あらすじ
屍者化の技術が全世界に拡散した19世紀末、英国秘密諜報員ジョン・H・ワトソンの冒険がいま始まる。天才・伊藤計劃の未完の絶筆を盟友・円城塔が完成させた超話題作。日本SF大賞特別賞、星雲賞受賞。
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Posted by ブクログ
「作家刑事毒島」に作者の名前が出て来たので。
といっても、あとがきによると、
「原稿用紙にして三十枚ほどの試し書きと、
A4用紙一枚ほどの企画用プロット、集めはじめた資料」が残され、
伊藤計劃は亡くなり、円城塔が書いたものということだった。
個人的には違和感はなかった。
「歴史改変もの」と言うらしい。
実際の歴史のどこかを変えて展開するストーリー。
その「どこか」は、
フランケンシュタインが作り出した技術が一般化されたということ。
死者を労働力として利用している世界、明治が始まったばかり。
それゆえ、少年や女性は炭鉱の労働から解放され、
戦争は銃を意味をなさず、肉弾戦が有効とされ、
日本刀が最高の武装とされる世界。
パラレルワールドと言った方がしっくりくるかな。
実際の世界とのねじりが起こすめまいに翻弄されたまま、話は進む。
哲学的な内容はついていけなかったが、
大英帝国の大尉、筋肉製の大男が暴れまわるのが楽しかった。
そうそう、自分もフランケンシュタインが
死者から生まれた怪物の名前だと思っていた。
その創造物は生まれた時から青年の姿だった、と書かれているが、
生まれた時から大人とはどんな気持ちなのだろう。