あらすじ
日本の大学はどのような経過をたどって生まれたのだろうか。本書は、その黎明期のダイナミックな展開を二巻にわたって、つぶさに描くものである。上巻では、明治一〇年の「東京大学」の設立と一九年の帝国大学誕生の成立から説き起こす。その後、帝国大学が自己変革していくさまと、帝国大学に対するかのように生まれる官立・私立の専門学校の隆盛へと物語は進んでゆく。人と組織が織りなす、手に汗握るドラマ。
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Posted by ブクログ
明治維新、教育制度を西欧にキヤッチアップさせる国策。
伊藤博文は、①憲法②教育が国家の背骨。
東京帝国大学を先行させるが、問題は国全体のシステム。
帝国大学からのアプローチと、初等・中等教育の充実が噛み合わない。日本語と外国語のギャップ。予科3年の負担。
大学制度の拡充が鍵。帝国大学だけでは財政負担が限界。
私立大学の活用が不可欠だが、定見が定まらない。
早稲田大学・慶応義塾大学はさすが王道。
Posted by ブクログ
PhDの研究のために読む。
明治維新から150年くらいが経つが、いかに短時間当時の構造が現状を規定しているかが分かる。特に、帝国大学=東大の怪物ぶりが興味深い。
また、私学のルーツもよく理解し、いわゆるアカデミアではないことがよくわかった。
今後、色々と読み返すことになるだろう。
Posted by ブクログ
日本の大学がどのように成立していったか,丁寧にまとめられていて,おもしろかった。新書とはいえ,2冊で重厚な内容ではあるが,大学職員なら読んでおくべき。
Posted by ブクログ
東京大学が帝国大学になり、また東京帝国大学になっていった背景でなぜ変遷を辿ったのか、その中で、教育とは?大学とは?で英米仏独など各国の大学を参考にしようとした背景・・・興味深いものがあります。そして明治時代の帝国大学の士族・平民別の学生構成割合などは当たり前でしょうが、士族が多いということに改めて新鮮な印象を持ちました。そして法学校が明治・中央・法政と誕生したが、各々が米・独・仏法を専門としていたということは全く初耳で、これも面白かったです。帝国大学以外の専門学校群が大学となる経緯も今から考えると不思議な気がします。帝国大学以外では札幌農学校と東京高等商業専門学校の2つが学士資格を与えていたという歴史も面白いですし、何から何まで勉強になる本でした。著者は各大学の「○年史」を引用しており、迫力があります。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
日本の大学はどのような経過をたどって生まれたのだろうか。
本書は、その黎明期のダイナミックな展開を二巻にわたって、つぶさに描くものである。
上巻では、明治一〇年の「東京大学」の設立と一九年の帝国大学誕生の成立から説き起こす。
その後、帝国大学が自己変革していくさまと、帝国大学に対するかのように生まれる官立・私立の専門学校の隆盛へと物語は進んでゆく。
人と組織が織りなす、手に汗握るドラマ。
[ 目次 ]
プロローグ 帝国の大学
第1章 帝国大学以前
第2章 帝国大学の発足
第3章 帝国大学の整備
第4章 専門学校群像
第5章 「私立大学」の登場
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
藩校や寺子屋から、東京大学や各地の帝国大学へかわっていったのか。
私塾がどのように大学に変わったのかわかる。
発足当初は明確な理念、富国強兵、殖産興業を旗印に国づくりに必要な人材を育成する、欧米に頼る人材を国内に輩出することを目的として大学は設置された。
その後制度が整備される反面、各大学の個性は薄れる形に。
国立大学が国立大学法人となり、改めて大学はなぜ存在するか、大学の総体ではなく個別のアイデンティティが問われるようになる。現代の大学の位置付けを考えるための一助になればと思い本書を手に取った。解は得られないが歴史は非常に面白い。ある意味本書は会社で言う創業者の思いを伝え聞くようなものかもしれない。
そうすると、何代も後のサラリーマン経営者がいまの大学の経営にリーダーシップを持つことは難しいのかもしれない。