あらすじ
どんでん返し×16。「騙される快感」に浸れる傑作短篇集!
名探偵リンカーン・ライムに持ち込まれたプロの殺し屋による殺人。だが、現場には犯人の痕跡が何もない――。「犯人は現場に必ず微細な証拠を残す」という原理を裏切る難事件を描く「ロカールの原理」をはじめ、多彩などんでん返しで貴方を驚愕させる16の物語。現代最高のミステリ作家の技をとくとご堪能あれ。2013年週刊文春ミステリーベスト10第5位、このミステリーがすごい!第5位。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
ロカールの交換原理
一部ご紹介します。
・動機は犯罪捜査を支える最も弱い部分。
とはいえ、動機が明らかになれば、それが指針となって、有罪を立証できるしっかりした証拠にたどりつける場合もある。
・目撃証人の証言は本当に信頼できるのか。
どんなに正直な証人であっても、勘違いはする。
何かを見逃したりもする。見たものの解釈を誤りもする。
・ロカールの交換原理:犯人と犯行現場、または犯人と被害者の間で必ず塵のような微細証拠が好感される。
どれほどはなかいものであれ、そのつながりを証明できれば、犯人は見つかり、犯罪は解決して、
これから起きるかもしれない悲劇を防ぐことができるかもしれない。
しかし、その結びつきを確立する前提として、捜査官が微細証拠を発見し、同定し、
その意味するものを正しく解釈する必要がある。
Posted by ブクログ
More twistedの名の通り、捻りの効いたディーヴァー節の短編集。いずれも絶品。
最近読んだ翻訳推理小説で、ストーリーはいいのに過剰な描写で後味の悪さが残ることが続いたのですが、ディーヴァーの小説にはそれがない。
あとがき「恐怖について」を読んで納得した。以下引用(663〜664頁)
「…サスペンス作家としての私の仕事は、読者を恐怖に震え上がらせながらも、嫌悪や不快感を抱かせないようにすることという事実を消して忘れないことだ。度を越した血みどろの描写や、子供や動物に対する暴力があると、読者をいやな気持ちにさせてしまう。サスペンス小説の恐怖がかきたてる感情は、カタルシスや爽快感でなければならない。読者に手に汗握らせ、夜に部屋の明かりを消すのをためらわせる。それは大いにやって欲しい。しかし終点では、読者が無傷でジェットコースターから降りられるようにすることが肝心だ。」
Posted by ブクログ
このミス海外編2014年版3位。ジェフリー・ディーバー2冊目の短編集。この人の本読みまくってて最近飽きてきてたんだけど、これは良かった。長編だとやたら描写が細かかったり、何回も事件のメモを板書したのが出てきて冗長だったり、やたら長くてしんどいんだけど、短編だとさすがに表現が簡潔で、珍しく短編の方が良い作家なのではと思います。全体設計にこだわらず豊富なアイデアを次々披露してもらえてお得感あります。話いっぱいあって、結局あんまりクリアに記憶には残ってないけど、読んでるときは適度にどんでん返しが楽しめた。
Posted by ブクログ
リンカーン・ライムシリーズ長編は全部読んだが、短編は今回が初めて。
読んでみるとやっぱり長編のほうがいいな。でも短編は短編で、先入観と期待をもって読み、それは裏切られなかったのでよし。ディーヴァーの作品なんだから面白いはずだといういい意味での先入観と、必ずあるに違いない定番のどんでん返しへの期待。
ライム&アメリアコンビが出てくる「ロカールの原理」が一番気に入った。
まあライムの完璧な根回しが行き届いた展開がちょっと都合よすぎるかなと思わないでもなかったけど、そこは長編でも同じかw
犯人と思われていた人物が長編でも登場してたかどうか覚えてないんだが、未登場だったら今後の長編にも出てきてほしい! まだライム周辺にはいないタイプのキャラクターなので是非!
既存のレビューでも好評の「生まれついての悪人」。これもいい。
確かにどんでん返しだけど、複雑なトリックではなく視点・立ち位置の違いをうまく利用したミスリード。冒頭から終幕まで静かに淡々と進むストーリー。少し物悲しい読後感とアメリアを連想させるヒロインはこの先もずっと記憶に残りそう。
「コピーキャット」もよかった。逆に「えええええ(;´Д`)」という読後感を味わったのが「ウェストファーレンの指輪」。
現代物ではなく舞台が19世紀ロンドン……とくれば、あの人のファンには喜ばれそうな設定だけど、熱狂的なファンにはむしろ勧められないオチですねw