【感想・ネタバレ】初恋のレビュー

あらすじ

16歳の少年ウラジーミルは、隣に引っ越してきた年上の公爵令嬢ジナイーダに、一目で魅せられる。初めての恋にとまどいながらも、思いは燃え上がる。取り巻きの青年たちと恋のさや当てが始まるなか、ある日彼女が恋に落ちたことを知る。だが、相手はいったい誰なのか? 初恋の甘く切ないときめきが、主人公の回想で綴られる。作者自身がもっとも愛した自伝的中編。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

トゥルゲーネフ 初恋

好きな人のためならば全てを投げ打てる献身さ、が
モテる人間になると投げうつ対象が好かれている人、になり得るということ。
そういう安定の一切を捨てて衝動に走る自己満足さ、そういう部分が非道にも映るのかもしれない。
同じことをしているに過ぎないんだ。
これはあくまで本作を離れた一つの考えに過ぎない。けれど、同じような人間との関係性を終えたばかりの私は、彼女の想いを、ジナイーダに重ねて読んで、その上で彼女に思いを馳せていた。
ジナイーダは、悪魔的だ。それでいて美しかった。

P16
周りを 青年 4人に取り囲まれたその人は小さな灰色の花束で 男たちの額を一人一人 順番に叩いているではありませんか
...
きっと自分もあの素敵な指でおでこを弾いてもらえるならこの世の全てをその場で投げ出しても構わないだろうと思ったのではなかったのでしょうか。

P26
「あのね」彼女はピシャリと跳ね除けるように言いました「まだ ご存じないでしょうけれど私とても変わってるの 私にはいつも本当のことを言っていただきたいの さっきお聞きしたけれどあなた16 なんですってね 私は21 ほらね 私の方がずっと年上でしょう だから私にはいつも本当のことしか言ってはいけないの それから私の言うことは何でも聞いてくださいね」と 付け加えました
「私の顔を見てごらんなさい どうして私の方を見てくださらないの」
...
「私を見つめてちょうだい」優しく声をひそめていいます「見られてもちっとも嫌じゃないの あなたの顔好きよ 私たちいいお友達になれそうな気がするけれどあなたは私のこと好きかしら」といたずらっぽく 付け足しました

P62
ジナイーダがいないと胸が塞がり何一つ 頭に浮かんでも来なければ何一つ手にもつかないという有様です。明けても暮れても、ひたすらジナイーダのことばかり考えてしまいます 離れていれば身も焦がすほど なのですがだからと言ってジナイーダがそばにいても気が休まるわけではありません。嫉妬に苦しんだり 自分のつまらなさ加減を思い知ったりバカみたいに プンプン 膨れたりバカみたいに面 練ったりするのですが それでもなお 抗いたい力が働いて否応なくジナイーダに惹かれ、彼女の部屋に足を踏み入れるたびに 幸せのあまり体が震えるのでした。
私がジナイーダに夢中だということはすぐに見抜かれてしまいましたが 別に隠すつもりもありませんでした。ジナイーダは私の恋心を面白がってからかったり 甘やかしたり 苦しめたりしました。相手に この上なく大きな喜びや 深い悲しみをもたらすのが 自分 ただ一人でしかも 相手をどこまでも自分の思い通りにできるとなると それは心地よいものなのかもしれませんが それにしてもジナイーダの手にかかると 情けないことに私はまるで 柔らかい蝋のようでした。

P67
「私があの人を愛してると思っていらっしゃるんじゃないでしょうね。まさか。上から見下ろさなくちゃならないような人なんか愛せないわ。逆に私を押さえつけるような人じゃなくちゃいや。でもありがたいことに そんな人には出会いっこない!だから 誰の虜にもならないの 絶対!」
「ということは決して人を愛さないということですか」
「あら あなたのことは?あなたのこと愛してないかしら」
ジナイーダはそう言うと手袋も先で私の鼻をたたきました

P71
「私のこととても愛してる?」と、しばらくしてから ようやく 言いました。「そうでしょ?」
私は何も答えませんでした。だいたい 答える必要などあるでしょうか。
「そうよね」ずっと私を見つめたままジナイーダは繰り返します。
「そうに決まってる。同じ目をしてるもの」そう言って考え込んだジナイーダは、やがて 両手で顔を覆い そっと囁くのでした。「もう何もかも、いや。いっそのこと 地の果てにでも行ってしまいたい。こんなこと 我慢できない、うまくやっていけない......。この先どうなるんだろう!ああ、つらい......。なんてつらいの!」
「何がそんなにつらいんです」私は恐る恐る尋ねました。
ジナイーダは答えてはくれず、肩をすくめるだけです。

P74
それともひそかに恋敵が現れ、
ふいに君の心をとらえたのか。

突然こう 叫ぶ マイダーノフの鼻声が耳に入った時 私の目はジナイーダの目とかちあいました
ジナイーダは目を伏せ ほんのり 顔を赤らめました。それを見て私は驚き 背筋が冷たくなる思いがしました。
もう 前々から嫉妬を感じてはいたもののジナイーダが恋しているという考えが頭にひらめいたのはこの瞬間が初めてだったのです。「どうしよう!あの人は恋してるんだ!」
私の本当の苦しみはこの時から始まりました。くよくよ 思い悩み ああでもないこうでもないと思い巡らしては考え直しジナイーダの様子を しつこいくらい 見張っているようになりました そうは言ってもできるだけ こっそり 気づかれないようにではありますが。
ジナイーダのみに変化が起きたことは疑いようもありません。一人で散歩に出かけたきり 長いこと 帰ってこなかったり 逆の前に姿を見せず何時間も自分の部屋から出てこなかったり。客の前に姿を見せず何時間も自分の部屋から出てこなかったり。そんなことは 以前にはありませんでした。私は急にものすごく 勘が鋭くなりました。いえ、鋭くなったような気がしました。あいつだろうか それともこいつだろうか___ジナイーダの取り巻きを一人一人 不安な気持ちで思い浮かべては胸の内で問いただしてみます。

P79
「この子を叱ってやってくださいよ。一日中 氷水ばかり飲んでいるんです。胸が弱いっていうのに そんなことをして体にいいものでしょうか」
...
「生きていく ってそんなに楽しいかしら。 周りを見回してご覧になるといいわ。どう、嫌なことばかりでしょう。それとも、そんなことも私には分からない感じられないとお思いなのかしら。今の私は 氷水を飲むと心から満足できるんです___もう幸福がどうのこうのと言っているんじゃありません。つかの間の満足を得られるなら命を犠牲にしたって構わない。それなのに 先生 言ったらそんなつまらない人生を犠牲にするのはもったいないって本気で お説教なさるつもりなのかしら。」
「そうですか」ルーシンが答えます
「気まぐれと自尊心 この2つの言葉があればあなたがどんな人か言い尽くしたことになりますね あなたの性格はこの2つの言葉ですっかり表すことができる」
ジナイーダはヒステリックに笑い出しました。
「見当違いです お会いに行く様 ちゃんと見ていないと遅れを取りますよ メガネでもおかけになったらいかが今の私は気まぐれなんかじゃありません ここに来る人たちをからかったり 自分自身を 笑い者にしたって何が面白い もんですか!」

P86
あるときジナイーダの部屋に行くと籐椅子に座り テーブルのとがった端に頭を押し付けています。やがて 身を起こすと 顔中 涙で濡れているではありませんか。
「ああ!あなただったの!」残忍な 薄笑いを浮かべて言います。「ここにいらして」
私がそばに行くとジナイーダは私の頭に手を乗せいきなり髪の毛を掴んでぐいぐい ひねります。
「痛い」ついに私は音を上げました
「ああ、痛いのね!でも私は痛くないと言うの、痛くないというの?」そう 繰り返します
ほんの一房ですが 私の頭から髪をむしり取ったのに気がついたジナイーダははっとして叫びました。「まあ!なんてことしちゃったのかしら かわいそうに ムッシュー・ヴォルデマール!」
むしり抜いた髪の毛をそっとまっすぐ引っ張って髪に巻き付け指輪のようにして言いました。
「あなたの髪の毛 ロケットに入れて いつも身につけてるわね」
目にはやはり 涙が光っています
「そうしたら少しはあなたの気が晴れるかもしれないでしょ さぁ、じゃ、もうさよならよ」

P88
よく高い壁によじ登って 腰かけ 一人ぼっちでいると自分がひどく不幸で寂しい境遇にいるように思えてきて 我ながら 哀れになったものですか そうした悲しみの感覚が帰って心地よくもあり それにどっぷり浸っていたのかもしれません

P89
「本当に私のことが好きなら私のいる この道に飛び降りて見せて」
ジナイーダがこの言葉を言い終えるか終えないかのうちに、私はもう飛び降りていました 後ろから誰かにどんと押されたような感じでした。壁の高さは 4m ほど。両足で地面に着いたのは良かったのですが 衝撃が大きくて体を支えきれずばったり 倒れ込み 少しの間 気を失ってしまったようです。我に帰った時には目を開けないうちからジナイーダがすぐそばにいることが気配で分かりました。
「可愛い子」ジナイーダは私の上にかがみ込んでいました その声は心配そうでもあり 優しげでもあります。「なんでこんな真似するの。何で言うことなんか聞くのよ。私だって大好きなのに。起きて」
ジナイーダの胸が私の胸の間近で息づき その手が私の頭に触れるや いきなり(この時私の身に 奇跡のようなことが起こったのです!)柔らかくひんやりとした唇が私の顔中 あちこちにキスし始め......私の唇にも触れたのです。でもその時 多分私の表情からもう意識を取り戻していることが分かったのでしょう まだ目を閉じたままにしていたのですがジナイーダはパッド身を起こしてこう言いました。
「さあ、タヌキ寝入りしていちゃダメよ、無鉄砲ないたずらっ子さん、いつまで埃まみれで寝てる おつもり?」
私は起き上がりました。
「日傘を取ってきてくださらない。ほらあんなところまで放り投げちゃったわ。そんな風に人の顔ばかり見ないこと。全く何ておバカさんなんでしょう。怪我はなかった?イラクサが刺さって痛かったんじゃない?人の顔を見ないでって言ってるでしょ。いやだ、この人、何もわからないみたい、返事もしないわ」ジナイーダは独り言をつぶやくように言いました。「ムッシュー・ヴォルデマール、家に帰って体をきれいにするのよ。私の後をつけてきちゃダメ、そんなことしたら承知しませんからね。もう絶対......」
ジナイーダは最後まで言わずにさっさと行ってしまい、私は へなへなと 道端に座り込みました。とても立っていられないのです。イラクサの精霊手がチクチク 痛み 背中は 疼き 頭はクラクラしていましたが この時 味わった点にも登るような幸福感はその後の人生で もう二度と巡ってはきませんでした。至福の間隔は甘い痛みとなって体の隅々まで伝わり とうとう抑えきれなくなった私ははねたり わめいたりしました。そう 私は本当にまだ子供っぽかったのです。

P101
「ああ、俺はバカだった。あの人のことをただ色好みだと思っていたなんて!自分を犠牲にすることに喜びを感じる人がいるんだなあ」

P104
「僕に愛されるのが嫌なんだ、そうでしょう」自分でも気持ちが高ぶるのを抑えられず 私は暗い声で叫びました。
「いいえ そうじゃないけれど 前とは違った風に愛してほしいの」
「違ったふうって言ったって」
「お友達になりましょう、それがいいの!」ジナイーダは私にバラの花の匂いを嗅がせました。
「だってそうでしょ私の方がずっと年上なんですもの あなたのおばさんになってもおかしくないでしょ 本当にまあおばさんじゃなくても お姉さんくらいにはなれるわ でもあなたは......」
「僕はあなたから見れば どうせ ほんの子供 なんでしょう」私は口を挟みました
「そう子供よ でも可愛くて お利口さんで大好きな いい子」
......
「前はもっと別な風に可愛がってくれたのに」とつぶやくと「まあ」ジナイーダはそう言って横から こちらの顔を覗きました。「この人 ったらなんて 物覚えがいいんでしょう しょうがないわね 今だって可愛がってあげるわ」
そして私の方に鏡込み額に清らかで穏やかなキスをしてくれました。

P131
遠征に出かけて失敗に終わったあの夜から1週間の間に自分の身に起こったことを事細かく話してみろと言われても困り果ててしまうでしょう。 熱に浮かされたような奇妙な1週間でなんだか 混沌としていて どうしようもなく 矛盾した感情 、考え 、疑惑、 希望、 喜び、 苦しみが 嵐のように 渦巻いていました 。自分自身の心の中を覗いてみるのが怖かったのでしょう 。まあ、 16歳の少年に自分の心を覗くことができると仮定しての話ですが。なんであれ はっきり突き止めるのが怖くて 、その日その日が夜まで早く過ぎてくれるようにと それだけを考えて過ごしていました 。でも夜はぐっすり眠ることができました 。物事の表面しか考えない 子供っぽいところが帰って幸いしたのでしょう 。自分が愛されているのかどうか知りたくもありませんでした。 しかしそうかと言って 愛されていないと自ら認めるのも嫌でした。

P134
フィリップを下がらせ ベッドに倒れ込みました 声あげて泣き出すことも 絶望に打ち 沈むこともありませんでした いつのことでどんな成り行きだったのだろうと思い巡らすこともしなければどうしてもっと前にとっくに察しがつかなかったのだろうと不思議に思うこともありませんでした 父 を責めようという気にさえなりません 今知ったことは自分の力ではもうどうすることもできないのだ 突然 そう思い至るとすっかり打ちのめされてしまいましたもうおしまいだと思いました 私が咲かせていた花は 一つ残らず あっという間にもぎ取られ 足元に投げ捨てられ踏みにじられてしまったのです

P137
私は思いました そうだ これが本当の恋というものだ これこそ 情熱的な恋愛 献身的な愛だ そして ルーシンの言った言葉をふと思い出しました「自分を犠牲にすることに喜びを感じる人がいる」という言葉です

P138
「お別れを言いに来たんです」私は答えました「多分もう一生 お会いできないと思って。聞いていらっしゃる かもしれませんが 僕たち 町に戻ることになったんです」ジナイーダは私をじっと見つめました。
「A 聞きました 来てくださってありがとう 実はもう会えないんじゃないかと思っていたの 私のこと悪く思わないでくださいね 時々 意地悪なことをしたけれど私 あなたが思ってるような女じゃないの」
ジナイーダはふっと 顔を背け窓辺に身を寄せました
「そうよ そんなの じゃないの あなたが私のことをいけない女だと思っていらっしゃるのは分かっています」
「僕が?」
「ええ、そう......あなたよ」
「僕が?」悲しく情けない声でそう 繰り返すと次男 いたの 何とも言えない 強烈な魅力に圧倒されて以前と同じように胸が疼き出しました。「僕がですか?家 どうか 信じてください 何をなさろうとどんなに意地悪をなさろうと僕は死ぬまであなたを愛します 命のある限り 思い続けます」
ジナイーダはバット振り向くと両手を大きく広げて 私の頭を抱きしめました そして私に燃えるような熱いキスをしました この長い別れのキスが探し求めていた相手は誰なのか それは知るよしもありません でも私はこの甘さを貪るように 味わいました そんなキスはもう二度とありえないことを知っていたからです
「さようなら、さようなら」と私は繰り返しました
ジナイーダは急に身を振りほどいて行ってしまいました 私も外に出ました その時の気持ちを言葉で言い表すことはとてもできそうにありません 願わくは そんな感情は二度と経験したくありませんが でも もし一緒に一度も経験できないとしたら それはそれで自分のことを不幸だと思うに違いありません。

P140
父に対してはどうだったかというとこれぽっちも恨めしいという気持ちが起こりませんでした それどころか 私の目には 前よりも 帰って父の姿が大きく映ったほどです 心理学者たちがこの矛盾をどんな風に説明しよう が勝手に しなさるがいいでしょう

P144
川面から嫌な 湿気が漂ってきたと思ったら しとしと小雨が降り出して窓 抜けた 灰色の丸太に点々と小さな黒い雨の後をつけていきます

P145
「父さんがこっちを振り返るかもしれない そうなったらおしまいだ」と思いました
それなのに好奇心よりも強く 嫉妬心よりもまだ強く 恐怖 よりも強い 何とも言えない不思議な感情に襲われてそこを動けません。
......
今でもジナイーダの顔が見えるような気がします 悲しそうな それでいて真剣な美しい顔で心からの献身と憂愁と愛と絶望の ようなものがないまでになった、いわく言い難い表情を浮かべています____そんな風に表すしかありません。
ジナイーダはごく短い言葉を口にするものの目を伏せたまま大人しく かたくなに微笑んでいるばかりです。この微笑みを見ただけで 以前のジナイーダらしいジナイーダだと思いました。
...
その時突然私の目の前で信じられないようなことが起こったのです それまで フロックコートの袖の埃を払っていた鞭を基地がいきなり振り上げると肘まで出ているジナイーダの白い腕をピシッと 打ち据えたのです。私はもう少しで悲鳴をあげそうになり自分を抑えるのがやっとでしたが ジナイーダはぐるっと 身震いし黙って父の顔を見合ってからゆっくりその腕を唇に持って行き 真っ赤になっている後にキスしたのです 父は鞭を放り投げ 急いで入り口の階段を駆け上って家の中に飛び込みました
ジナイーダは後ろを振り返り 両手を広げ 頭を反らしてやはり 窓から離れました。

P149
「これが本当の愛なんだ」夜明け 自室の机の前に座って 私は1人でまた つぶやいていました 机の上にはそろそろ ノートや教科書が姿を見せ始めています
「これこそ恋というものなんだ!誰かに打たれたらそれが誰であろうと どんなに愛しい相手であろうと 頭に来て我慢できないだろうと思っていたが本当に相手を愛していれば 我慢できるんだ それを僕は......僕は勘違いしていた」
その1月で私はずいぶん 大人になっていました そして ときめきも悩みも一切 含めて自分の行為などというものは自分の知らない 何者かに比べたら 我ながら ちっぽけで子供っぽくてみじめなものなのではないかと思うようになっていました でもその何者か というのが 具体的にどういうものなのかについてはかろうじて 想像できるかできないかといった程度でしたし 薄暗がりの中で目を凝らしてもどうしても 見分けることのできない美しいけれど 険しく見たこともない顔であるかのように私には恐ろしく感じられるのでした

P152
遠い思い出が蘇ってきて私は翌日にでも早速 昔の「恋人」に会いに行こう と心に決めましたところがあれこれと用事ができて都合がつかず 1週間 2週間と過ぎてしまいました ようやくデムートホテルに行って ドアマンにドーリスカヤ夫人との面会を申し込むと 4日前になくなったと知らされたのです おっさんのための休止と言っていいような死に方でした心臓のあたりを何かに グイと突き上げられたような気がしました 会おうと思えば会えたのに会わなかった もう二度と会えないんだと思うとやりきれず 痛ましい思いが胸に食い込み 力いっぱい 激しく 責め立ててきます「亡くなった!」私は ぼんやり ドアマンの顔を見ながら 繰り返し それから 力なく外に出て どこへ行く という あでもなく歩きだしました。
これまでの もろもろのことが一度に浮かび上がって目の前に広がりましたジナイーダの情熱的できらびやかな 若い 生はこんな結末を迎えることになっていたのか、ジナイーダの生が先を急ぎ 不安に駆られながら 目指していたものはこれだったのか そう思い あの愛しい面影あの目 あの 蒔絵が狭い 棺の中に収められ 湿った地下の闇に埋められているところを想像しました それは当面 まだ生きている私のすぐそば ひょっとすると父の眠っている 墓所から数歩しか離れていないところかもしれません そんなことを考えながら気持ちをこわばらせてさらに想像していくうちに

冷ややかな口元 より死の知らせを受け、
私も冷ややかにそれを聞いた

という一節が胸に響きました。
ああ、 若さよ!青春よ!お前はどんなことにでも 左右されず まるで宇宙の宝物を全て手にしているかのようだ お前は憂いにまで慰めを見いだし 悲しみまで似合ってしまう地震 たっぷりで大胆不敵だから「私は一人で生きていける 見ていてごらんなさい」などと言う そういう そば から月日は飛ぶようにすぎ 数え切れないほどの日々が 後方もなく消えて行き 太陽にさらされた蝋のように、雪のように溶けてしまうというのに。
青春に魅力があるとしたらその魅力の秘密は何でもできるというところではなく何でもできると思えるというところにあるのかもしれません モデル 力を 他に使いようがないまま 無駄遣いしてしまう そこにこそ青春の魅力が潜んでいるのかもしれません 誰もが自分のことを浪費家だと本気で思い込み「ああ、時間を無駄に潰さなかったらどれほどすごいことができただろう!」と本気で考える そこにこそ 潜んでいるのかもしれません。
私自身もそうでした 当時 つまり ほんの束の間を浮かび上がった初恋 の 幻影をふっとため息をつき 物悲しい感覚を味わいながらやっとのことで見送った その頃 私は一体何を望み 何に行きたいし どれほど豊かな未来があると思っていたのでしょうか それに引き換え 臨んだことのうち 果たしてどれだけのことが実現したのでしょうか 早くも人生に 夕闇が迫ってきた 今頃になって 春の暁にあっという間に過ぎて行った雷雨の思い出 ほど みずみずしく愛しいものはないということがようやく分かりました

P156



ジナイーダの死を知って数日してからのこといても立ってもいられず自分からある貧しいおばあさんの死に立ち会うことにしました 私たちと同じ建物に住んでいた人でボロを纏い袋を頭の下に敷いて硬い床板に寝ていましたが 最後は実に辛く苦しそうでした その一生は日々の貧乏な暮らしの中でアクセス もがいているうちにすぎてしまったようなものです 喜びも 蜜のような幸福も味わったことのないこの人にとって死ぬことは苦しいせいからの解放であり 平安でもあるわけですから むしろ 喜ばしいものなのではないかという気がしますところが大分 体が持ちこたえられている間 次第に冷たくなっていく手が胸を押し付け その胸が 未だ苦しげに波打っている間 最後の力が抜けていく間 おばあさんは しきりに十字を切り しきりに「神様私の罪をお許しください」と囁き続け 最後の意識が花火のように散って初めて死を恐れおののく 表情がようやく 目から消えたのです 忘れもしません この哀れなおばあさんの死の床に立ち会った私はジナイーダのことを思って 恐ろしくなりました そしてジナイーダのために父のために そして自分のために祈らずにはいられなくなったのでした。

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2026年05月07日

Posted by ブクログ

語り口が好きでした。主人公の心情がうんうん分かる分かると痛々しくも分かってしまう。ヒロインが小悪魔的な美女で想像が膨らむ。弄ばれたい衝動に駆られる。読んですぐに再読したくなる。そんな作品でした!

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2023年12月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ここ数年で読んで古典の中で一番素晴らしいと思った。最後数ページの主人公の心境の吐露は感動的ですらあった。「初恋」というタイトルのイメージからくる清涼感、ほろ苦い思い出、とはよほどかけ離れた衝撃を受けた。

「青春に魅力があるとしたら、その魅力の秘密は、なんでもできるというところにではなく、なんでもできると思えるというところにあるのかもしれません。持てる力を、他に使いようがないまま無駄遣いしてしまう、そこにこそ青春の魅力が潜んでいるのかもしれません。だれもが自分のことを浪費家だと本気で思い込み、「ああ、時間をつぶさなかったら、どれほどすごいことができただろう!」と本気で考える、そこにこそ潜んでいるのかもしれません。」

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2022年06月12日

Posted by ブクログ

んあ~結構好きだな~!
言い回しとか表現が好みだったんだけど、それは訳者さんのおかげかな?
初恋のエピソードとかは目新しいのではないし、特に惹かれるものはないけれど(雰囲気はとても好き)、最後の章が良かったなぁ。そう、改めて考えるとこれって年をとってから自分の初恋を振り返ってるんだけど、何で思い出して書いたんだろう...。まだ自分の初恋に終止符を打てていないのかなぁ。うーん、もうちょっと読み込みたい!し、ツルゲーネフの他の作品読んでみたいなぁ!

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2020年03月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

世の中に「初恋」を題材にした作品は多いが、その多くが「純粋」「淡い」「儚い」といった形容詞で語ることができると思う。なので本作もそのような内容ではないかと勝手に想像していたのだが、一味違っていた。たしかに先に挙げたように表現することもできるかもしれないが、しかしそもそもからして、ウラジーミルとジナイーダの2人の関係性は歪んでいる。告白を受け入れてデートを重ねて、というわけではなく、あくまでも一方的で、ウラジーミルは最後まで弄ばれ続ける。しかし、シチュエーションはともかくとして、こういった非対称的な構造のほうがむしろリアリティを感じるし、かえって今日でもじゅうぶんに通用するような内容になっている。巻末解説によれば、じっさいに著者の経験が如実に反映されているようである。そして、結末もまた印象的。ふたたび冒頭の記述に戻るが、主人公の初恋が実らなかった理由として、相手と実父が繫がっていたからとなる作品は、いったいどれだけあるのだろうか。そういう意味では、この悲劇的で独特な結末こそがなによりも純粋で新しく、いつまでも陳腐さを感じさせない瑞瑞しいものであり、著者にそういう意図はなかっただろうが、こうした状態もまた「初恋」と呼べるかもしれない。

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2019年11月09日

Posted by ブクログ

文章表現が巧みで、じっくり読んで場面を想像する楽しさを感じられた本でした。初恋の恋心の気もちをいろんな言葉で表していてすばらしかったです。ジナイーダが恋をしている相手がまさかの人で、小説後半は目を見開くほど衝撃的な場面が繰り広げられていました。

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2019年08月29日

Posted by ブクログ

古い作品だと侮っていたことが大間違いだった。この時代の、さらに日本人ではない国の人々が初恋と言う様々な作家が描くことを試みた永遠のテーマをどのように描いているのかということに興味を持って読み始めた。しかしそこに文化的、時代的違いによって分断されるような異なりはなく、自分も全く似たようなことを考えたり行っていたりしたと恥ずかしい記憶を思い起こさせるような記述が多くあった。相手を好きと思うことをただ「好きだと感じた」などと記述するのではなく、その気持ちをどのような行動に置き換え消費しているのかを細かく記していたことが、その共通点を生む大きな由来だと考える。少年の恥ずかしい、しかし楽しいそして苦しい大切な相手を思う気持ちと行動は、当時の自分を見ているかのようでとても応援したくなった。その分その後に起こる悲劇を見たときは、半分ほどあらすじを見ていた時点で分かっていたものの、胸を貫かれる思いであった。さらに注目すべき点は、残り数ページ辺りで描かれるこの作者の青春の定義である。ただロマンスを描くのではなく、青春とは一体何なのかを描くことによって、物語の少年、そして読者が追体験したあの出来事は過ぎ去った人生におけるもっとも素晴らしい、そしてもう戻ることのできない過去の事であると認識できだのであった。同時に、人生におけるもっとも愚鈍になりしかし素晴らしい全能感を味わい行動に移す気力や体力のある青春時代とはなんてかないものなのかと哀しくなった。

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2017年07月02日

Posted by ブクログ

今読んでもなお古びないのは普遍的な人間の性を描いているからでしょうね。
ネットが発達しようが100年前と同じように恋に苦しむのです。って本当に最近は苦しむのか?苦しむのが面倒だから恋愛しないという話も聞くけど・・・
それにしても、42歳でこんな瑞々しくも身勝手な恋心を描けるトゥルゲーネフ、凄い!

ロシア語には愛と恋は別の単語としてあるのだろうか?

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2016年03月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 主人公の別荘の隣に越してきた貧しい公爵夫人一家の娘のジナイーダに一目惚れし、失恋する物語。
 ジナイーダの周りには常に男がおり、常連として軍人、伯爵、医者、詩人を侍らせ、夜毎にくだらないどんちゃん騒ぎをしていた。主人公もその常連に加わるのだが、次第にジナイーダが恋をしている人物がいることに気付く。その相手が自分の父であることをひょんなことから知り、理解できないながらも本当の恋や愛に触れたように思う。でも、それが元で父は身を滅ぼし、ジナイーダにもすれ違いから再会せずに相手の死を知る。知らぬ老婆を看取りながら物語は幕を閉じる。
 個々の描写が素晴らしく、心情に沿った自然描写や瑞々しい初恋の機微を映す心理描写が好きだった。特に、自然描写では、「そういうときは、自室に引きこもるか、庭のつきあたりまで行って廃墟になっている温室によじのぼるかしました。石造りの高い温室の一部が壊れずに残っていたのです。道に面しているほうの壁に足をぶらさげてすわり、何時間もそのまま何も目に入らず、ただただぼんやりしていたものです。そばでは、埃をかぶったイラクサの上をモンシロチョウが数匹けだるそうに飛び、威勢のいいスズメが壊れかけた赤レンガにとまって、いらだたしげにチュンチュン鳴きながら尾をいっぱいに広げ、体をあっちに向けたりこっちに向けたりしています。相変わらず疑り深いカラスは、はるか高く、葉の落ちた白樺の梢にとまって、ときどきカアカア鳴きかわしています。白樺の枝はまばらで、そのあいだを太陽と風が静かにたわむれ、ときおり聞こえてくるドンスコイ修道院の鐘の音は穏やかでわびしげでした。じっとすわったきり、眺めるともなくぼんやり前を見て耳をすましていると、なんとも言いようのない気持ちがこみあげてきました。悲しみも、喜びも、未来への予感も、希望も、生に対する恐怖も、すべて含んでいるような気持ちです。(中略)この複雑な気持ちをたった一言であらわそうとしたかもしれません──「ジナイーダ」という一言で。」というシーンが好きだった。心理描写では「『ジュリアス・シーザーは武芸に秀でていた』という箇所をつづけざまに十回も読んだのにまったく理解できない」というシーンが好きだった。
 シンプルな筋立てでありながら、人物の関係性や立場が細かい構造のシンメトリーや皮肉めいていたものになっていることを、解説を読んで知り舌を巻いた。この物語が時代を超えて残っていることにも納得感があった。
 あまり欠点らしいものはなかったが、私にはそこまで刺さる物語ではなかったため、4.4。

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2025年10月10日

Posted by ブクログ

まさに、初恋、の古典文学 薄い本で、文章も難しくないので、サラッと読める。古典文学だから、どんなものか読んでみたかった。

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2026年03月14日

Posted by ブクログ

ジナイーダが自分のタイプじゃなくて、主人公に全然共感出来なかった。
ただ好きな女の子を父親に寝盗られるって展開は、源氏物語みたいで面白かった。マイダーノフとかに取られるよりはマシなのかな?主人公もそんなに悔しくなかったって言ってたし。
全体的に綺麗で、特に最後の青春に関する一節は好きだった。

青春に魅力があるとしたら、その魅力の秘訣は、なんにでも出来ると言うとこやろではなく、なんでも出来ると思えるというところにあるのかもしれません。

自分はまだ大学生だけど、こんな感じの初恋してみたかったなあ。

あと主人公の厨二病全開妄想シーンも好き。
相手の男と戦闘をし、血まみれになる主人公。心配してるジナイーダに向かって、格好つけながら「何にも」と答える。





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2023年04月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 5つ年上の女性ジナイーダに恋をしてしまった16歳ウラジミールの恋物語。私も読みながら、ジナイーダに弄ばれて、それでも心躍ってしまった。また、1番好きなシーンは、ウラジミールが父からザセーキン家のことを聞かれるシーン。父は、聞いているのか聞いていないのかよく分からないのに、絶妙なタイミングで話し手の気持ちを煽るような合いの手を入れてくる。それが目に浮かんで、ジナイーダとは別の意味で翻弄された。

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2022年09月06日

Posted by ブクログ

好きな曲の原典で気になった事がきっかけです。

主人公にとってのこの初恋は、あまりにも鮮烈である意味で大恋愛なものでした。
私は誰かを好きになった事がないので、自分を変えられてしまうような恋愛が羨ましいですが、当人からしてみればそんな生優しいものではないのでしょう。
寝ても覚めても頭から離れない、自分でも理解できない行動をとってしまったり、感情の制御ができなかったり……強制的に自分を変えられてしまう主人公の戸惑いや恐怖を、何度も目にしました。

初恋というタイトルではありますが、ロマンスというよりジナイーダが誰を恋い焦がれているかを見つけるミステリーのようで、先が気になりました。
お話自体が短い事もありさらっと読めた印象です。


この小説はトゥルゲーネフさんの半自伝だそうで、当たり前といえば当たり前なのですが、恋で頭がいっぱいになる気持ちはロシアでも同じなんだな、と思いました。
決してこのお話をなぞりたくはありませんが、自分を変えてしまうほどの恋を、自分もしてみたくなりました。

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2021年01月14日

Posted by ブクログ

ネジ読書会の課題本でした。16の初恋の甘く切なすぎるときめき。40になった主人公の人に読ませるための日記の形で綴られる。ネタバレしないで読んだ方がいいと、言われていたにもかかわらず、あらすじをつい読んでしまった。

初恋は、他のどの作品よりも作者自身に愛された幸福な小説であるという。彼の人生そのものであり身をもって体験したものだそう。

語り手ウラジーミル・ペトローヴィチの父と初恋相手21歳の、公爵令嬢ジナイーダがとりたてて美化されている。
人生は短くどうしようもなく人間は悲しく惨めで、美しいと思えた。 

どういう立場であれ一瞬のときめきがあるから人は生きていけるのかも。

後ろのほうで、青春の魅力について語り手が語ってるのがほんとにそうだなぁと共感した。

以外引用。
青春に魅力があるとしたら、その魅力の秘密はなんでもできるというところにあるのかもしれません。持てる力を他に使いようのないまま無駄つかいしてしまう。そこにこそ青春の魅力が潜んでいるのかもしれません。だれもが自分のことを浪費家だと本気で思いこみ、『あぁ、時間を無駄につぶさなかったら、どれほどすごいことができただろう!』と本気でかんがえる、そこにこそ潜んでいるのかもしれません。

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2020年02月09日

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ネタバレ

ジナイーダが父に恋をしているとわかった時、嫉妬のあまり殺そうとしていたほどの激情に流されることなく引き返したのは、ウラジーミルも「父に相手にしてほしい」という一種の父への恋慕があったから?と思ってしまった。

ウラジーミルは、恋の甘さと苦しさをすごいはやさで経験して、成長してしまったのだなと。でもこういう変化って本当に一瞬で、唐突に起こる。自分の初恋を思い返してみても、その前と後でずいぶん変わったなと思う。そしてそういう境はいつも唐突。


とりまきを弄んでいるジナイーダに最初同じ女としてまったく好感が持てなかったが、ウラジーミル父に鞭で打たれた痕にキスをするシーンを読んで、「ジナイーダ、貴女も恋する女の子だよ…。」と同情してしまった。

ウラジーミルの主観的な描写でしか父のことは語られていないので何とも言えないけれど、女性はウラジーミル父みたいな人好きでしょ。こんな読み方をしていいのかわからないけれど、正直惹かれた。あとルーシンも…。

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2020年01月16日

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 豊富な語彙を用いた表現ではないが、テンポよく、主人公が自らの心の内を偽りなく純粋に、私たちに語りかけてくれている感じがした。主人公の内面や行動の描写が適切かつ雄弁で、ありありと伝わってくる。
 初恋の、どうしても陥ってしまう無限ループ的な感じ、高揚感、全能感、幸福感、絶望感、それらに振り回されに振り回される主人公。共感しつつも、子供だなぁって思って楽しく気楽に読めた。あの幸せは子供だからこそ存分に味わえるものであると思うし、特別で大切なものだと思う。その感情を抱かなくなったり、抱きそうになっても振り回されないようにと思ってブレーキをかけてしまうようになった自分を、大人になったのかなと思いつつも、心が老いたなぁと少し切なくなった。

 主人公が恋している相手や主人公の父親をみて、魅力とは何か考え直そうと思った。人格者と、人間的に魅力的な人は違う。また、人間的に魅力的な人と、女性や男性として魅力的な人は違う。(登場人物と直接的な関係はないが)個人的にはそう思った。

印象に残った文
青春に魅力があるとしたら、その魅力の秘密は、なんでもできるというところにではなく、なんでもできると思えるというところにあるのかもしれない。

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2020年03月04日

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青年時代の大人の女性への憧れと失恋、その恋敵が衝撃的で、この時代ではかなりセンセーショナルな感じもします。
序章での老人3人が語るところと、それに繋がる最終章の終盤の、青春を振り返る切なき思いが響きます。
新約でとても読みやすいです。階級を露骨に描くところは時代を感じさせますね。

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2019年07月01日

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ロシア文学って人間の内面に入り込んでいくことを得意としているイメージがあるので、積極的に読んでいきたいと思っている。

初恋っていうと、衝動ばかりが前に出てしまっておかしな言動をとってしまうような、くすぐったいものを想像する。この本も読みながら身悶えすることを期待して読んだ。
しかし、この作品は物語が進むほど精神的に追い込まれていくのでしんどかった。
けれど、こんなのも悪くはない。

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2018年08月29日

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これはもう読んでみてくださいとしかいいようのないみずみずしい物語。
ウラジミールのジナイーダへの初恋と失恋の物語。

ウラジミール 16歳
ジナイーダ 21歳
ジナイーダの彼氏 40歳代。

年齢構成的にも申し分ない。
ウラジミールに勝ち目があるはずがないですね。

これも、いまぐらいの年になると、落ち着いて読めるなあ。

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2017年12月09日

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とんでもない話です。
10代半ばかな?今で言うと中学生かな?みたいな男の子が、20代前半くらいの女性に惚れちゃうわけです。
それでまあ、別段エッチなことがあるわけではなくて、精神的に振り回されたりもてあそばれたりするんですが。
実はその娘さんは、男の子のお父さんと不倫の関係でした。どっとはらい。

という話なんです。

それが、男の子目線から、実に繊細と言えば繊細に。
理屈抜きで、とにかくキレイなお姉さんにのぼせちゃってる。
もう、身もだえするほどに恥ずかしくて、自殺したいくらいみっともない。
そんな10代のアホな恋ごころが、恥ずかしくて恥ずかしくてもう、たまりません。

1860年に発表された小説です。
つまりこれ、江戸時代(笑)。すごいですねえ。
日本では、坂本竜馬とか新選組がうんぬんしてた時代ですよ。
そんな頃に書かれた小説が、今読んでも面白い。

19世紀の西欧の世の中が、貴族や王様という時代から、資本主義で経済でという時代へと変わっていく。
商品としての小説が生まれる。
この頃に書かれた小説は、21世紀の今も、読めるものだなあ、と。改めて。

語り口がやや時代めいていたり、全体が中年になった主人公の回想ということになっていたり、
そういう枠組みに関しては、無論の事19世紀ぽいなあとは思います。
それに、当然ながら物語の中の固有名詞とか習慣とかモラルとかで、「?」というところも、たまにあります。
光文社の古典新訳シリーズは、そういうつまづきの小石をなるたけ排除してくれている気がして、読み易い(と、僕は思います)。

こういう「思春期初恋、苦く終わりぬ」的な小説は山ほどあると思いますが、その原点みたいな小説。
オリジンに特有の、堂々たるその恥ずかしさ。素材剥き出し、ゴロンって、転がした感じの手ざわり。
止まらず読めちゃう面白さでした。

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2016年02月16日

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読後、私より先に読み終えた父から「カルピスみたいな味やと思ったやろう、どぶろくやで。」と名言を頂いた。

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2015年01月04日

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ネタバレ

16歳の少年ウラジーミルは、年上の公爵令嬢ジナイーダに、一目で魅せられる。初めての恋にとまどいながらも、思いは燃え上がる。しかしある日、彼女が恋に落ちたことを知る。だが、いったい誰に?初恋の甘く切ないときめきが、主人公の回想で綴られる。作者自身がもっとも愛した傑作。

わりかしドロドロしているなぁと思う。
ロシア人名はなかなか頭に定着してこないのは自分だけだろうか。それでも恋心を抱く健気なウラジーミルを見ていると自分もこんなにも純粋に恋をしていた時があったのかなと自分を振り返ってしまう。

読んでいて懐かしく感じる感覚は自分自身とダブらせている所を探しているのかもしれない。
それでもジナイーダみたいな娘には恋をしないと思う。
ジナイーダは美しいは正義と当たり前に言ってのけてしまいそう。

話の展開が読めてしまった事には少々残念。

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2014年11月13日

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少年ウラジーミルは隣に引越してきた年上の美しい女性ジナイーダに恋心を抱く。しかし彼女は自身に好意を寄せる何人もの男たちを家に集めては、いいようにあしらい楽しんでいた。そんな彼女の型破りな言動に驚きつつもウラジーミルの想いは募る一方。しかし、ある日を境に彼女の様子が一変する。ツルゲーネフの半自伝的恋愛小説。

恋は盲目というように、好きという気持ちが湧いてしまうと許されない恋だとしても止まらない。辛くても苦しくても、会えるその一瞬に幸せを感じる。そんな切ない恋を経験する者と、目の当たりにする者。好きになった相手だからこそ、微妙な変化には良くも悪くも敏感に気付いてしまう苦さがよく描かれている。

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2014年07月15日

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没落貴族のお姉さんに狂わされる話。年上に恋してるときの、あの全部見透かされている感じがして良かった。展開はまあまあ読めるけど面白い。ただ、初恋の初々しい、甘酸っぱい感じを期待して読むとやや期待はずれかも。自分は可愛い恋の話が読みたかったので肩透かしをくらった感じ。でも主人公が可愛かったのでよし

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2026年02月27日

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深いお話なんでしょうが、古風な印象でした。小川洋子さんが訳しているバージョンもあるので、そちらもぜひ読んでみたいです。

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2026年02月22日

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海外古典文学は敷居が高いイメージがあったが、サクサク読めた。
源氏物語然り、恋愛というのはいつの時代も万国共通変わらないものなんだと改めて勉強させられた。

ジョジョ好きなら是非読んでほしい!

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2025年05月12日

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冒頭から何か思い出すことがあり、話が分かってしまって読み進めたが、、、もしかして別訳(とすると岩波か)で昔読んだことあったかな。
でもはっきりと思い出せない。「父」に記憶が引っかかるけど、別の作品か?

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2022年04月22日

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ネタバレ

衝撃的な小説だった。
おじさん3人で初恋について語り合う、ノスタルジーを感じる設定。
主役であるウラジーミルの初恋相手ジナイーダは、美しく気品に溢れ、天真爛漫な女性。モテモテのジナイーダは、男達を魅力し、翻弄する。小悪魔、いや、悪魔的である。
ジナイーダに陶酔し、どんな要求でも喜んで叶える男達と、彼らを手のひらで転がし楽しんでいるジナイーダ。その奇妙な関係は、まるで見てはいけないものを見ているよう。
さらに奇妙なのは、ウラジーミルの父親である。
ジナイーダと密かに交際するのだ。奥さんは健在である。その上、ウラジーミルがジナイーダの虜なのは明白なのにも関わらず。
ジナイーダと父親は一目見た時から惹かれ合っていた。
ジナイーダを取り囲む男達が、1人、また1人と交際関係に気づく中、ウラジーミルただ1人が何も見えていない。
ジナイーダは誰かに恋をしているようだ、一体誰に恋をしているんだろう、と悩むばかり。
ウラジーミルがいつ父親の裏切りに気付くのか、ハラハラしながら読み進めた。こんな状況に追いやられる彼が可哀想で仕方がない。
小説の中で最も奇妙なシーンは、終盤に訪れる。
父親がジナイーダの白い腕を鞭で打ち、赤く晴れた腕にジナイーダがそっとキスをする。
それを見たウラジーミルは、「これが本当の恋なんだ!本当に愛しているなら、ぶたれても受け入れられるんだ!」と大興奮。この世の心理を発見したかのようだ。
わたしは思わず、え???いやいやいや、ちがうちがう。ただのDVやん。ウラジーミルよ、これ本当の愛ちゃうで。と本に向かって話しかけた。
しかしウラジーミルの勢いは止まらず、物語も濁流のように展開する。父親がジナイーダに裏切られショックで死亡。ジナイーダ、結婚相手との子どもを生み死亡。ウラジーミル、2人が安らかな気持ちでいられることを祈る。爽やかな雰囲気で物語が完結。
これが作者トゥルゲーネフの実際の経験だと言うのだから、ますます衝撃的。
事実は小説より奇なり。これはイギリスの詩人バイロンの名言だ。本小説「初恋」の中にバイロンの名が一度出てくる。トゥルゲーネフは、バイロンの名言を誰よりも噛みしめていたに違いない。

最後に、お気に入りの一文を紹介する。
「詩人や作家はたいていそうですが、マイダーノフもかなり冷たい人間でした。」
ジナイーダの取り巻きの1人、詩人マイダーノフの紹介文である。作家であるトゥルゲーネフが、詩人や作家は冷たい人間とこき下ろす言葉。眉間に深いシワを刻んだトゥルゲーネフによる、皮肉たっぷりのこの一文に、ユーモアと人間らしさを感じずにはいられない。









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2021年09月09日

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ネタバレ

初恋とはこういうものだと思う。
ちょっとしたことで、動揺する。
そのせいで気付かないことも多い。

16歳故か、鈍感すぎるウラジーミルくん。
疑わしい材料は目の前にたくさんあったのになかなか気付かない!

まだ気付かんか!…おばさんは何回もそう思いました。

そして、ジナイーダさん。
見た目は美しいのしょうが、それだけかと。この中から得られる情報からはとてもオススメできないわ。

ウラジーミルが理解した時、明石家サンタの鐘が鳴ったよ。

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2018年01月27日

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題名そのまま、甘酸っぱい初恋物語でした。こういうのを全力で面白いと思える人は、心が豊かなんでしょうね。私には正直ちょっと物足りなかったです。まあ、面白かったけど…、すごく綺麗で、瑞々しくて、心が洗われるような気がしました。

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2014年09月07日

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