【感想・ネタバレ】菜の花の沖(一)のレビュー

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江戸時代中期に蝦夷地経営に係わり、ロシアとも関係のあった高田屋嘉兵衛を描いた小説。ちょっと大黒屋光太夫と混同してしまいますが別物。(井上靖のおろしや国酔夢譚も読みましたが)。第1巻は高田屋嘉兵衛が淡路で生まれ、生国を逃れて兵庫で樽廻船の乗員になるまで。
本著は著者自身が他のロシア関係著作で触れているのを読んだ事があり、いつか読もうと思っていました。やっと着手できました

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2014年05月25日

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全六巻。最終巻以外の五巻が壮大な序章といえるほど六巻の盛り上がりと感動がすごい。船頭という今まで考えたことのない視点で、江戸後期の複雑に醸成されてしまった鎖国日本と世界を紡いでいくストーリー。
この作品で改めて司馬遼太郎の偉大さを思い知らされたが、以下の3つの点で素晴らしい小説。

・歴史事実・・・鎖国当時の日本の国家体制や造船・廻船業への規制などを細かく描写する一方で、ほぼ丸々一巻を使って当時のロシア情勢の背景まで深掘りして描き、読者に公平な情報量を提供しようとする姿勢に感服。
・時代背景・・・ストーリーの節々で、そのときの登場人物の行動とそれに至った思考回路が、当時の時代背景を踏まえてどのようにその基準に沿った・外れたものであったかを、逐一説明しているところが、事実だけを書き述べる作家と一線を画している。
・人間賛歌・・・身分を超えた商人と幕臣の信頼関係、そして最終巻で描かれる国を超えた嘉兵衛とリコルドの友情は、人と人の関係は時には利害を超え、言語すら二次的なものとなることを気づかされる。

今の日本の諸々の領土問題を当時から見透かしていたかのような言い回しが出ているが、嘉兵衛の説いた「他を譏(そし)らず、自誉(みずからほめ)ず、世界同様に治り候国は上国と心得候。」という哲学は、今のグローバル化した世界の中でも、持ち得る矜恃なのだろうか。

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2012年09月30日

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実在の人物をもとにした作品。
彼は貧困がゆえに自分の家では
過ごすことができませんでした。

そこで他の家での居候となりましたが
ある選択肢を取ったがゆえに
いわれのない仕打ちを受け、ついぞ
その集団から追い出されてしまいます。

失意の彼は地元を出て、ある場所へと行きます。

確かにつらい描写はありますが
文章にそんなに重々しさはないので
あっという間に読めてしまうんですよね。

ちょっと型破りな、いわゆるかわいげのない男
だけれども、愛する女性の前では
弱いのよね。
なんかほほえましい。

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2019年09月26日

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「童心を去るとは、どうやら社会の縦横の関係のなかでの自分の位置を思いさだめ、分際をまもり、身を慎み、いわば分別くさくなれということらしいが、嘉兵衛のなかでの大人はそういうものではなく、自分の世界をつくりだす者といったことのようだ。」

淡路島の村で生まれた主人公。縄張り意識が強く、よそ者を強く排除する田舎の風習。それは今も変わらない。その中で、周囲から村八分にされ、ついには村を抜ける。兵庫で船乗りとして力をつけていく姿が力強い。

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2014年11月13日

Posted by ブクログ

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函館旅行で屋敷跡などを見てきた高田屋嘉兵衛さんの物語。
この巻では、淡路島の貧しい農家に生まれた嘉兵衛さんが村独特の閉鎖的システムになじめず、そのうえ他の組のお嬢さまと(結果的に)仲良くなってしまったことから過酷ないじめにあって、命からがら兵庫に出て行くまで。
とにかく我慢と忍耐と努力で、お嬢さまと世帯を持ち、自分の人生を切り開いていく嘉兵衛さんは芯の強い人です。

江戸幕府の弊害と、日本には「いじめ」というものが昔から当たり前のように定着していたという司馬さんの説明がわかりやすくて、とてもお勉強になりました。

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2012年12月18日

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