【感想・ネタバレ】吼えろ道真 大宰府の詩のレビュー

あらすじ

菅原道真が、大宰府に流されて五カ月。京からの左遷に怒り泣き喚いていた道真も、身分をやつして博多津に出かけ、唐物の目利きをする愉しみを覚えた。そんなある日、京から唐物使の役人が来た。昨年朝廷に献上された品に不審な点があったため内偵中という。調べの間、道真は館に閉じ込めとなり……。大宰府を欺いた悪党を炙りだすため、大学者の才を惜しみなく発揮する左遷男の活躍を描いたユーモラスな歴史小説。『泣くな道真』に続くシリーズ第2作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

菅原道真の人間らしい良いところも悪いところも含めて、やっぱり人間だものという感じで面白い。今回の帝への御物のすり替えの捜査に道真の目利きとしての能力が遺憾なく発揮されミステリーとしての面白さもあって楽しめる。
前作は小野小町、今作では小野道風と有名どころが登場するのも気が利いている。

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2023年02月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

道真の太宰府ライフに危機?

京から役人が来る。流人の道真が唐物商に出入りして目利きをしている暮らしがバレては一大事と頭を抱える小野葛根。京から来る役人は宮廷に献上された品が贋物だったことを調べに来る。もしかすると義父・小野葛絃が危ないかもしれない。世話になった伯父のためになんとかこのピンチを切り抜けたい葛根は——。

よく働くのは誰のためだろう。孤児を雇い育てていた善珠、ケチと名高い唐物商の老婆・幡多児、「うたたね殿」龍野保積、人のよい外見に鋭さを隠す小野葛絃、京から調査に来た藤原俊蔭、太宰府の衛士・三百樹、そして菅原道真、小野葛根。それぞれが自分の守りたいもののためにそれぞれの働き方で働いている。家族のため、子どものため、かつての自分のため、天皇のため、太宰府のため。

しかし道真は看破する。人は誰しも自分のために励むのだと。誰かに窮地を救われたとしても、その厳しい境遇を生き抜くのは自分の力に頼んでのことなのだと。書で身を立てたいと願う阿紀の無邪気さに葛根は苛立つが、道真はどのような境遇にあっても奪われない知識や技能の大切さ、そしてその力が自分を誇り高く強く生きさせることを示した。

史実によれば道真の太宰府生活は長くない。京に残した妻に向けて漢詩を作った道真。その真意はこの物語ではひとつのプライドとして描かれる。この道真がどのような最期を迎えるのか、物語の終焉を見届けたい。

阿紀の正体(将来?)に気付いたとき、思わず声が出た。

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2022年11月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 今回はうたた寝殿こと、龍野保積の出番があまりなくて残念(´・ω・`)ショボーン

 その代わりに活躍するのが小野小町の兄である小野葛根。大宰府長官である小野葛絃の甥で彼の補佐をしている人物。

 改元の詔に怒り心頭のあまり、それを破り捨てた道真に伯父に迷惑が掛かると思い、唐物の目利きを楽しむ彼を内心ではよく思っていないところが何とも若造という感じの人物。
 そんな詔騒動の最中に帝に献上していた唐物が品が献上するに値するものではないと、都から唐物使の一行がやってくると聞いて、葛根は道真が唐物の目利きをしていることを何とかごまかそうと、彼を屋敷に閉じ込めてしまうのですが~。

 今回も楽しませていただきました。この巻では小野葛絃の息子も出てくるのですが、彼がのちの小野道風で、のちに和様書道の基礎を築いた人物として知られていますが、この時はまだ子供。書で身を立てたいと無邪気にいう甥っこにそんなことでどーする! と怒る葛根がとても大人げない人物です。

 その彼が唐物を扱う店の人物たち相手に空回りしてしまうところが、若いわぁ(笑)

 今回は道真よりも彼の物語かもしれないなぁと思いながら読んでました。

 ですが、大宰府に流された、流されたと言いますが、ここでは貿易や外交の最前線であったわけで、道真はそれなりに満足して仕事していたのかもしれないと思ったりもしました。

 優秀な役人出会った彼ですし、言葉も堪能、書も一流、目利きもできる。こんなに適した職場はないような気もするのですよね。


 本当がどうであったのか、私たちは想像することしかできませんが、悔しさが抜けたら、たのしく仕事をしていたのかもしれないと思ったりもした一冊でした(*^^*)

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2022年10月24日

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