あらすじ
甘い夢からさめると病院のベッドの中だった。美術館に勤務するピーターは頭を殴られ意識を失い、そのショックで記憶障害を起こしていた。警察の取り調べが始まり、ピーターは自分に容疑がかかっていることに気付く。自分は犯罪者なのか―そして夢に出てくるあの魅力的な男の正体は―。記憶とともに甦る、甘く切ない思い出。極上のミステリ・ロマンス。
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Posted by ブクログ
総合評価:★5.0
「ウィンターキル」を読んで、やっぱりジョシュ・ラニヨン先生の作品は面白いなぁと改めて思い、こちらの作品も読んでみたのですが、期待を上回る面白さで、大のお気に入り本になりました!
物語は美術館勤務のピーター(受け)が事件に巻き込まれて記憶喪失になる所から始まり、自分に疑いの目を向けてくる辛辣な刑事とのラブロマンスを描いた作品なんですが、この刑事ことグリフィンの印象が最初は全然良くないんですよ。
記憶喪失になったピーターに対して敵意丸出しで、彼の発言をまるで信じることなく、美術館で起きた事件の犯人はお前だろってハナから決めつけてくるんです。
てっきり嫌な男かと思いきや、物語を読み進めていく内にグリフィンのちょっとした言動や動作に「おや?」と思う点があり、そこから更に謎が深まって物語の面白さが増すんですね。
そして近年稀に見るクソ男で、ピーターの職場の上司兼友人のコール。記憶喪失になる前、ピーターは彼に片想いをしていたらしいのですが、マジで何でピーターがあんなクソ野郎に振り回されていたのかまるで分かりません。見る目なさ過ぎ(笑)
あまりのクソっぷりにイライラしたのですが、最後はしっかり制裁が下ったのでスッキリしました。ざまーみろ!(笑)
今作品は恋愛よりも事件中心でストーリーが進む為、ミステリー好きの自分は最後までワクワクしながら読むことができました。特にピーターは罠に嵌められて殆ど“詰み”状態にまで陥るので、どうなるのか心配で心配で事件が無事解決するまで気が気じゃなかったです。
また、ピーターの記憶も何かの拍子に一気に戻る、みたいなドラマティックな展開ではなく、欠けたパズルのピースを一つずつ埋めていくようにじわじわ戻っていくところもリアルで良いな、と思いました。
最後も思わずにやりとしてしまう終わり方で、やっぱりジョシュ・ラニヨン先生の作品は最高だと改めて思いました。ていうかもっと早くに読めば良かった!( ; ; )
翻訳も殺しのアートシリーズやウィンターキルよりもかなり読みやすく、また、M/M小説ではお馴染みのリバ要素も今作ではない為、M/M初心者の方にもおすすめしやすい作品だと思います♪