あらすじ
警察職員二十六万人、それぞれに持ち場がある。刑事など一握り。大半は光の当たらない縁の下の仕事。神の手は持っていない。それでも誇りは持っている。一人ひとりが日々矜持をもって職務を果たさねば、こんなにも巨大な組織が回っていくはずがない。D県警は最大の危機に瀕する。警察小説の真髄が、人生の本質が、ここにある。
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Posted by ブクログ
何度も読み返している一冊。久しぶりに読みたくなったので再読。
昭和最後の年に発生した誘拐事件、ロクヨンの長官視察に端を発する警察組織内の攻防。
記者クラブとの駆け引き。
失踪した娘、あゆみの行方。
自らを取り巻く様々な問題に翻弄されつつも、正面から向き合っていく三上の姿が印象的。
特に刑事部対警務部の警察内部の派閥争いの描写が細かく、引き込まれます。警察小説好きにはたまらん。
ストーリーは時に滞留しながら、でもそのもどかしさもまた三上の焦燥感を共にしているように感じられる。
上巻では、ロクヨンの鍵となる幸田メモに迫る。
隠されたその内容に三上がたどり着いたとき、そこにもあまりにたくさんの人生が絡んでいて思わず息をついてしまった。
Posted by ブクログ
一人娘が失踪中であるD県警広報官の三上のもとに、ある事件の被害者遺族を警察庁長官が訪問するという話が舞い込む。その事件は14年前に発生した幼女誘拐殺人事件で、未だ未解決となっている通称「ロクヨン」であった。遺族のもとに段取りをつけに行ったところ拒絶されたことに疑問を持った三上は、ロクヨンについて書かれた極秘の「幸田メモ」というものが鍵を握っていると考え、調査を開始する。やっとの思いで幸田メモの正体に辿り着いた三上は、それが日本の警察組織自体を揺るがしかねない、隠蔽事件の告発であることを知るーーー。
淡々とした文章の中にも三上の心情がうまく織り交ぜられ、警察組織内の緊張感や重厚感が伝わってきた。幸田メモについて明らかになったので、ここから三上がどうしていくのか、ロクヨンの真相は明らかになるのか、そして娘の失踪とはどう絡んでいくのか、後編を楽しみにしたい。
Posted by ブクログ
横山秀夫作品は外れが少ないので、楽しみにと長らく積読扱いだったもの。
本作は犯人探し主体のミステリーではなく(上巻を読む限り)、警察組織内部の権力争いを軸に、関係する記者クラブや遺族、自身の家族問題など組織と個人の相克をあぶり出したヒューマンミステリー、というよりむしろ純文学ミステリーに近い。
県警広報官の三上が、家族を守るための警察組織内での生き残りと警官として残されたなけなしの正義を貫こうとする苦悩との板挟みになりながら、物語(上巻)は進んでゆく。
特に、32章は鳥肌もの。筆者の破綻のない展開、圧倒的な筆力と構想力が堪能できる。感情移入できる登場人物たちのリアリティこそが本作を純文学ミステリーへと強めた所以なのかも。
さてこれから下巻で、どんな結末(収束)を迎えるのかを楽しみにしたい。