実在するのかもしれない・・。

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2016年03月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

確かに本書が述べるように、植物は感覚をもっていて、コミュニケーションを行い、眠り、記憶し、他の種を操ることができるのですが、それを「知性をもっている」と表現しています。確かにそう思えるいっぽうで、新たにこんな疑問が私には浮かびました。「それじゃあ、植物は意志をもっているのだろうか」と。それとも、知性=意志なのか?人には随意筋と不随意筋があるように、植物にも随意筋のようなものがあるのだろうかと思ったもので。この本を読んで、私の謎は深まるばかりです。

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2016年02月20日

Posted by ブクログ

とても良い

地球上全体を見れば、その生物の中で動物はわずか1%程度の個体数しかない
総重量でいうと0.3%しかない
動物は植物がいなければ絶滅するだろうが、植物は動物がいなくなっても繁栄を続けることができる

植物の根端は情報センサーであり情報発信ネットワークのひとつだ
インターネットの形態はこれに近いものだ
集合知が生み出すものは創出と呼ばれるそうだ
大きな拍手の渦や、ウェーブのように個体ではなし得ないものが創出されるのだ

そもそも植物は生き物なのかと、その昔は哲学の対象となっていたと言う
魂についても知恵についても考察されてきた
イスラム教のコーランでは植物は生き物から除外されているし、ノアの方舟にもあるようにキリスト教でも動物とは区別されてきた
デモクリストは逆立ちをした人間のようだと考え、後の哲学者ソクラテスは移動できない動かないものだとして生物から排除する考えだったそうだ
晩年になってソクラテスも、植物が繁殖する事をもって生物の仲間に組み込まざるを得ないと考えを改めたそうだ

生物の細胞は植物の研究で解明され、遺伝についても有名なメンデルはえんどう豆で研究したのだった
DNA同様、RNAの研究も植物で研究されたものを、動物の遺伝子で研究した学者はノーベル賞受賞だった

今や生物としての認識は一般的になったものの、それでも人間を頂点とする動物とは別の一応生き物だと感じている人が普通なんだろうと思う

植物はモジュール構造を選択したことによって葉を食べられても生きて再生できる
さし芽やさし木のように部分から再生することもできる
接木すらできる

逆立ちをした人のように、根が重要な頭脳にもなっているという
20種類の知覚を持っているとも言われ、人間の五感以上の知覚能力が発達しているのだ

単細胞生物にその起源を探ると光合成ができるミドリムシ:ユーグレナと光合成ができないが繊毛を持っているゾウリムシに比較対象を求めることができる

日本では、ミドリムシを研究しビジネスとして取り扱って成功した例が分かりやすいかもしれない
この著者の感覚とは日本人ならではの商売感覚は、植物に対しても違うのかもしれないと感じる話しでもある

そして知覚と併せてコミュニケーションについても
BVOC 生物由来揮発性有機物
を起点に論が進む
例えば
ジャスモン酸メチル
ストレスにさらされた多くの植物が発するBVOCだ
これがメッセージであり共通の言葉になっている
言葉といっても、言語に共通する根っこのようなものと考えられる
草食の昆虫に食べられている時、SOS信号にあたるBVOCを発し周りの植物に伝える
すると周りの植物は防衛行動を開始する
例えば葉を消化できなくする化合物を出したり、葉を有毒にする化合物を作り出す植物すらあると言う
トマトのSOS信号は強烈らしい

ハエトリソウなどは知られていたが、食虫植物として肉食の植物を認識させたのはチャールズダーウィンだったという
植物研究は息子に譲って、動物学に追われたダーウィンだったが、植物研究も画期的なものだったようだ

植物の知覚を農業で取り組むのは音響農法だ
音楽を聴かせて育てたトスカーナ地方のブドウは発育良くポリフェノール含有量も多く美味しく育った
そして害虫にも忌避効果があったことから無農薬、低農薬栽培としてのグリーン経営プロジェクトのひとつになったそうだ

重力知覚や空気中や地中の含有成分、化学物質への感知、測定する能力
根は数メートル離れた栄養素を知覚で捉えている
また汚染物質など有害成分からは遠ざかろうとする
バイオテクノロジーではファイトレメディエーションという有害物質を分解して無害化する技術も研究されている

植物の構造
神経系統に当たるのは、維管束系の木質部と師管部という二つの原形質連絡がそうだ
電気信号、水、化学物質の三種類の内部コミュニケーションが成り立っている
動物は脳に集約される集中管理システムであるのに対し、植物は、葉から葉や根へ 寝から葉や根へ直接信号を送れる分散型管理システムだ
モジュール構造の植物ならではの内部コミュニケーションだ
植物同士のコミュニケーション
松やブナなどは葉 特に樹冠は触れ合わないように成長する
どうやら化学物質を発散させてコミュニケーションを図っているという
種族、親族の判別もしているという
根が重要な判断をする
根圏を持つ
そこには微生物、細菌、菌類、昆虫などが含まれる土壌だ
ライマメは、草食のダニからの食害に遭うと化学物質を発散し肉食のダニを呼び草食のダニは肉食のダニに食べられてしまう

そして繁殖の戦略
オフリス・アピフェラというランの花は蜂に擬態するという
ルピナスの花の昆虫活用方法やアルム・パレスティヌムというサトイモ科のブラックカラーはハエを花に閉じ込めて花粉だらけにするなど様々な戦略を見つけ出せるという
果実という方法で動物に種を運んでもらうこと
種が熟成するまでは毒性を持っている果実もある
逆に栄養価の高いエライオソームという付属物を付けた種もある
人間もまた植物との共生関係にある

AI人工知能のことも知性と呼ぶのだろうか
生命が持つ知能のことを知性と呼ぶのには抵抗は少ないだろう

人間が知性という場合、人間の知性と同じものを指している
水素の発信する周波数が1420MHzだから地球外知的生命体もこの周波数帯を使うだろうと予測されていたからこそ、有名なWao信号というものが受け入れられているのが実態だ
しかし植物の知性は人間の知性とは異なる
植物学者の感覚からは、宇宙人がいても宇宙人の知性を理解できないだろうと思われても仕方ない

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2022年12月15日

Posted by ブクログ

結局、移動を選んだのが動物、定住を選んだのが植物。一見、動物の方が偉いように見えるが、植物が消え去ったら人間の生活は持たない。一方で動物が消えたら植物はこれまで動物に奪われていた領土を奪い返し、わずか数年で完全に取り戻すに違いない。

コペルニクス革命以前、地球は宇宙の中心にあり、すべての星々が地球の周りを回っていると考えられ、人間中心の考え方で捉えられていたわけだが、現在の生物学もコペルニクス革命前にあるといっていいということで、光を感じる視覚や、嗅覚を使った植物同士のコミュニケーションについて語られる。

緑の多い街は犯罪が少ないという事実もいい。なぜかは分からないが感覚的に分かるし、とりあえず、家に緑は増やしておきたいと思った。

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2020年09月17日

Posted by ブクログ

知性があるのは分かったが何故?どうして?どうやって?まで踏み込んでいない。
たぶんまだ知識の集積が不足していて、それだけずっと植物は軽視されてきたんだろうなと。
植物からイノベーションくる?

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2017年06月13日

Posted by ブクログ

ここでいう知性は「問題を解決する能力」と定義されている。人間は人間>その他動物>植物と優劣意識を持ちがちだが、そんなことはないと著者は指摘する。例えば植物は大部分が捕食されても、数日すれば再生する。(生命機能を分散するモジュール構造)。移動ができないからといってそれで終わるのではなく、甘い香りで昆虫を呼び寄せ受粉のサポートをさせて子孫を残すのも植物ならではの一例。
夏の暑い日、気が付けばそんじょそこらに雑草が伸びている。それは植物が長い間時間をかけて自らの生命維持を試行錯誤してきた過程の結晶なのだろう。雑草うぜー、などとは言っていけないですね。

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2017年01月09日

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