あらすじ
せっかく大金を投じて新システムを導入しても、社内の不満がたまり、「前のほうがよかった」「エクセルで十分」となっては、生産性も士気もダウンするばかり。かけたコストも無駄金になる。技術的な問題はシステム部門に任せるにしても、経営層やユーザー部門が、ITシステムの基本的な考え方や、陥りやすい罠と対応法を理解しておくことは、企業がシステム導入・運用で失敗しないためには不可欠なのだ。世界的コンサルタント会社のトップコンサルタントが、ITシステムにまつわる、コスト削減、組織運営、進捗管理の解決のポイントを伝授。経営層が正しく意思決定するために、システム部門が社内でブラックボックス化しないために、ユーザー部門がシステムで効率化をはかるために、必読の1冊!
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Posted by ブクログ
システム導入による業務改善の期待だけが膨らみ、実際のシステムを見て愕然とする。価格ばかり重視した結果、納期や性能が置き去りされたシステム。システムの運用は開始されたが、業務にマッチしておらず存在を抹消さる。
どれもこれも、会社でITシステムの導入や運用に携わったことがある人なら、常識ともいえる「あるあるネタ」ばかりだ。問題はこうしたネタが一般化しているのに、それを回避できないことだ。多くはITシステム部門の特殊性、閉鎖性によるもので、本書の内容を皆が共有したとしても、おそらくはITシステムの罠に落ち込んでしまうだろう。
罠から抜け出すには、ITシステム部門という歪な組織をぶっ壊して、システムを必要とする者、利用する者を中心としたプロジェクトチームを立ち上げ、経営層が全面的にバックアップすること。・・・なんだろうけど、これまた、わかっちゃいるけど上手くいかないのだ。
多くの場合、ユーザによるプロジェクトチームはシステム部門のような特殊性、閉鎖性を持ち始め、経営層はシステムへの関与を面倒くさくなってくる。
思うに、システムに期待を抱かない。システムが業務効率を軽減してくれるなんて思わない。そんなユーザが増えることが幸せなシステム開発ではないだろうか。言わば、「罠」に落ち込んでるのに、気づいていない・・・って、これこそ問題か。
Posted by ブクログ
システム開発に携わる人間にとって耳の痛~い話がいっぱい。
一つの事柄に対し、経営層・システム部門・ユーザ部門の三者向けにポイントを押さえて書かれており、
わたし自身はシステム部門の人間ですが、他の立場の人にも何を心得てもらえわなければならないのか、非常にタメになりました。
以下、印象に残ったところ。
・企業のITシステムは、現行のルーチンを固定的・効率的に行うためのギプスのようなもの
・ERP導入の効果。最初に効果が得られるのは、導入の検討時。業務プロセスの改善点を洗い出し、望ましい組織設計を検討できる
・パッケージに業務を合わせろ、は誤解を生みやすい。正しくは、「道具はパッケージソフトしかないので、業務と体制をうまく設計しろ」
・新システムの稼働日は、機能改善の開始日
・ポリシーに則って運営している限りにおいては、遅延や障害が起きても、システム部門を責め立ててはならない
おもしろかったです。
企業で社内システムの開発に携わる人は、みんな読もう。
Posted by ブクログ
ITシステムの導入、運用でありがちな失敗を並べた本です。組織の力学に起因する失敗の事例が特に豊富で、ステークホルダーマネジメントの勉強になりました。技術的な話はそれほど深堀されてないので、それはまた別のどこかで勉強します。