あらすじ
世界の大企業やパワーエリートがこぞって頼りにする最強のブレーン集団、マッキンゼー&カンパニー。なぜ、マッキンゼーは経済ビジネス分野にとどまらず、政治・軍事の分野にまで絶大な影響力を持ち続けているのか?長年にわたり業界の王者に君臨する巨大コンサルティング・ファームの実態に迫る渾身のノンフィクション。
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Posted by ブクログ
マッキンゼーの社史。J.O.マッキンゼーの創業からマービンバウワー時代、そして現在までを時系列順に辿っている。
要所要所で転換点となったクライアントや案件にも触れており、非常に勉強になりました。
不正会計を起こしたエンロンとの関係性や、グプタ氏のMD時代と引退後の幹部陣のインサイダー取引などにも言及し、時代によって変容するマッキンゼーの価値観を知れました。
そして東京オフィスからは大前研一氏が何度か登場します。彼の世界でのプレゼンスの高さは本社視点でもこれ程のものだったのかと感心しました。
Posted by ブクログ
最初のコンサルタントとしての韓非。p11
ある記者はこう呼んだ「ビジネスの哲人たちの特殊部隊(SWAT)」p12
1966年には、求人を口実に『タイム』に広告を出した。ある広告の見出しには、「マッキンゼーで成功するために必要なことは?」とある。答えは、「複雑な問題を解決する想像力をともなう、一流の教育で磨かれた知力。自信と表現する技術、可能性を引き出すことにつながるほかの人々に対する感受性。そしてもちろん、立派な人格とすぐれた基準」だった。p57
マッキンゼーは革新的なアイデアで称賛されているのではなく、複数の仮説が厳しい現実のなかで生き残るかどうかを試すという、体系的なアプローチで称賛されているのだ。p103
【エンペラー・大前】↔ドイツのハーバート・ヘンツラー p189
(三大スター)トム・ピーターズ、ハーブ・ヘンツラー、大前研一
マッキンゼーを雇ったクライアントが、彼らにはその価値がなかったと明言することは、ほぼない。ある意味でマッキンゼーは、世界中で最も人気があると言われた20世紀初頭のパリの高級娼婦、"ラ・ベル"・オテロと似たような存在だ。カロリーナ・オテロは客をひどくえり好みし、2012年時点の貨幣に換算して100万ドル以上になる途方もない料金を要求した。客にはモナコ大公アルバート一世やセルビア王などがおり、資力のある者なら誰もが一度は付き合うべきだと広く言われていた。では、一度そうしたら、客は何と言うのだろうか。セックスするために100万ドル払ったとしたら、その金の価値がなかったなどと認めるわけがない。p212
マシュー・スチュワート「戦略のアイデアはミネルヴァのフクロウのように、概して組織に黄昏が訪れたときに飛び立つ。古いことわざにあるように、戦略とは弾薬が切れかけても敵に悟られないようにすべての銃を撃ち続けることだ。一般的に、企業は別の方法でみずからの存在を正当化できないとき戦略に頼り、自分たちがどこへ向かっているかわかっていないときに計画を始める」p216
マッキンゼーは確かに、世界に類を見ない最も効率的なCEO製造会社だ。2011年には、150人以上のマッキンゼー同窓生が、年間売上高10億ドル以上の企業を運営していた。p225
ロン・ダニエルは博学な知識人だった。フレッド・グラックは力任せに進む人間だった。ラジャット・グプタは、ダニエルともグラックとも違って、洗練された反知性主義を持っていた。p263
アシュランド・オイルの社長になった同窓生のパウル・シュレグレンは、1993年の『ビジネスウィーク』で「マッキンゼーで働くことは、いいビジネス経験になる。いくつもの企業と産業、それらが抱える問題を短期間で見ることができる、凝縮されたチャンスだ。学士号を取って、MBAを取って、そしてMCK(マッキンゼー修士)が得られる」p352
元ディレクター(ラジャット・グプタについて)「彼はマーヴィンの価値観を具現化しなかった。はるかに商業的だった。そもそも、彼がゴールドマンの取締役になったとき誰も驚かなかったのは、それが理由だ。彼に対する憎悪が強いのも、そうなるのがわかっていながら、止められなかったからだ。彼がいたときに会社はぼろ儲けして、いまになって罪悪感を覚えている」p373
《終章 マッキンゼーはこれからも勝ち続けるか》p377
【もはや最高の就職先ではない】
マッキンゼーはライバルのどこよりも人に投資しているが、すぐれた人材にとっては単なる通過点になってしまうリスク、つまり若手をより刺激的なキャリアのために訓練するための場所になるおそれがある。p381
マーヴィン・バウワーは、マッキンゼーが信頼される地元銀行と同様に見られるようになることを望んでいた。しかし今日のマッキンゼーは、近所にある親しげな銀行よりも、むしろ全国規模あるいは世界規模の金融コングロマリットに似ている。いまやマッキンゼーは古めかしい大企業で、1960年代と1970年代に同社が助言していた巨大企業そっくりだ。そのクライアントが企業でも役員でも、仕事の相手は以前よりずっと大きくなった。コンサルタントが取り組むことになる問題は巨大だ。しかし同時に、いまのマッキンゼーは以前は軽蔑していた官僚機構への対応により多くの時間を費やしており、その外側ではなくより内側に入り込むようになっている。p389