【感想・ネタバレ】日本人の給与明細 古典で読み解く物価事情のレビュー

あらすじ

古代から近世まで、古典に登場する人物のうち、給料をもらう人物の年収と私生活を、米の値段などをもとに現代のお金に換算。丁寧な分析で、山上憶良、菅原道真、紫式部などの収入を明らかにしていく。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

奈良、平安、鎌倉、室町・戦国、江戸の5つの時代の人々の収入が紹介されている。現物支給だったものについては、当時の物価価値で換算した額が出されていて、なかなか面白い。

分量的には平安時代の貴族に関する記載が最も充実しており、その次に江戸時代。奈良、鎌倉室町・戦国はけっこう薄い。現存している史料によって調査の濃淡が異なるということか。

個人的には江戸時代の庶民の生活水準や金銭感覚を知りたいと思って読んでみたのだが、そのへんの記述はほとんどなく、ちょっと期待外れ。というか、どの時代をとってもいわゆる「一般人」の懐事情の記載はほぼ無く、これも信頼できる史料がないためなのだろう。平安時代の章など、貴族のとてつもないレベルの収入と、それを得られる地位を買うための策謀やら政略やらが目立って辟易してしまう。

先に書いた通り、平安時代の記述が最も濃いので、この時代の貴族の生活について知りたいなら良書。また、それ以外の時代についても「エリート層」の生活を見てみたいなら得られるところは多いだろう。

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2020年12月29日

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