【感想・ネタバレ】女の一生のレビュー

あらすじ

修道院で教育を受けた清純な貴族の娘ジャンヌは、幸福と希望に胸を踊らせて結婚生活に入る。しかし彼女の一生は、夫の獣性に踏みにじられ、裏切られ、さらに最愛の息子にまで裏切られる悲惨な苦闘の道のりであった。希望と絶望が交錯し、夢が一つずつ破れてゆく女の一生を描き、暗い孤独感と悲観主義の人生観がにじみ出ているフランス・リアリズム文学の傑作である。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 今となっては個々人が独立して自由に生きている印象が強いフランスにも、女性が自分の意志では何も決められない時代があったんだなあと、最初から最後までなかなかの衝撃を受けながら読んだ。一回では物足りなかったので読み終わってすぐ二周目に突入。さすがフランス人、事あるごとに接吻するなあと思って「接吻」というワードを最初から全部数えてみたら77回だった。言うほど多くなかったジャンヌ。
 思春期のほとんどを学校にも行かず家と修道院で過ごし、修道院を出た直後にほとんど何も知らない相手と結婚。最初感じた熱烈な恋に落ちたような感覚は所詮幻想で、度重なる夫の不貞で結婚生活は早々に破綻。一人息子は家族総出で甘やかしすぎたせいで立派なろくでなしに成長。男性や年長者や司祭に言われる「こうすべき」に忠実に従ってきたジャンヌは、大人になっても、自分が何をしたいのか、自分にとっての幸せとはなんであるかがわからない。考える能力もない。唯一自分を必要としてくれた幼い我が子に執着の照準を合わせて付き纏い、その子が成長と共に離れていくと、加速する老いの中でただただ孤独と絶望を深めていく。天真爛漫で快活だった少女がそうして落ちぶれていく過程は、読んでいて辛いけれど、なんら想像に難くはない。母親が隠し遺していた古い手紙を読んだ彼女が家族の過去を知って震撼するシーンがあるけれど、当時は彼女のみならず周囲の女性たちもみな同じような状況だったから、それ以外の生き方があるという可能性に思い至ることすらなかっただろう。
 物語の終盤はジャンヌの情緒不安定さがなかなかのホラーだった。自然の美しさに歓喜したと思えば分かち合う相手がいないと打ちひしがれ、かつての友と昔を懐かしんでいたと思えば過ぎ去った日々への寂しさと悲しさで咽び泣きながら深夜に家中を彷徨い歩く。わたしはこうならないように生きたいなあと読みながらずっと思っていた。
 

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2022年10月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初のあたりは、主人公ジャーヌの少女的な表現の連発にちょっと読むのが大変でしたが、
そこを越えるとわかりやすい描写でするすると読むことができました。

全体の3/4くらいまでは、主人公ジャーヌに対して気の毒に思いながらも、
「全てに対して受身だから、どんどん悲惨な状況になっていってしまっている。幸い資産家の娘なのだし、あまりにも最悪なジュリアンには見切りをつけて、次の幸せを探すべきでは?」と、行動を起こさないジャーヌに対しての怒りもありました。

でもよく考えてみると、この時代、離婚などは有り得ないことで、
そもそもそれを考えのひとつに入れられるようには教育されていなかったのだろうと気づき、深く考えさせられました。
誰もが自分で考え、努力すれば道を切り開くことができる世界になれば良いと、心から思いました。

結末に関して言えば、孫と一緒に生活できるようになり、本当に良かったです…。

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2012年08月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何か問題に出会ったとき、泣いたり悲しんだり、頼ったりするのではなく、ちゃんと逃げずに問題に立ち向かわなければダメだ。そうじゃなきゃ、惨めな事態に陥っても、何も解決しっこないのだ。ジャンヌは、夢みがちで、感情の振り幅が広く、純粋な女性だ。母性愛を深く持っていて、美点はある。ジュリアンとくっついてしまって、あいつがどーしょもないのは不運としか言いようがない。でも、子供の育て方はどうにも良くない。スポイルしている。台無しにしてしまっている。一方、ロザリは、最低な主に手込めにされ、妊娠し、あげく追い出されたにも関わらず、人情深く、優しく、賢く、器がでかい。ジャンヌが、屋敷の家具を売ったお金3600フランを息子にそっくり送ろうとしたのを見破り、咎め、でも600フランは送ることを許す場面は、とても大きくて暖かい人間性がわかるような気がする。最後も、法的なあれこれを全て片付けて、孫を抱いて戻ってきてくれる。ロザリのような女性にはなれないけど、友達になりたい。最後の終わりかたは、少し暖かくて、赤ちゃんの温もりを感じれるところがいい。モーパッサンすごい。

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2018年01月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

生まれて初めて読んだセックスシーン。今読んでもドキドキしちゃう。全然色っぽくはないんだけど、リアリズムにあふれてる。
もう一つ好きなシーンはダンナが殺されちゃうところ。

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2013年10月25日

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