【感想・ネタバレ】百年法 上のレビュー

あらすじ

不老不死が実現した日本。しかし、法律により百年後に死ななければならない――西暦2048年。百年の生と引き替えに、不老処置を受けた人々の100年目の死の強制が目前に迫っていた。その時人々の選択は――!?

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Posted by ブクログ

ネタバレ

不老を手に入れた世界では人口増加を阻止するために100年で命を絶たなければならない法律「百年法」が制定されようとしている世界が舞台です。

  不老を手に入れた未来の日本が舞台ということで、正直設定についていけるか不安でした。しかし、読んでみるとものすごくスーッと内容が入ってきました。本当に現実の日本と不老を手にれているかいないかその違い程度しかありませんでした。

 本書は様々な登場人物に交互にフォーカスを当てて進行していきます。私がその様々な物語の中で特に好きなのは、百年法施行にむけて奮闘する官僚と百年法をよく思っていない大臣との水面下の闘いです。日本と日本国民のために激務を承知で日々奮闘する官僚が、百年法の担当になると、国民を殺めるために日々奮闘することになる。しかし、日本の将来のためにそれでも努力をする。その姿はまるでプロフェッショナルを見ているかのようなワクワク感とドキドキ感がありました。

 また、後半になると謎の巨大な組織が「永遠王国」というものを作り、国家から隠れて独自の国家を築きあげるという展開にもなりました。重要そうな人物はたくさん出てきましたが、その人物が何なのか、影のリーダーの正体は何なのか、日本は今後どうなってしまうのか。こういった様々な謎と期待を残して上巻は完結します。

 本書を読んでみてここまでの作品はなかなかないと思いました。物語としての面白さ。お仕事小説としての気分が高鳴る気持ち。管理された日本と裏で蠢く永遠王国のせめぎあい。どこをとっても最高の1冊でした。早く下巻も読んでみたいと思います。

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2022年10月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2013年(第9位)。
太平洋戦争で原爆6つ落とされた日本。日本共和国として、HAVI(不老化処置)を受けるよう指導される。ただし100年後に生存権、人権はなくなる(100年法)。戦後が今と違う世界が前提。
かつ登場人物多い。名前と相関関係を覚えるのが大変で、なかなか読み進めない。のは前半だけ(前半前かも)。気づけば、読み進めている。
100年法が施行される頃、国民投票がなされる。100年法反対か賛成か。賛成多数。愚民のそしりは当然である。
そして、遊佐が首相、牛島が大統領となり、独裁国家を作った。
100年法が施行される前、対象者は生きたいと思った。100年法がえんきになって、対象者は自殺した。
生と死が重厚に語られる。

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2024年09月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

おもしろい!

衰えない体を手に入れることができるけど、100年後には死ななければならない。

健康なまま長生きできて100年経ったら死ねるなんて最高じゃないか!!と思いながら読みはじめた。

ユニオンのシステムもよくできてるなと思ったけど、百年法凍結により新たな人が入れなくて社会が回らなくなり、
施行するとなったら拒否して逃亡する人がいたり、大統領の権限で免除になったり、
いろんな問題事のすべてが妙にリアルでいろいろ考えさせられた。

下巻が楽しみ。

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2024年09月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

設定や世界観がとても好きですらすら読めたが、腐ってからの政治が嫌いすぎて最後らへんは読むペースが遅くなってしまった。後半に期待

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2023年02月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

まず、設定に引き込まれる。現実感がないというレビューもあるが、自分は素直にSFだと思って読めるので大丈夫。

村田沙耶香「殺人出産」と同じく、作者が「老害政治家の保身」や「人間関係の希薄化」をSF設定に仮託してdisってる感じがすごく好きです。

大戦後、アメリカの不老技術が導入された日本というパラレルワールド設定。不老になったおかげで見た目が若者、でも中味は老若3世代分の人間が混交している日本。その弊害が日本を衰退させている。
・親も子も不老になるため、親は子が成人したら、ファミリーリセットして親子関係は霧消する
・百年目に安楽死を義務付ける「百年法」を実施しないと国の衰退は明らかなのに老齢政治家は拒もうとする
・庶民は3ヶ月ごとに指定された仕事を転々とすれば最低限の生活ができるシステムが存在するが、老齢層が減らないため若年層はそのシステムにすら参加できず困窮している。
・ID管理された大衆が感じているのは無間地獄的な虚無感

設定はかなり好きなのに、閉塞した日本が舞台なこともあって、登場人物にも閉塞感があるため、キャラに魅力を感じ難いのが難点。ストーリーの場面転換に応じて3人のメインキャラが変わるがわる描かれますが、3人ともに対して素直に共感&応援できないため、もっとデカい事件が起こらないかなぁと焦ったさを少し感じました。

とはいえ、1日で上巻一気読みなので面白い小説です。


※その点「蜂蜜と遠雷」は場面転換しても4キャラとも魅力的なのがやはり良かった。

※2015年の小説であり、携帯情報端末や液晶ディスプレイの未来型は描かれているけれど、空撮ドローンは予測できてないのが興味深い。

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2022年11月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

下巻まで読んでの感想
・設定とストーリー展開は楽しむことができた。続きが気になり一気に読むことができたし良い時間となった。
・SMOCの発生はストーリーとして唐突で必然性のないものという批判もあるがそうは思わなかった。地球または生命体の理に反した人類の不老不死に対する免疫反応だと感じられた。C1における集団自殺も同義で予兆として表現されていた。これらは筆者によるメッセージと捉えた。
・死にゆく男たち(センセイ、大統領、そして対照的に描写された戸毛)に寄り添う女性の描写には違和感を覚えた。

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2025年09月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

あれだけ前半エネルギッシュに奔走していた遊佐の凋落っぷりに軽く失望。生にしがみつくのは人の性でも、やはり自分の寿命を誰かに握られるのは屈辱を感じる。
身体は若いままだが精神が老化してるっていうチグハグさに終始ゾクッときたのは、人間らしく生きられなくなってしまうことへの恐怖感なのかもしれない。
願わくは笹原次官や蘭子さんのような心境で人生全うしたいもの。

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2022年09月04日

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