【感想・ネタバレ】日本人の給与明細 古典で読み解く物価事情のレビュー

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Posted by ブクログ

『王朝貴族物語』『平安貴族のシルクロード』以来、この人の著作に触れる。
懐かしい友達に街角で思いがけず出会ったような気分で。

米を基準に、山上憶良の年収から、源内、南畝の懐事情まで、記録を精査して換算する。
「貧窮問答歌」は中国の詩の理念(民の窮状を描いて政治を慷慨する)の移入だった、という指摘にハッとする。
平安時代の売位、売官の状況も、初めて知って面白かった。
ますます山口ファンになってしまう。

一つ一つの費目を記録から拾い、換算している作業は大変だったろうなあ、と想像する。
表などでそうしたデータがふんだんにまとめられており、重宝しそう。

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2020年01月30日

Posted by ブクログ

<目次>
第1章  奈良時代
第2章  平安時代
第3章  鎌倉時代
第4章  室町・戦国時代
第5章  江戸時代

<内容>
各時代の様々な資料を駆使して、収入や支出の様子を描いたもの。著者は平安時代が専門の文学系の人らしく、前半のほうが詳しくて面白い。日本史を教えている立場からすると、こういう資料は授業で活用しやすいのでうれしい。経済的な話以外にも、『紫式部日記』のなかの清少納言や和泉式部への酷評とか、室町時代の文学から見る歴史の様子など、なかなかいい視点だと思う。

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2015年09月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

奈良、平安、鎌倉、室町・戦国、江戸の5つの時代の人々の収入が紹介されている。現物支給だったものについては、当時の物価価値で換算した額が出されていて、なかなか面白い。

分量的には平安時代の貴族に関する記載が最も充実しており、その次に江戸時代。奈良、鎌倉室町・戦国はけっこう薄い。現存している史料によって調査の濃淡が異なるということか。

個人的には江戸時代の庶民の生活水準や金銭感覚を知りたいと思って読んでみたのだが、そのへんの記述はほとんどなく、ちょっと期待外れ。というか、どの時代をとってもいわゆる「一般人」の懐事情の記載はほぼ無く、これも信頼できる史料がないためなのだろう。平安時代の章など、貴族のとてつもないレベルの収入と、それを得られる地位を買うための策謀やら政略やらが目立って辟易してしまう。

先に書いた通り、平安時代の記述が最も濃いので、この時代の貴族の生活について知りたいなら良書。また、それ以外の時代についても「エリート層」の生活を見てみたいなら得られるところは多いだろう。

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2020年12月29日

Posted by ブクログ

本屋で衝動買い。当時の物価から見えてくる古典文学というテーマのエッセー集。江戸時代の武士の収入はどれぐらいだったか?や、平安時代の貴族の収入はどれほどだったか?などがわかって、とても面白く読めた。末尾に各時代の物価の詳細が載っている表があって、今後の古典文学や歴史小説を読む際の参考となりそうである。

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2017年02月01日

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