あらすじ
土神(にわ)は建築科の大学1年生。
真百合と出会い、建物の記憶を視る能力に目覚める。
2年への進級を控えた土神。
ある日、建物調査のため取り壊しが決まった
学生寮を訪ねると、そこで桜の花びらの幻を視る。
寮の庭に佇む桜は、
もう何年も花を付けていないというが…!?
そして、祖父の過去を知りたいと願っていた土神に
思いがけない機会が―――…。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
前巻から打って変わって悲劇になるかと思っていましたが、
予想を良い具合に裏切ってくれてとても満足度の高い巻でした。
前巻で母校と発覚したこともあり思い入れもひとしおだったのですが、
今作では更に魅力的な登場人物が現れ、より楽しめました。
(最初からネタバレ)
本巻は「漸の桜」「彼女の名画座」の2本立て。
1本目は、結局恋愛絡めてくるんだ、という残念感が有り。
構図的にもイエうたに似通っているよね、というのはガッカリな気分。
どちらかというと冒険譚的な作品を期待していたので、
作品というよりはその方向性自体があまり受け入れられない部分がありました。
とは言う者の、イケメン坊ちゃんの彼を中心とした話展開は中々面白く。
どこまでツンデレなんだと思いながらも、最終的に、本当に最後に
美味しいところを持って行くのは読んでてすごく痛快でした。
そして、個人的に滅多に付けない★5を付けているのは、2本目。
同じ分野に居る男女の恋愛についての、ある1つの解を描き切っている点。
それは本作で語っている建築であれ、
普通の人が身を投じている仕事であれ、きっとそうなんだろうけどね。
(何がとは言わず、)大好きだからこそ離れるって選択肢をもって、
ハッピーエンドに話を進めていくのは見事でした。