あらすじ
病弱で生意気な美少女つぐみ。彼女と姉妹のように育った海辺の小さな町に帰省した私は、まだ淡い夜の始まりに、つぐみとともにふるさとの最後のひと夏を過ごす少年に出会った――。少女から大人へと移りゆく季節の、二度とかえらないきらめきを描く、切なく透明な物語。第二回山本周五郎賞受賞作。[装画・山本容子]
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舞台となる海と旅館と季節の輝きが凝縮されたような一冊だな、と思った。
何が起ころうと、つぐみが一貫して「つぐみ」という人間を生きていることが、この物語らしさを根っこから支えているんだろうな、と思った。
周りの人々もそうだが、登場する犬たちも含めて、全ての生命がこの物語において時間を刻む大事な登場人物だと思った。
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泣く準備してたけどハッピーエンドで終わった
つぐみを中心とした港町、浜辺、海、堤防、山、旅館、全てが一体となって学生の夏休みのきらめきや儚さを感じる作品だった
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とにかくつぐみが非常に個性的で魅力的。不安定で儚くて尊くて。もうそれだけで十分満足してしまえる。そして、その辺をなんとなく理解している主人公がいるおかげで、彼女を理解する手掛かりになっている感じが良い。クライマックスへ向かう危うい感じも良かった。映画も観たが、またちょっと違う内容ながら、雰囲気がでててこれもまた良かった。
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吉本ばななにハマるきっかけとなった一冊。
人の心情の表現が秀逸で、夢中になりながら一文、一文字を大切に噛み締めながら読んだ記憶。
今でも夏が来るとほんのりツグミを思い出す。
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ふと、吉本ばななが作り出す
柔らかな文章が恋しくなり、再読。
40近くもなると、学生時代の一夏の
思い出に浸ることもないよなぁ。
だからなのか、何処か懐かしい気分になり、
それが読んでいて心地良かった。
もし、身近につぐみのような子がいたら、
友達になりたいような、なりたくないような。
第三者的な立ち位置から観察した方が
無難な気がする。笑
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私がよしもとばななを読み始めるきっかけになった作品。初読時からずっと好きです。2.3年ほど前に読んでから、いまでもこの作者の本の世界で冒険しています。✈️
吉本ばななと言えば、儚く脆い人物像とそれに抗う強い生命力のコントラストが心地よく調和されていて、せまい一本橋を渡っている不安定な不安さを持ちながらもあたたかい人物と優しい文体からくる安心感があるように感じます。
難しい言葉をやさしく言い換えたような表現が多くて非常に読みやすいです。
TUGUMIを最初に読んでから他作品を読むと
「こんなにもじんわりと人間の底にある生きるみなもとを身近に感じるように書くことが出来るのか」
と思い、他作品を読んでからTUGUMIを読むと
「こんなにもつぐみ(そして私たちにも持っているかもしれない)の燃える生命力を剥き出しにして書くことが出来るのか」
と印象が大きくかわりそうだなと思う。今まで読んできた彼女の作品のなかではかなり"生"を感じることが出来る作品だと思います。
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キュンとするのは胸の奥だろうか?鼻の奥だろうか?なんともふんわり包まれるような不思議な読後感。
私も若い頃、夏になると毎年西伊豆の町に通っていたから、情景が目に浮かび
すーっと物語に入っていけた。
そしてたまらなく土肥とか松崎に行きたくなった笑。
小説や俳句とか音楽とか絵画とか、作品が生まれた土地を感じるのがとても好き。
作品が立体的に動き出す感覚があります。
というわけで、今更ながらの初・吉本ばななさん。同世代と知り、ますます興味が湧いてきました。
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誰しもが持っている、ひと夏の思い出をまるで今まさに体験しているように情緒深く描かれていて圧巻だった。
登場人物誰もが、憎めなくて人がよくて、好きだった。
これからこんな小説にふとばったり出会えたら幸せだと思う。
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小学生の頃、塾の課題図書になっていて出会いました。正反対の二人が醸し出す雰囲気は独特ながらも引き込まれる感じで、私は大抵主題がはっきりした本が好きなのですが、この物語は世界観が好きな物語です。
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最初はのんびりゆったりとした雰囲気に癒されながらもどこか入り込めない感じがあったが、中盤の転か破か、そこからどんどん引き込まれて夢中で読んでしまった。あとがきまで読み終えてみると、あそこはまりあやつぐみが生の人間へと変化していく過渡期だったのかな?と思った。登場人物も舞台も魅力的で、とても心地よく読み進められた。優しくて切なくてとても素敵だった。
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夏の海での想い出。つぐみたちが住んでいる海際の街に、わたしは住んだことがない。けれども読んでいて、懐かしさが込み上げてくる。潮の香り、夏の日差しのまぶしさ、青春時代のピュアな感性。吉本ばななさんの文章は、とてもやわらかい。
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儚くて静謐なんだけど、つぐみのパワー漲る生命力で明るいお話になっていた。人がすっぽり入るほどの穴を掘るのは相当な執念だと思ったけど、飼い犬がいなくなってしまった悲しみは何をしても報われないと思った。口が悪くて嫌な性格のつぐみだけど、まりあとのコンビは唯一無二で惹かれた。まりあとお父さんの場面が好きだった。
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バッドエンドになりそうで怖かったけど、いい結末だったと思う。
皆が思わず注目してしまうつぐみの魅了が伝わってきた。
私とつぐみはとてもいい関係なのかもしれないと思った。
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『TUGUMI』を読んで最初に浮かんだのは、「どこかにこういう子、いたような気がする」という不思議な懐かしさでした。
つぐみのように、まっすぐで、偽りがなくて、ちゃんと自分自身と対話しながら生きている人は、時に周りを振り回すように見えて、実は誰よりも強いのかもしれません。
つぐみの言動の背景には、余命を宣告されて育ったという事情があり、だからこそ普通の人よりも“生き方”について考える時間が多かったのだろうと感じました。周囲の接し方や甘やかしも影響しているけれど、それ以上に彼女自身の思考の深さや人としての輪郭がはっきりしていて、読んでいて目が離せませんでした。
『成瀬は天下を取りに行く』の成瀬を少し思い出しました。はっきり物を言う、したい事をする、周りの目を気にしない。みたいなのって割と嫌われがちというイメージがあるけれど、成瀬やつぐみのように心の真の部分は優しく暖かい。だから周りに人も寄ってきてくれる。そんな彼女を綺麗だと感じることができるんだろうなと思いました。
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高校時代に読んだ青春の一書。
飼い犬がいなくなった場面が辛くて、あれから一度も読み返せない。
ピュアで、破天荒な主人公の行動、刹那的な感情が、忘れられない。
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さくっとノーストレスで読めるのが良かった。
初めて本に付箋を貼るほど素敵なフレーズがあり、夜に読み出したら結局最後まで読んでしまって寝る時間がなくなった。自分では上手く表現することができなかった気持ちを言葉にしてくれている。言葉がキラキラしている。
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二度とかえらない少女たちの輝かしい季節。
切なく透明な夏の恋の物語
いつまでも
色あせない
青春小説の名作
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夏に読みたいと思っていた一冊。
今を逃したら来年以降になってしまうかもと思い。
まだ暑いしギリセーフと言い聞かせ。苦笑
身体が弱くて、
色が白くて髪が綺麗で、
とんでもなく生意気で意地が悪い、
美少女のつぐみ。
従姉妹のまりあ目線で描かれる一夏の思い出。
悪魔的なつぐみに翻弄されつつも、
気付いたら可愛らしく思えてしまうのは、
身体が弱い美少女という設定だからなのか。苦笑
著者の本を読むと、日本語っていいなあ、と読むたびに思います。
特にひらがなが良くて。
夏と海と空と空気と気配と友達と恋。
定期的に著者の本を読みたくなる時期があるので、その時を楽しみに待とうと思います。
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吉本ばななさん2作目。
あんまり作者を重視して小説読むことないから、続けて読むと作風とか書きたいであろうことが通してわかってくるのかという個人的な発見があり。
そういう小説の読み方もおもしろそうと思った。そんな時間があれば、ね…(血涙)
この人の場合は、結局人間は孤独、という考えが根底にあるように感じる。そこはとても共感。
── ひとりの人間はあらゆる段階の心を、あらゆる良きものや汚いものの混沌を抱えて、自分ひとりでその重みを支えて生きてゆくのだ。まわりにいる好きな人達になるべく親切にしたいと願いながら、ひとりで。──
なんかわかんないけどなんとなくわかる風景描写は、ご本人が体験したことを書いてるからなのねとあとがきを読んで納得したり。
ハッピーエンドにしたいという気持ちもあるそうなので、なんだかほっこり優しい雰囲気を常に纏っているのはここからか〜と思ったり。
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何もない日々が続くことは、平凡で素晴らしい。旅館でゆっくり過ごしたり、砂浜を歩いたりする姿を思い浮かべました。吉本バナナさん、とても良いですね。
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吉本ばななの本って読みやすい
純文学っぽいけど、純文学特有の意味不明さがない
キャラクターたちに共感できるところもあるし
魅力的
つぐみは良き理解者に囲まれて良かったね
違うところはとことんちがうけど、少し成瀬と島崎に似てるなあと
Posted by ブクログ
お勧めされたので読んでみた。
病弱なつぐみと姉の陽子、そしてその従姉妹のまりあのひとなつの物語。
色々と思うところはあるが、まずは初読み作家さんなので独特で丁寧な風景描写がとても良いと感じた。
内容自体は破天荒で傍若無人で穢れのないつぐみのやりたい放題の毎日をまりあが懐かしくもありながら傍観するといった感じ。ストーリーそれ自体はぼちぼちな感じではあったが、要所に人生の道標のようなフレーズがいくつも散りばめられていてとても好み。
「何かを得れば何かを失う」とか「恋は終わりが見えるものと見えないものにきっぱり分かれてる」とか。
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海辺の町などの描写がとてもすてきだった。つぐみというキャラがすごすぎて途中からハラハラしたけれど、最後はいい感じで終わってよかったです。
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わがままな暴君キャラの、美しい女の子つぐみ。彼女を中心としたお話。男が読んだら、つぐみにきゅんとくるかも。
ばななさんの初期の作品です。
女性が主体の物語ですが、男が読んでも面白かったです。
つぐみは、口は悪いのですが、ものの見方は本質をみているような感じ。
町一番の美人ということもあって、実際にはどういう人かなぁと
想像したら、やっぱり長澤まさみちゃんが浮かんできてしまいました。
まさみちゃんのイメージとはちょっと違うんだけどねぇ。
うちのおふくろが、娘時代にはたいそう口が悪かったらしく、
親父と結婚するときに、祖母が「よくこんな口の悪い娘を
もらってくれるね」というようなことを言ったそう。
そんでもって、高校のミスコンで優勝したとかなんだかで、
ちょっとつぐみに近い部分もあるのかもしれない、なんて思いました。
とはいえ、つぐみは生来の虚弱体質で、長生きできないなんて
医者に言われていて、そういう境遇が性格を作ったようなところがありますから、
一概に同類とすることはできません。
それはそうと、重ねて書きますが、面白い作品でした。
ばななさんの『キッチン』なんかもそのうち読んでみたいです。
最近、映画といい本といい、面白いものに出会います。
そういう時期なんだろうなぁ。めぐりあわせがすこぶる良好です。
Posted by ブクログ
「うるせえ、黙ってきいてろ。それで、食うものが本当になくなった時、あたしは平気でポチを殺して食えるような奴になりたい。もちろん、あとでそっと泣いたり、みんなのためにありがとう、ごめんねと墓を作ってやったり、骨のひとかけらをペンダントにしてずっと持ってたり、そんな半端な奴のことじゃなくて、できることなら後悔も、良心の呵責もなく、本当に平然として『ポチはうまかった』と言って笑えるような奴になりたい。ま、それ、あくまでたとえだけどな」
Posted by ブクログ
学生の時、国語の問題文とかで見たなーと思っていたらこれ30年以上前の小説なんですね。そこにまず驚いた笑。けど古臭さとかはなく、奇抜な少女とそれを見守る友人、という構図的には最近好評を博したある小説の源流のようにも感じました。
少女の病弱設定、西伊豆という舞台、ひと夏の思い出という時間軸と作者の描写力もあり、ノスタルジックな雰囲気もありつつ、後半は人を選ぶようなキツイ展開もあり、少女の色んな意味での危うさが最後まで読み手を飽きさせませんでした。
ラストはどっちに転ぶかと思ったけど、あの最後で良かったと思う。良い余韻が残る小説でした。
つぐみに振り回れる物語
最近つぐみの印象は野蛮。笑 だが読み進めていくうちに、なぜか厄介なつぐみが気になってしょうがない、そんな話です。そして読んでるうちに海の潮の香りが感じそうな、素敵なお話でした。