あらすじ
サステナブル、CSR、シェアード・バリュー……20世紀型資本主義のほころびが目立ち始めた昨今、地球、そして世界とどのように共生していくかを真剣に考える時が来ている。自然を傷めない、新興国から搾取しない、誇りの持てる仕事をする。パタゴニア創業者が企業、そしてビジネスのこれからのありかたを説く。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
責任のある企業とは。
企業のあるべき姿を提示している本ですが、企業が向き合う「工場」や「顧客」にも協力を呼びかけています。
確かに企業単体で動いても意味はなく、企業を通して全体で動くような仕組みがあれば、この大量消費社会に少しでも抵抗出来るんじゃないかと感じました。
そのための行動を示しており、なるべく多くの人に読んで欲しい内容と思いました。
特に『自然』を「資源」と呼んでしまっている指摘にはハッとしました。
この本が発売されて既に12年経っていますが色褪せる事なく、まさに今必要な内容だと切に思います。
巻末のチェックリストも企業向けにありますが、家単位で出来ることもあるため、協力していきたいと感じました。
Posted by ブクログ
訳読本は、理解するのにやっぱり疲れるときがある。
でも、この本はパタゴニアの本質部分しか書かれていない。こんなにも消費者に正直に、自然を真っ直ぐに愛する会社が他にあるだろうか?
この彼らの精神を私たちは見習うべきだろう。大きなビジョンを持ちながらも、社会に人に正直に生きる。これは、会社のあり方でもあるが人間としてのあり方でもあるはずだ。
常に愚直にあることを誇りにしたいものだ。大人の本音と建前に引きずられて言い訳がない。
Posted by ブクログ
資源が乏しくなりつつあるにもかかわらず、世界人口は増加し、都市に住む人が増え、消費は拡大している。これでは、遠からぬ将来、いまのような消費社会は崩壊するだろう。我々はいま、大量消費の新しい社会―ポスト消費社会―へと移行しつつさり、時間や公的空間、バランスといったものについて人間が持っていた感覚を取りもどさなければならない状況にある。
ポスト消費社会になると、社会コストと環境コストが製品価格に反映され、物の値段は全体に高くなるはずで、楽しみとしての買い物は減るだろう。これは悪いことではない。時間的にはいまよりも余裕が生まれ、友だちや家族と過ごす時間を増やしたり、有意義な仕事をする時間を増やしたりと、心の底から満足できることに時間が使えるようになるからだ。
(「レスポンシブル・カンパニー」より)
この本でイヴォン・シュイナードはポスト消費社会での企業のあるべき姿を提言している、それはパタゴニアが40年間すでに実践してきたことであり、人間としての責任を全うすると同義語のような気がする。そんな企業の日本本社が鎌倉にあるのは誇らしいし、鎌倉にはそういう可能性があるんだと、考えればワクワクしてきます。
消費を楽しむ時代が終わり、モノを大切にして、大切な人と大切な時間や機会を味わい深く過ごすことに価値が見出される時代。あれ?これって昔、日本にあった考え方ではない?そういう意味で日本は見直されると思います、原点回帰か・・・色々なことを振り返ってみたい。酒飲んで大騒ぎしている場合でないなこりゃ(笑)
Posted by ブクログ
パタゴニアの創業者であり現在もCEOをつとめているイヴォン・シュイナードの共著。社会や環境に対する責任を果たすことが結果としてビジネスにもメリットをもたらすという、一見背反する事柄をどう実現するかについての具体的な手法が解説されている。巻末のチェックリストは環境保護に関心ある団体には役に立つ資料になりそう。
「一歩進むことが、次の一歩を可能にする」「人間とネズミの遺伝子は1%しか違わない。パタゴニアと他の企業も、ほとんど違わないはずだ」「製品が環境に与える負荷の90%はデザイン段階で決まる」「責任ある会社の利害関係者とは、株主、社員、顧客、そして地域社会と自然である」「仕事に意義が生まれるのは、したいと思うことをするからであり、その仕事が正しいことであるからだ。世界に報いることができる」「製品を作っている人々が安全な環境で適正な報酬をもらっているかについて関心を持つ消費者が増えている。」
Posted by ブクログ
時代は大量消費社会からポスト消費社会へ。地球は史上6番目に迎える絶滅の危機、企業は地球と向き合い責任ある活動が求められる。これに気づく進む企業は、自然に与える負荷を考慮して経営を考えるべきと説いている。
Posted by ブクログ
アウトドアブランドとして独自のポジションを確立している、パタゴニア。
その経営方針や社内運営がユニークであることを漏れ聞いていたので、興味を持っていました。
最近、そのパタゴニアの創業者による著書が話題になっていたので、読んでみることにしました。
テーマは「企業の責任」。
まず、人間が経済活動を続けていくことの限界、自然界の生物が置かれている危機的状況を説明しています。
その上で、「責任ある企業」の利害関係者として、株主、社員、顧客に加え、地域社会、自然を挙げています。
そして企業として、企業の一員として取り組むべき「有意義な仕事」とは何かを、パタゴニアの具体事例を挙げて考察し、利害関係者に対する経営責任とはどのようなことか、と展開していきます。
最後には、これら一連の企業活動を行っていく上での、「透明性」の大切さを強調した上で、終章で総括する、という構成になっています。
前半の、経済活動の限界については、企業で働いていても生活をしていても感じていることだったので、頭の中を整理してもらえたように感じました。
そして多くの企業が、「出来ることならやりたいが、今はそこまで出来ない」と足踏みしている取り組みについて、「限界がある」と認識した上で真摯に取り組んでいる、パタゴニアという企業の姿勢には、学ぶべきことがたくさんあるなと、感じました。
巻末には、責任ある企業として取り組むべき項目のチェックリストもついており、自分が属する企業の、現状レベルを確認することもできるようになっています。
本編は200ページほどで気軽さを感じる装丁ですが、21世紀を生き抜こうという企業については、参考になることがぎっしりつまった、一冊だなと感じました。
Posted by ブクログ
前作を読んでしみじみいいなあと思っていたら、尊敬する人から新作もいいわよ、と言われて早速買ったのがこれ。
人は正しいことをすると、もっと正しいことをしようとする。
この一文に、パタゴニアの企業スピリットが凝縮されているような気がします。だから、成長しながら正しいことを推進し続けてこられたんじゃないかと。
自然資本の経済を読んだときも感動して涙が出たけれど、この本でも、ほらこんな風にできる会社があるじゃないか、と嬉しくて泣けました。
で、レスペクトの気持ちを込めて、パタゴニアのバッグをひとつ買ったのでした。
Posted by ブクログ
事業(株主・取引先)、社員、顧客、地域社会、自然という5つの側面に対する責任ある企業活動がどのようなもので、どのように前進していくかが示されている。
商品の品質、機能性と価格だけでなく、製造過程や流通過程でどれだけ自然や人に影響を及ぼしているのかという価値基準の重要性に気づく。
ただし、生物としての活動そのものが環境に何らかの影響を与えることは明白だが、生活するうえで影響はゼロにできるはずもなく、では、極力少なくするべきかと問われると、著者のように明確には答えられない自分がいる。
実際のところ、品質よりも低価格やファッション性に重きが置かれるような生活や好みも否定できない。パタゴニアの製品が信頼できるからといって長距離の運送が伴えば環境への影響度は増してしまう。
売り場の製品タグで環境への影響度の情報が提供されるようになるのが望ましいのだろうが、それでも、そうした情報だけの物差しで判断しきれない難しさは残る。
多様な価値観がある社会にあって、著者の責任ある企業への姿勢の真っ直ぐさに敬意を感じると同時に、自分自身も責任ある生活者であろうと思う。
13-50
Posted by ブクログ
【ひとつの戦略】
パタゴニアの宣伝でもありますが、これからの企業を見ることができます。
あくまで、ひとつの戦略ですが、このような方法もありだと思います。
環境負荷と企業利益は、いっけんトレードオフの関係に思います。
環境に対して負荷の少ないものを生産すれば、利益は少なくなると感じます。
しかし、この本を読むとよくわかるのですが、「地球にいいことをしている」と「会社に利益をもたらしている」では、前者の方が社員のモチベーションが高くなります。
さらに、ブランドイメージが良くなり結果的に高利益企業になっていきます。
メーカにとっては、いかに安くていいものをつくることが目標になっていますが、高くていいものをつくれるブランディングを考えるところに来ているかもしれません。(←真剣に!)
Posted by ブクログ
環境や社会に対する取組みを重視しているパタゴニアが企業として取り組んできたことをまとめた本ですが、多くの気付きを得ることができます。製造されたものは価格以上の代償(自然など)をどこかで支払っているし、例えば美味しいコーヒー豆は違法な労働環境によって作られてるのかもしれない。いち消費者として考えたことなかったけど、製品の背景、ストーリーをもっと知り、自分が好きになれる企業から買いたいと思った。また生産者としても、電気や水、環境に着目し、事業を考えていくことへの意識が出て非常によかった。
Posted by ブクログ
政府の視点も変わりつつある。国際連合では、各国政府の決算として「トリプルボトムライン」を原則にすべきだとしている。これは、利益(profit)、人(people)、地球(planet)という三つの面において最終損益を考えるもので、三Pとも呼ばれる。
科学系ジャーナリスト、ダニエル・ゴールマンが書いた『エコを選ぶ力―――賢い消費者と透明な社会』(早川書房)では、環境破壊を減らせるシンプルながらとても包括的なルールが三つ、提案されている――「自分の環境負荷を知る、改善を心がける、得た知識を共有する」だ。これは、大企業から零細企業まで、これから活動を始めるところも続けていくところも、すべてが利用できるルールである。
我々としては、自分たちがなにをしているのか、あるいは、なにをしていないのか、 それがはっきりとわかるものにしたいと考えた。CSRの美辞麗句に感覚が狂った人々だけでなく、顧客にも訴えかけるものにしたいと考えた。その結果生まれたのがフットプリント・クロニクルだ。若干の双方向性があるウェブサイトで、リリースした最初のシーズンには、五種類のパタゴニア製品について、そのデザインから繊維(原産地まで)、 製織・製編、染色、縫製、リノ倉庫への輸送にいたるまで、地理的に追跡。同時に、この五種類について、二酸化炭素排出量、エネルギー消費量、廃棄物量、原産地から倉庫までの輸送距離なども算出した。この情報は、フットプリント・クロニクルのウェブサイトだけでなく、製品の販売ページにも掲載した。
同時に我々は、仕事をしているあいだ、「生産者」という側面も持つ。これは、対外的に最も積極的な役割だと言える。私生活や投票に比べ、仕事は自分の好きにできない部分が多いが、一番大きな違いを生みだせるのは生産者という立場だからだ。製品が環境に与える負荷の九○%はデザイン段階で決まる。家庭のゴミがよく問題になるが、廃棄物の三分の二は産業活動が生みだす。だから、休日の朝、燃費の悪いハマーを下取りにプリウスを買いに行くより、仕事でなにをするかのほうが大きな違いとなる。毎日、 仕事でなにをするのかが問題なのだ。
全社の環境問題意識を高める三ステップ
環境意識の改革は、以下のように段階を追って進める。
最初はなるべく幅広い人材を集めてチームとし、自社の行いで最悪なのはどれなのか、 なにが評判や利益の面で最も足を引っぱっているのか、また、最も簡単に修正できるのはどれなのかを調べあげる。会社によって価値観も違えば特性も違うし、会社の文化がイノベーション重視か安全重視かも異なるので、ある会社にとって簡単な修正が他社にとっては複雑で難しいといったこともありうる。
まず、わかっているつもりのことに着目し、丹念に調べる。なにを聞いたとき、あるいはどういう結末を目にしたとき、つい気になってしまうのか。自社がなにかできると感じるのはどういうことか 自社ならうまくできるのはどういうことか。このような問いについて、チームメンバーにも考えてもらう。
第二段階では、関係者を集めて改善の優先順位を検討し、リストからやるべきことを選び出す。最初にすべきことを選び、そこにどれだけの時間とお金をかけるのかを決める。投入する人数も決めなければならない。どういう成果があがったら成功と考えるのかも決めておく。ここまでを一ページにまとめ、チーム全員で共有する。改善すべき点を見つけ、どういう部分なら自社の強みが活かせるのか、リスクが低いのか、コストが大きく削減できるのか、あるいはまた大きなチャンスを生みだせるのかが確認できたら、 あとは実行するだけだ。
いろいろと新しいことを学ぶはずだが、そうして学んだことは、組織内でなるべく多くの人と共有する。忙しくて、お互いそのようなことをしている時間などないと思うかもしれないが、必ずやるべきだ。そのうえで、学んだ内容を利害関係者と共有する。サプライヤーや所属する業界団体、主な顧客などだ。他社と協力してなにごとかをなしとげたいと思ったとき、声をかける主な競合他社とも情報を共有すべきである。培ってきた信頼関係を活用して輪を広げる。その際、信頼できると思ってもらえれば、自分の失敗についても正直に語っていれば、信頼関係をさらに広く、深くすることができるだろう。こうして、雪だるま式に支援の輪を広げていく。
信頼関係が十分に深まり、多くの知識を得て、組織内や利害関係者との間に十分な自信と誇りが行きわたったら、最後に、こう自問する――いま、自社にわかっているこを使えば、以前には無理だと思われていたことに挑戦できるのではないか、と。
あとは、プロセスの最初に戻って同じことをくり返す。そうしていると、驚くような変化が生まれるはずだ。
会社全体がいろいろと考えて動くようになるし、事業の質を高め、社会や環境に対してよい影響を与える事業にしようと心がける人が増える。そうしたいと思えば、社員一人ひとりが事業の基本にしっかりと注意を払う必要があるし、こうして社員全員がよく考えるようになれば、柔軟で無駄の少ない組織になることができる。それまで見えなかった無駄遣いに気づけるようにもなるし、企業社会には昔から臭いものにフタという傾向があるが、そういう会社では対応できないチャンスを見つけ、追求できる自信も得られる。成功すれば、人はやる気になる。方向性が違う人々も含めて。
Posted by ブクログ
環境問題ではおなじみの企業パタゴニアが、40年かけて学んだ企業の責任とはいかなるものか。また、それはどのような試行錯誤の末、形作られてきたのかを、創業者であるイヴォン・シュイナードが、甥のヴィンセント・スタンリーとの共著でまとめたもの。
今日では当たり前と思えることを他社に先駆けて実践してきたのはなぜか。また、社会や環境に対する責任を全うしようと一歩を踏み出すと、どのようにして次の一歩につながっていくかなどを紹介している。
巻末付録として、企業が社会や環境に対する責任を果たすためのチェックリストが、24ページにわたって掲載されている。
Posted by ブクログ
前著の「社員をサーフィンに行かせよう」から、
パタゴニアの理念と環境に対する取り組みをピックアップし、
それにもう少し汎用性をプラスアルファした感じの内容。
もちろん本書で改めて述べられている部分もあるが、
前著を持っているなら買うよりも借りる方が良いかなと。
(巻末のチェックリストもWebで公開されているしなぁ)
パタゴニアそのものにも興味が沸いたら、
前著の方も是非お薦め。
Posted by ブクログ
読中、レイチェルカーソンの『沈黙の春』を思い出した。
自社の活動のみならず、素材や調達元の環境や労働環境に至るまで思いを張り巡らせ、企業責任を果たそうとするパタゴニアは、CSRの理想形のひとつかもしれない。特にコットンをオーガニックコットンへ切り替える決断は、崇高な理念があってこそ可能だったであろう。
他方で、本書でも触れている資金助成先として、あのシーシェパードがある。ある人の正義は、ときにある人を傷付け、理想の極型は解消困難な暴力を生み出しているのかももしれない。
本書で語られる思想が素晴らしいだけに、実情との違和感を感じざるをえない。
Posted by ブクログ
pagagonia社が、「ある企業が環境改善にどんなに頑張ってもそこには限界があり、サスティナブルという言葉が色あせてしまうほど、残念ながら世界は深刻なダメージを受けすぎてしまった。」ことを認めています。
ウォールマート等のグローバル化を押し進めた巨大企業が、patagonia社に相談を持ちかけ「環境意識」を自らの社風に取り入れたことで、新たな付加価値を創出する、これこそが巨大企業が今後生存していくべき道であり、一つではなく「全体」で持ちかけなければ、環境問題のような事柄は変化していかない・・・ということが書かれています。
豊かさが飽和した社会で生き残るための「心構え」のようなものが、うっすらと語られていますが、明確ではない。新たな「付加価値」をどう見いだすか、社会全体が悶絶している課題かもしれません。