あらすじ
大学生のぼくは、失恋の痛手を癒す感傷旅行の帰り、フェリーでひとりの少女に出会った。ナップザックを持ち、ジーンズに粗編みのセーターを着て、少しそばかすがあるが、瞳の大きな彫りの深い異国的な顔立ちの美少女。彼女はエマノンと名乗り、SF好きなぼくに「私は地球に生命が発生してから現在までのことを総て記憶しているのよ」と、驚くべき話を始めた……。不朽の名作を、本作の大ファンである漫画家・鶴田謙二のイラストつきで電子書籍化!
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Posted by ブクログ
地球に生命が誕生してから現在までのことをすべて記憶しているという少女・エマノンの物語。人間ですらなかった時代から、母から娘へと記憶が伝えられてきたという。その彼女が、世界を旅しながら多くの人と触れ合っていきます。SF旅物語とでも言いましょうか。
連作短編集の形で、各編は彼女と出会った人物の目線で描かれます。特に最初の表題作が、甘酸っぱい青春を思い起こさせる感じで気に入りました。その後も、出会う人とのやりとりが彼女の記憶に蓄積されていく一方、会った相手にもかけがえのない記憶を残していきます。突飛な設定もありながら、それぞれに楽しく読み終わりました。
表題作は、1979年に書かれたもの。それでいて、今も一向に色あせてないのが素晴らしいです。エマノンシリーズは何冊か新装版として文庫化されるようですので、しばらくはエマノンとの旅を楽しもうかと思います。