あらすじ
30年の歳月をかけ、男は夢を実現できるのか?
マーティンは、フィレンツェで建築職人として成功を収めた。数年後、疫病によって家族も仕事も失った彼は、ふたたびキングズブリッジに戻ってきた。が、ここでも疫病は猛威をふるい、町は壊滅状態となっていた。やがてマーティンは、女子修道院長となったカリスに依頼され、町の復興を賭けて大聖堂の塔の建設に着手する……世界をふたたび熱狂させた壮大な物語、遂に完結。
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Posted by ブクログ
続編のジンクス、全くなし!
むしろ『大聖堂』よりおもしろかったんじゃないかと思う。
舞台は『大聖堂』の約200年後。ペストの流行する中世ヨーロッパ。この作品でも当時の時代の空気感や時代背景がよくよく調べ上げられたうえで表現されている。このケン・フォレットという作家さん、何でここまで幅広い知識がおありなのか。建築について当時の生活についてペストについて。。。まるで見てきたかのように表現されていて、まずそこに引き込まれてしまう。
そして、これもこの作家さんの特徴と思うが、登場人物についても、これまた見事に描いている。『大聖堂』の登場人物の子孫たちを中心として書かれているが、今回も心理描写や人間関係に引き込まれてしまった。変に「素晴らしい人物像の主人公」を描かずに、みんなが人間臭い!弱いところもあるし、ちょっとずるい気持ちもある。それでも前を向いて生きていく、そんな姿に共感してしまう。
人類の長い歴史の中、精神・宗教観、社会の仕組み、そして人々の生き方は変わっても、一方で変わらない価値観もある(別れの悲しみ、愛情など)。脈々と受け継がれてきている人類の長い歴史の一片を切り取って『果てしなき世界(World without End)』を描いている。
これからもしばらく、ケンフォレット漬けの日々になりそう。