あらすじ
ついに工事が始まった。大石を沈めては堰を作り、水路を切りひらいてゆく。百姓たちは汗水を拭う暇もなく働いた。「水が来たぞ」。苦難の果てに叫び声は上がった。子々孫々にまで筑後川の恵みがもたらされた瞬間だ。そして、この大事業は、領民の幸せをひたすらに願った老武士の、命を懸けたある行為なくしては、決して成されなかった。故郷の大地に捧げられた、熱涙溢れる歴史長篇。
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Posted by ブクログ
福岡県現うきは市の5庄屋が筑後川大石堰の工事に尽力した実話に基づく話(九州農政局HPにも紹介されている)。当時の農村の様子が丁寧に描かれている。読み終わったときの爽快感がいい。
Posted by ブクログ
筑後川の堰渠工事を舞台に、当時の百姓の生活、庄屋の苦悩、士農工商という身分の中でも生きる人の優しさ、思慮深さが描かれた素晴らしい名作だと思う。
百姓の苦しさを救うがために、堰渠工事に尽くした庄屋のために、最後の藩の奉公として命を投げるという展開には思わずえっと声が出てしまうぐらい驚愕した。そして、堰渠工事の完成。五庄屋だけでなく、菊竹にも完成を見てほしかったと思わざるを得ない。
外国に行くたびに(特にスペインとか)、水があふれる日本とはなんて恵まれた国なんだろうと思っていたけど、それは水のために命をかける人がいたからこそ。
本当に良作でした。