【感想・ネタバレ】城塞(下)のレビュー

あらすじ

外濠も内濠も埋められて裸城となった大坂城に対して、家康は最後の戦いをしかける。夏ノ陣を前にして、大坂方には、もはやいかなる勝機も残されてはいなかった。数十万の東軍を相手に、真田幸村、毛利勝永らは、家康の本営にまで斬り込む働きをするが、後続の部隊がなく、いずれも城を墳墓に討死してゆく。秀頼、淀殿は自尽し、巨城の炎上をフィナーレに戦国時代はその幕を閉じる。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

三巻構成の第三巻目。
家康の策略により、外堀、内堀を埋められた大坂城は裸城と成った。

淀殿と、取り巻きの女官、大野修理などの執行部が、
城塞と成るべき城の堀を自ら埋めてしまうという歴史に類を見ない失態を行った。
もはや勝機は残されていないなか、真田幸村、毛利勝永、後藤又兵衛らは、死を覚悟し、家康の首一つを狙って数十万の東軍に向かっていく。

家康の極悪振りは、もはや勝ったも同然の中、秀頼が先陣を切って戦場に現れるのを阻止するため、常高院(淀殿の妹)を通して「降伏をすれば、秀頼を助け、大和一国を与える」というウソを大坂方へ伝えた。
それを信じた淀殿は秀頼の戦場への出馬を抑えた。
これを聞いた幸村は「古今の悪人とは駿府翁のことかな」と息子の大助にもらしたとか。
大坂方の死を決した戦士たちの心をくじくということを遣ってのける家康は、まさに極悪人。

家康の首一つを求め、家康の本陣を責めた幸村、毛利の軍団は家康の本陣を蹴散らした。
しかし、圧倒的な人数の東軍は持ち直し、幸村、毛利勝永は戦死した。

本丸に居た、淀殿、秀頼は敗戦の報を聞いた。
やがて、東側に内通する者により、台所から火付けをされて大坂城は炎上した。
淀殿、秀頼と男女三十人ほどが、土蔵の中に身を隠した。
大野修理は千姫を助け逃した。これにより秀頼、淀殿の助命を画策した。
家康と秀忠は芝居を打って、助命とも死刑とも宣言することはなく、その場を去った。
やがて、蔵へ鉄砲と大砲が撃ち込まれ、悲嘆した淀殿、秀頼、付き人三十人は自刃し、大野修理が用意した火薬によって、糠蔵は全て灰となった。
後に家康は「秀頼も妙なところで果てたものよ」と言ったとか。

筆者が語る、この大坂夏の陣は、家康の極悪人振りを顕す、格好の題材であったようだ。

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2026年09月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大坂方への壮大な鎮魂詩と言って良いと思う。また、狂言回しを真田幸村でもなく徳川家康でもなく小幡勘兵衛に担わせ、落城時のその悲喜劇のような場面が良い締まりとなっている

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2022年12月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

勝者家康の知略というよりも汚いやり口、徳川安泰のためには手段を選ばない嘘や恐喝の数々がことごとく成功することで読者の家康評を決定づける本編。対して真田幸村をはじめとした豊臣方武将たちの清々しさ、絶望の中でも正々堂々と知略と武力をもって真っ向から立ち向かう様にどうしてもひいき目が生じてしまいます。淀殿や秀頼を代表する愚物に従いつつも後世の名声をのみ欲する勇ましさ。そして終盤の、家康が大阪方に追われ逃げ惑う痛快な展開。真田十勇士をはじめ様々な寓話が生まれるのも道理と思われます。
人の心を操る陰と陽の好例を歴史上の一大事件のなかで鮮やかに描かれており、共感し学ぶことができます。
本編の主人公あるいは読者目線といえば小幡勘兵衛、そしてヒロインはお夏となるであろうが、残念ながら結局は歴史の傍観者である勘兵衛と創作キャラであるが故に大した活躍もなく、中途半端に創作する必要があったのか?のお夏の存在に疑問です。

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2018年03月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大坂冬の陣後の休戦状態から、大坂夏の陣の終わりまで。
誰がどういう理由でその役に付くことになったのか、どうしてこうなるに至ったのかがなど広く細かく描かれている。
小さな点を積み重ねていき、大局が出来ていくのだなと実感できる。
その分というか全体的に盛り上げるべきところ、熱を入れて読みたくなるであろう所をあえて外して、淡々と簡素に進めてある。
特に大坂方の武将勢については家康に比べ描写がかなりあっさりしている。心情風景などに深入りすることがあまりない。最期の奮闘というのも薄味。
彼らの個人個人の想いや行動を読みたいと思っていると、肩透かしを食らうと思う。
その中でだが体感では後藤又兵衛が一番濃厚に描かれ、次点が真田幸村だったかと思う。
真田はどうも他に短編が出ているようなので、そちらで補完してくれということかもしれない。
あくまで全体的に同じ熱量で描写しているという体だと思う。
それがこの作品の作風にもなっていて、熱狂しているはずの最後の大戦をどこか冷えた感覚で読むことが出来る。物語を俯瞰しているという気にさせてくれるのだ。

秀頼の最期について、実際は毛利勝永が秀頼の介錯をしたのだが、今作では違う形になっていた。
それはそれで寂しい雰囲気が漂っていて悪くないのだが、そこの描写に期待していたので個人的には残念。
有名所はこの後どうなったという点に触れられているのだが、最後の見せ所を失った毛利はその説明もなく。少々不憫…。

作中で「古今にない」とか「史上類を見ない」というような表現が頻出するのだが、本当にそうなのか?誇大では…と疑問が。真偽のほどは分からない。

上巻で大物風を吹かせて主役格の動きをした小幡勘兵衛は、当然後藤や真田のような活躍を見せることも無く、名を馳せることも無く、すっかり小さな男になってしまった。
作中で半生を無駄にしたというようなことが書かれていたが、本当にそうだなと。そしてこの程度の事を考え、実行した有象無象が多くいた時代なんだろうなとも。
身の丈に合わない自信や成り上がりをこの時代に夢見た男の代表として、彼は描かれたんだろうと思う。
この点現代にも通じる部分があるように思えて、少し考えさせられる。

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2018年05月25日

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