あらすじ
ホラー作家・鹿角南(かづのみなみ)のもとに、旧友からメールが届く。ある廃墟で「胆試し」をしてから、奇妙な事が続いているというのだ。ネタが拾えれば、と軽い思いで胆試しのメンバーに会った鹿角。それが彼女自身をも巻き込む戦慄の日々の始まりだった。一人は突然の死を迎え、他の者も狂気へと駆り立てられてゆく――。著者の実体験を元にした究極のリアルホラー!
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Posted by ブクログ
とても恐ろしい物語だった。ストーリーのテンポが速く、引き込まれた。話自体はよくある肝試しなのだが、妙にリアリティがあり、フィクションと現実を切り離すことができない。山の由来が明らかになった場面は、伏線回収のような納得感があったが、全ての謎が解明されるわけでもなく、ラストにも不気味さが残った。
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退屈すぎるくらいの序章。なんでこれが売れてんだって思うくらいの日常回。
それが恋しくなる中盤。
まともじゃない。普通そうはならない。
急に満ち潮に見舞われたような感覚。冷たい恐怖の海がじわじわ這い寄ってくる。黒く、巨大な確定演出があった。
夏に読みたかったぁ。
Posted by ブクログ
初めて読んだのは5年以上前なんだけど、最近、映画化されると聞いて、もう一度読んでみた。
昼間に読んだけど、やっぱり怖い。私の好きな宮部みゆきや澤村伊智の怖さがフィクションならではの怖さだったら、加門七海の怖さは、派手さがない分、どこまでノンフィクションなのか?フィクションはどのくらいあるのか?だと思っている。美術系の大学を出て作家になった、この物語の主人公、鹿角南‥加門七海‥本人じゃん!
物語は、旧友からの1本のメールから始まる。職場の仲間たち4人で、廃墟に肝試しに行った後から妙な事が続いている、とあった。執筆中の作品の参考になるかもと、軽い気持ちで旧友とその職場仲間に会いに行った鹿角。予想に反して、鹿角自身も怪異に巻き込まれ、遂には死者がー。
初めて読んだ時に何が怖かったって、問題の廃墟の後ろにそびえる「祝山」、元々の名称が「位牌山」だとわかった場面。作中の鹿角は、背後から突然殴られたようなショックを受け、読んでいた私は「ひっ」と息を呑んだ。
そして、廃墟の近くでバイク事故で亡くなった仲間を悼む名目で、再び廃墟に向かった鹿角と3人。何故か、廃墟ではなく、最初の肝試しの後にお祓いをしたという神社に行く羽目になる。廃墟から持ち出した材木は元々山の物だから、返した方がいいという鹿角。旧友が怖がって拒否するのを見て、仲間の1人が境内に向かって材木をぶん投げた!作中の鹿角、読んでた私、私の次に読んだ娘、揃って、「(こいつ)終わったな」と思った。
廃墟からの帰りの電車のホームではぐれた旧友は、そのまま行方不明に。材木をぶん投げた仲間とも没交渉のため、無事かどうかは不明。唯一、和歌山の旧家出身で、鹿角から見て霊感もあり、無作法な事はやらかさなかった女性だけは、無事故郷に帰り、結婚もして幸せに暮らしている。
結局、怪異の正体とか、旧友のその後は曖昧なまま。様子がおかしくなっていた旧友が、しつこく、私たちの話を書いて、と言っていた。なので、鹿角は書くことにした。「祝山」を。いつか、旧友が戻ることを信じて。
加門七海のホラーは、なんというか‥日常の中にすっと入り込んでくる感じで、自分の身にも起こりそうに思えて、そこが怖い。山や神社で、変な事しないようにしよう‥と誓うのであった。
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さすが加門さん!と叫びたくなった
ホラー作品の名作を産み出せる作家はそう多くない
ホラーをエンターテイメントとして仕上げる場合の多くは、大げさな演出と突拍子もない筋立てで読んでるこちらを白けさせることが往々にしてある
加門さんは好きな作家の1人だが、興ざめして読むのを投げ出すことは今までなかった
とにかくリアリティがあって、まるで実話怪談を読んでいるような気になり
純粋な怖さを感じる
これは忌み山に肝試しに行った若者たちが
定石通り酷い目にあい
主人公はそれに巻き込まれるといった内容
内容的には特別珍しいものではないが
久しぶりに鳥肌立つほどの怖さを感じた
山に入ったら、山のものは何一つ持ち出してはならない
これはほとんどの山でガイドが注意することではないだろうか?
くどさがなく 読みやすいです
同作者の他の作品を見たあとすぐ こちらの祝山を読みました。前に読んだ作品の展開があまり好みではなかったのと、文章がやや読みにくいなと感じたので これはどうかなと思っていましたが、読みやすくて安心しました。
長さもちょうど良く、展開にだらけずに 物語に対する怖さや不安など緊張感を持ったままで読み進められました。
主人公の 作家・鹿角が、毒づくことも多いですがしっかりしてて、程よく適当で、押しにはちょっと弱いけど利他的でもないところがいいですね。
山の祟りの元凶は一体何なのか、神社の歴史はどのようなものなのか…読んでいる途中は明らかになるものと思っていましたが、こういう終わりかたもまたいいのかもしれません。
実話なのかフィクションなのか
この作家さんの実話怪談本も読んでいたので、フィクションなのか現実なのか分からないまま読み進めていたのでずっと怖かったです。解決しないラストもびっくりだしゾクッとしました。山とか神社とか廃墟とか、ありふれているものにどんな謂れがあるのか。田舎に住む自分には身近すぎるものなので恐怖が増しました。
Posted by ブクログ
実話怪談で一時ハマっていろいろ読んでいた加門七海さんだったのと、タイトルが気になり読みました。
過去のご本人のエッセイで語られていた神仏に対するリスペクトのない人々への困惑と怪異に対する畏怖の念が主成分でほとんどエッセイのよう。
そこにフィクションの出来事が絡むのだがエッセイのようなので「いや、これ本当にあったのでは…」と現実と虚構のあわいがゆらぐ。
派手な怪異は起こらず、いわゆるヒトコワ的なシーンも多いが、じっとりとした怖さを感じることができて良かったです。同じ著者の別の本もまた読みたい。
Posted by ブクログ
★3.5
触れてはならぬ“地名”がある。
ただの肝試しのはずだった──あの日から、現実はどこか歪んでいる。
“瑞祥地名”
たとえば「希望ヶ丘」や「さくら台」みたいな、縁起のいい言葉で飾られた地名のこと。
ときに、こうした地名は“歴史や土地の記憶”を上書きするために生まれる。縁起がいいからといって、アテにはならない。
さて、本書には不敬な行動が祟りを引き寄せるという日本的畏怖観が作品全体に流れている。
肝試しに参加したメンバーは徐々に異常をきたし、短気になる、精神が乱れる、太るなど、一種の“病的狂気”に包まれていく。
幽霊や化物が登場するわけでもない、曖昧で不気味な恐怖。
加門七海が描くのは、現代的な日常ににじむ「リアルな怪異」だ。ライトな怪談とは一線を画し、怖さがじんわり染み込んでくる。
いわゆる怪談でも、ホラーでもない。だが、ふと、日常の景色が“濃度を変えた”ような違和感が残る。
縁起が悪い地名は名前そもそもを変えてしまったり、読みは残して漢字だけ変える、といったことは往々にある。
地名が持つ、土地の記憶。
それそのものが、呪いに変わり、
『祝山』という語そのものが、禍々しいもののように思えてくる。
知覚に干渉してくる怪談の力が、ここにある。
しかし「説明されない恐怖」に慣れていない読者には、やや拍子抜けかもしれない。
だが、怪異が何かを明かされるのではなく、「それが在る」とだけ知らされるという不気味さを楽しめる人には、まさに刺さる一冊。
「最近食べ過ぎて太ってさー」
それ、祟りかもしれませんね。
Posted by ブクログ
とても恐ろしい展開がドッとくるという要素は全くなく、ジワジワと泥に引き摺り込まれるような不気味な展開がよりリアル感を出している。
ハッキリとした事は全然分からないまま終わるが、逆にそれがこの「祝山」という作品を良い意味で後味の悪い物として仕立て上げていて良かった。
Posted by ブクログ
じわじわと背後に忍び寄ってくるような
得体の知れない怖さを感じる。派手なシーンを求めたホラーではないので好みは分かれるかもしれないが、こういうのが1番嫌な怖さが後を引く。
身近なあの人最近雰囲気変わったな、あんな性格だったっけ?と感じた時はもうすでに遅い。
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矢口クソだなと中盤から読んでて思ってたけど、自分が明らかにおかしくなってるのを自覚しつつ抑えきれなくて葛藤してたのかなと思うと悲しい。
Posted by ブクログ
今で言うモキュメンタリーホラーに近いホラーで作者がある心霊スポットを訪れた四人に関わったことで怪異に見舞われるという本人からすればたまったものじゃない状況に立たされて「怪異が起こった原因は何か?」「『祝山』とは何なのか?」という謎を考察していくストーリーがいきなり襲ってくる恐怖ではなくヒタヒタと後ろから忍び寄ってくる恐怖があった。『残穢』が好きな人にお勧めしたい。
Posted by ブクログ
ホラー小説作家が友人からの相談を受けたところから始まる、不気味な祟りのお話です。
主人公はホラー小説作家の女性。今回の作品のテーマは『肝試し』なのだが、なかなか筆が乗らずに唸っていたところ、しばらく連絡を取っていなかった友人から一通のメールが届く。とある廃墟で肝試しをしたという友人は、その後からちょっとおかしいのだと言う。乗り気でない気分が半分と取材ができそうだという期待が半分で彼女はその友人と会うことにするのだが、後から思えばそのメールが始まりだった。巻き込まれたくない、そう思うほど迫ってくる『障り』から、逃れる手立てはあるのか。手掛かりは、『山』――。
具体的な心霊現象や霊障が書かれるようなお話ではありません。ただ、和製ホラーらしいお話でした。
日本の神は祟る、とはよく言われることです。ただしく祀れば、もしくは禁忌を犯さなければ善き恵みをもたらしてくれる神も、祀りを怠ったり禁忌を犯せば、それがどのような意図でされたか如何に関わらず祟られる。今回の作品はその雰囲気が十二分に含まれていました。霊が見える、金縛りに遭う、ポルターガイストが起きるといった分かりやすい心霊現象が描かれなくても、『なんとなく怖い』という感覚があります。正常だったものが狂っていく怖さのようにも思います。
山の近くに住む者として、あまり他人事とも思えない話でした。
実体験を元にした話だそうなので、ホラー小説を書く作家さんは奇妙な『障り』には触れたくなくても触れてしまうものなのかもしれませんね。
Posted by ブクログ
ジワジワと、得体の知れない恐怖を感じる。
恐怖の元凶がハッキリとシルエットを見せないのがまた気味悪さに繋がっていく。
幽霊が怖いというより、「何か」に影響された人間や
運命をも操作されているかもしれないという雰囲気に恐怖を感じました。
バレない様に逃げ場を塞いで行くように、気付けば雑草が生い茂ってツタが絡みつくように話が進み、後半はテンポよく引き込んでくれます。
Posted by ブクログ
主人公の性格が…ツンデレ?著者と名前が似てるし、実体験を元にしたとあるので著者がモデルなんだろうけど、電話を切った後に悪態をついたり心の中で罵ったりするのが気になった。
祝山が位牌山っていうのはゾクっときた。位牌が3つだったのは若尾が守られてて山が手を出せなかったってことなのかな。
同じ著者の実話ホラー?だけを淡々と語る本(タイトル失念)に自分にだけ見えてる山の神社の話があったような気がするので、それをベースにしたのかしら。
話題になっていたので読んでみたけどそこまで怖くはなかったかな?
Posted by ブクログ
自分の読んだ感想でしかないが、いいことを書いていないので注意。
ホラージャンルはあまり読んだことがない。面白い(怖い?)ものが読みたいなと思い、検索結果で出たもののひとつがこれだった。
主人公の内心の台詞が小説表現にしては現実の口語に近くてよいなと思ったのと、「舌を差し入れる」という表現はよかった。
ただ全般の感想としては、さして怖くないし、文章も平易といえばそうだが、起伏がないように感じた。ホラーを読み慣れている人ならそれなりの楽しみ方があるのかもしれないが、名作を期待していたので、肩透かし感はある。
Posted by ブクログ
遊び半分で心霊スポットに行って帰ってきてから怪異に苛まれる。よくある話だけど、いわくつきや怪奇現象よりも、それによって狂わされている人間、向こう側にいきそうになる人間の怖さのほうが際立っていた。スラスラと進んでいくヒトコワ小説。
Posted by ブクログ
映画化される、というので読んでみました。
山の怖い話は数多く残されていて、何かが棲んでいたり、護っていたり。
いいものも、悪いものも全て、山にはいる気がします。
山岳信仰も残っていますし、その土地に根づいた存在は、この現代においても軽んじてはいけないな。
と思わせてくれるような、見えない、得体のしれない恐怖を感じました。
近くに山があったら、もっと怖いかもしれません…
残念ながら、ビルの谷間で読みました。
Posted by ブクログ
どこまでが著者の実体験なんだろうと気になるお話でした。リアルホラーなので、創作よりは恐怖度は劣るけれど、人間の嫌な感じがじわりと出ているのが嫌いになれない感じでした。
Posted by ブクログ
なにこれ?実話ベース?体験談?どっちともつかない感じで終わるので、ゾクっとします。田崎、矢口、小野寺にイラッとしましたが、世の中にはこんなような人達がごまんといるんだろうな。目に見えないものに対して冒涜したり雑に扱ったりと。注意喚起の本、という感じがする。
名前の改名や山を祀るための神社、境とは町という俗界と山という聖域を分ける境界というのがストンと心に落ち納得。昔の人々はそれつつも共存しつながら生活していたんだろうな。だから各地で祭りがあるのは自然な流れなんだなと思いました。
Posted by ブクログ
祝山の意味を知ったときが1番ゾゾっとなった
主人公の作家が怖がりには思えないのが気になったが、ホラーとしてはまぁまぁ楽しめたかな
肝試しなんかは行かないに越したことはない!
Posted by ブクログ
結構主人公の愚痴が多くちょっとうんざりするが、まあ祟られた人に振り回されているのでしょうがないかあ…とも思う。終わり方も拍子抜けするほどあっさりっていうか、いや自業自得かいって感じだった。祟られる方も祟られる性格だな〜って。
とりあえず心霊スポットに行くのはやめよう!祟られるぞ!そういう警告本です、これは。
Posted by ブクログ
読みやすかったです
鹿角さん、滅茶苦茶巻き込まれてるけどなんとか生き残った
いやそういう仕事をしているなら、おそらくちゃんとした霊能者とか神社寺も知ってそうですが、そういう人に頼ることもなく自力でどうにかしようとして死にかけてる…
興味は猫をも殺す、その通りだし分かっていて入っていく
若尾さんは強いものを持っているのに、なんでそんな所にバイトに入ってしまったのだろうか
そういう人ってなんとなく勘がいいからそもそも近寄らなそうだけど、最初はそんな店じゃなかったのかな
などと思いつつ
終わりもモヤっとしたままでそれはそれで本当っぽくて良かったです
Posted by ブクログ
呪われた廃墟と祝山に掛けた位牌山
という名の山と神社。
興味本意で廃墟に行きその後、行った人間
達がまともではなく無くなって行く
様子をホラー作家が巻き込まれるのをさけ
ながら、原因を突き止めるが…
3分の2が作家の忌避を避けたい思い
の羅列ばかりで話しがあまり動かず
ホラー感が薄れてしまって残念。
Posted by ブクログ
全くの無知ではない巻き込まれた人の迷惑がありありとわかるのが面白いホラー。
決して善人ではないがおせっかいも焼くので、本当に投影せずに主人公の行動を終える分わかりやすいドキュメンタリーのように読めて面白い。
親しくもない友人の、普段から話にしている肝試しに、仕事に追われ仕方なく参加したことによる障り。違和感がふとしたことから裏打ちする情報が現れ、頭の中の想像が形を持って恐怖へとなっていく。
気づいたら逃れられないをこんなにもしっかり組んでいるので怖いをしっかり作れたし、あーあにとても共感する。
恐怖とは気づくことだとまさに思う。
Posted by ブクログ
ホラーが読みたくて購入した。タイトルがホラーっぽくなくて、そのギャップがすでにちょっと怖かったけど、読んでみるとなんだか説明っぽくて、ミステリー要素もあるのか…?と感じて、あんまり怖くないかもなぁと思いながら読んでいた。だけど最後のページを読んで、あれ?これほんとの話…?と気付いてぞっとした。最後のページを読んで、表紙の著者名を改めて見て、うわ…となって今までの話が一気にリアルに感じた。ほぼノンフィクションなので、全ての現象に説明がつく訳ではなく、後味の悪い恐怖が残って怖い本でした。
Posted by ブクログ
【2024年190冊目】
縁遠くなった知人からのメッセージを受け取ったライターの鹿角南。そこには肝試しを行ったあと、一緒に行った人たちも合わせて身の回りでおかしなことが起きており、相談したいというものだった。オカルト好きである鹿角は軽い気持ちで彼らに会いに行ったのだが――。
なんだったんだろうホラーでした!(なんだったんだろうホラーとは)よくわからないという不条理さが怖いタイプのホラー小説です。といっても、起こっている出来事を追いかけているだけで、ぞくぞくした怖さはあまり感じませんでした。ちょっと、ミステリー要素も強い感じでしたが、とはいえ、すっきりとした結末というわけでもありません。
今流行りのモキュメンタリーとでも言うのでしょうか。小説としては、ちょっと全体的に何かが足りていない気がして、ぐっと話の中には入ることができませんでした。あえてかもしれませんけどね、読んだ人までもが魅入られ、巻き込まれないように…
凄い怖いとまでは
凄い怖い!やばい!とゆう感じでは無く、現実にありえるかもしれないなと、、リアルに物語が描かれています。あまり極端に怖い事は起こらず、怖い話などを調べ尽くして読み尽くしている方には刺激が少ない様な印象もありました。恐怖とゆうものは、日常に常にあるのかもしれない。その人の生き方、考え方、感情、環境によって、恐怖の感覚、また関わり方もまた違ってくる。私としては、この物語は、今も何処かで誰かの日常にも起こっているかもしれない出来事として、読み進めて行きました。最後の方で、あんな事したのに、あの人(男性)のあの後はどうなったの?とゆう様な静けさの中で終了した感じには物足りなさも感じましたが、そのくらいが丁度良いのかなぁ?想像力を膨らませてね、とゆう感じなのかな。