あらすじ
「あたしの誇りは竜よ。あたしの狼、冬に向かって走る狼」女は唇を重ねる。水野竜一が戻ってきた。2年間、ペルーでゲリラとなり、殺人術と大いなる誇りを身につけて。だが、かつて生命を賭けて共に闘った深江は行方不明だった。深江を探す竜一の前に、銃弾の暴力が立ちふさがる。仲間が死ぬ。老警部「老いぼれ犬」の姿がチラつく。巨大な、姿を見せぬ敵に、ゲリラ戦士竜一がついに牙をむいた。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
水野竜一が三年ぶりに帰ってきた。そして再び、誇りを確かめ、男としての筋を通そうとする男達と共に闘いを始める。三〇年ほどの時を経て再読。自分が年を取っている分感受性が鈍り、楽しめなかったら面白く読めなかったらどうしようと思いながら頁を開いたが、全くの杞憂。冒頭から全編北方節、これぞ俺の愛したハードボイルド! そこここに痺れる文章があり、泣ける泣ける(ギイさんが死んでしまう)。こちらが人生経験多少増えている分、深く味わえたのではないかと思う。まだ生きていれば、高樹刑事に「刑事として出会った中で最も歯応えがあった男は?」と、そのランキングを訊いてみたい気になった。しかし「挑戦シリーズ」、まだ三冊も残っているではないか! 嬉しい。