あらすじ
『真怪秘録』をまとめる中で、妖怪学の限界を感じたという絶対城。熱意を失った彼は、文学部の非常勤講師として妖怪学を教えてくれないか、という織口からの誘いも断ってしまう。
そんな中、礼音が何者かに狙われていることが発覚。大切な人を守るため、事件の調査に乗り出す絶対城だったが、一方で、その一件の解決をもって妖怪学徒を廃業するとも宣言し――。
猫また、猫ばば、五徳猫。事件の鍵を握るのは『猫』!?
絶対城阿頼耶、最後の事件!
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
好きなシリーズだったので、最終巻と聞いて嬉しくもあり寂しくもあり。
前回の話がクライマックス、これで最後! と言わんばかりの展開で、あれはあれで手に汗握ったのですが、本当の最終巻はまた雰囲気が違いました。
前巻は長編1本な展開でしたが、今回はいつもの連作短編集に近い作りだったし(最終的には一本の話に集約されるけれども)これまでのサブキャラクターも沢山登場して、今までの話の振り返りも入ったので、これはこれで最終巻に相応しい展開だったと思います。
何より、今回の妖怪ネタは「猫」に関わるものということで、今までよりも余程身近に妖怪を感じられる話だったように思います。
劇中で絶対城先輩も言ってましたが、猫は現在進行形の妖怪ですしね。
黒猫は不吉とか、虚空を見つめてる猫は霊的存在を見ているのでは? とか、誰しも思い当たる話ではないかと。
だからこそ、恐怖感は今までとはまた別角度でのものがあった気がします。
それに、いつもは絶対城先輩が捕らわれたり攫われたりボコられたり何かとヒロインな展開になることが多いのに、今回はユーレイちゃんがターゲットとして狙われてピンチになるという展開が新鮮でした。
最終巻にして新鮮な展開とは。
彼女がピンチになった展開は今までもあるにはありましたけど、先輩のピンチに比べると圧倒的に少なかった気がするので。
彼女を狙う犯人は分かりやすくはあるのですが、受け入れるにはなかなか大変なものはありましたが……
更に今回のラスボスがまたえっぐい。
あれを見ちゃうと街中で猫にあっただけでも怯える羽目になりそうです。
前述通り身近にいる猫が本体ですから、怪異を隣に感じるこの展開、下手なホラーよりある意味怖い。
そこを絶対城先輩が鮮やかに解決してくれたのには、本当に救われた気がしました。
絶対城先輩とユーレイちゃんの将来や進路についても、一応の決着がつき(但し、先輩は肝心な言葉を直接言わなかったため、二人だけの秘密的な展開になってしまったことだけが悔やまれる……ちくせう)見たかったものはほぼ全て見させてもらって大満足です。
ちゃんと二人の(勿論、杵松さんも)時間はこれからも進んでいくのだなと感じられたラストだったので。
シリーズものって時間が停滞しがちなので……(俗にいうサザエさん現象)
最強妖怪学カップル+αを最後まで見届けられて幸せでありました。
本当にありがとうございました!
そういえば、最初にこの12巻の粗筋を見た時に、「え、先輩が妖怪学から離れるとなると、ユーレイちゃんの主夫になるかヒモになるかの未来しか見えないぞ! 妖怪学続けていってくれよ! 頼むからこれ以上ヒロイン要素を増やさんでくれ」と思ったのを白状しておきます。
あの妖怪学カップル、基本的に男女の立場逆転しているから……