あらすじ
2009年3月期に、国内の製造業史上最大となる7873億円の最終赤字を計上した日立製作所。
そんな崖っぷちの総合メーカーをV字回復に導いたのは、本流から外れた“デッドヘッド(員数外)” の男たちだった――。
本流から外れた人々が沈みゆく巨艦の舵を取ることになったのはなぜか。
そして、なぜ誰もが成し遂げられなかった経営改革を実現することができたのか――。
その謎に、日経新聞産業部記者として長年、日立製作所や日本の製造業を見てきた著者が迫りました。
日立製作所を舞台とした経営改革の奇跡。
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Posted by ブクログ
救世主・川村氏の使命感と潔さに感服
崖っぷちに追い込まれた巨艦「日立製作所」の経営を託された川村氏の、悲壮さを封印した悠揚迫らぬ使命感が魅力的。正式就任2週間前の「6人組」初会合で「とにかく時間がないから百日プランで行こう。それまでになんらかの結果を出そう。」と目標を定め、現にそれを成し遂げるのはドラマ以上にドラマティックなのに、市場がそれを評価しなかったところに経済の難しさを感じさせる。
日立再生の処方箋は、課題も対策も過去に検討済だったようだが、それだけに、やるべきことをきっちりやることの困難さが際立つ。少人数による決断、決然とした実行、適材適所の人事、過去の反省と率直な対話など、どれも現実には難しいことばかりであり、川村氏を含めた登場人物の胆力と実行力に頭が下がる。
あたかも救世主のように舞い降り、そして颯のように去っていった川村氏の潔さに、『海賊と呼ばれた男』をコンパクトにしたようなカタルシスを感じるドキュメンタリーだった。
Posted by ブクログ
パナソニックもそうですが、日本の電機メーカーの底力を見たと思いました。世界のインフラ市場で海外の重電メーカーとどう渡り合って行くのか、今後の動向にも注目しています。
Posted by ブクログ
2009年3月に国内製造業史上最大となる7873億円の赤字を計上した日立製作所。
一部上場関連会社の完全子会社化、事業の選択と集中、持ち株会社への移行、グローバル化・・・。
決断が遅く、保守的だと思っていた日立が、次々と戦略を仕掛け、苦しみながらも社会イノベーションを軸としたグローバル企業に変貌していく姿は読み応えがあった。
Posted by ブクログ
苦闘する日立を変革したのは、子会社から呼び戻された69歳の人材(川村元副社長)を中心とした異端児たち(出世レースから遅れた人材)のチーム、という事に、驚きがあります。川村元副社長を呼び戻した庄山会長への取材もあれば、と思いつつ読んでおります。日立は、本当に人材が豊富な会社だったようです。その人材が危機の時に立ち上がり、というお話ですが、出来る事なら、苦境を迎える前に、社内の優秀な人材達の大活躍を期待したかった、というのは無いモノねだりでしょか。現在も苦闘する東芝の物語との違い等を横目に、読み進めております。
Posted by ブクログ
・「君子の交わりは淡きこと水の如し、小人の交わりは甘きこと醴(れい)の如し」『壮士』の一篇。醴とは甘酒のこと
・「勉強をする」つまり、日々研鑽を重ねることの真の目的は、人生の岐路に立った時に、我が行くべき道を選ぶ決断力を養うことにある
・子会社を本体の中に取り込むことで意思決定が早まったり、重複していた部門が解消したりといった事業運営の面からだけではなく、少数株主持ち分として外部に流出していた利益や配当の取り込みで連結損益が改善する
・「悲観は気分に属し、楽観は意思に属す」(アラン『幸福論』)
Posted by ブクログ
今話題の川村隆の改革に関する本である。
しかし実際に何をやったかあまり伝わってこない書きっぷりであった。
人物的には権力にしがみつかず組織をしっかり作っていくことが好きな人と感じた。
組織を作る事は継続的企業が、成長することであり1番大切なことだと感じた。
Posted by ブクログ
7800億円の赤字を出した日立の社長に就任した川村氏、その後社長を継いだ中西氏のドラマ。
そう、ビジネス書ではなくドラマであって、これを読んだからと言って同じようなことができるわけではない。とはいえ60過ぎのおっさんが巨大企業を再生してすぐに去っていくさまはカッコいい。
Posted by ブクログ
日立の復活劇が記された一冊。グローバル化を展開する重要性がよくわかります。
二千日にわたる日々の再建物語が私たちに伝えてくれることは、「異端」の人々が、これまでの経験則に囚われない手法で日立の改造を成し遂げたという事実だ。そして、その経験を元に、偶然ではなく人為的に異端を取り入れることで、成功を将来に持続させようとしていることだ。それがダイバーシティーであり、グローバル化の真の意味するところだ。